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『パチッ(*^∇゜)⌒☆ミ』


起きたら朝だった。目覚めは悪くないようだ。不思議と彼は昨日の事をしっかりと覚えていた。


『( -_・)途中で倒れてしまったようだ…でもやり抜いた。人の肌を切るというのは、やはり神経を磨り減らす…』


『…先生のようにはいかないな!でも先生も将軍も何にでも初めてがあると言っておられた。先生も初めは僕と同じ気持ちだったのかしら?今度機会があったら聞いてみよう!』


彼は昨日、人の命を救った。半端、強制された事、相手が敵の(おさ)であった事は承知の上での事だった。彼は想う。


『(^。^;)医術の道をこのまま貫く事は出来ないかも知れない。それは、自分が蜀の太子という立場であるからだ。けれども、あの瞬間、僕は間違いなく医者であった。医者である事を貫き通した。そうである以上は、人の命に敵も味方も無い…あれで良かったのだ!』


彼はたとえ強制されなくても、その命を拾いに行った事だろう。


『( -_・)そう言えば…』


彼は想わず、辺りを見廻す。ホッ、いつもの日常風景がそこに広がる。彼は無事に虎口を抜け出した事を改めて自覚する。どうやら、費禕と弎坐がうまくやってくれたようだ。


『( -_・)後で彼らにはちゃんと礼を言わなくてはな…』


北斗ちゃんは素直に感謝していた。


『( -_・)それにしても…』


彼は想う。あの白装束の男は仁義を守ると言った。そして約束を違える事無く、それを守ったのだと言える。


『( -_・)敵にも信義を重んじる男は居るのだな…敵に廻すのは惜しい男だが、こればかりは仕方無い!』


彼は出来得るならば、戦場では会いたく無いとつくづく思った。クスッ…彼は団子を美味しそうに頬張る瞬間をも想い出して笑った。


『(^。^;)いずれにしても変った男だ…掴み所が無いとは、ああ言う事を指すのかも知れん…』


彼は結局、好印象を抱いたまま、彼の事をひとまずは胸の中にしまった。


「(*^∀^)ああ…お目覚めになったのですね!」


いつの間にかそこには費禕が佇んでいた。


「(人´∀`)費禕よ♪昨日は助かった!御苦労だったね…貴方のお陰で上手くいった様だ。有り難う♪」


「(;^∀^)否、とんでも無い事!私は当たり前の事をしただけです♪」


彼は謙虚な姿勢を貫くと、さっそくその後の顛末(てんまつ)を話して聞かせてくれた。


「( -_・)そうか…弎坐が()ぶって連れ帰ってくれたのか…」


「(*^∀^)はい!彼は一切、泣き言を言わず、助けてくれました。彼は啖呵(たんか)も切ったのですよ!」


『((゜□゜;))☆ミ』


北斗ちゃんはその話しを聞いて驚いている。


「(*´∀人)そうか…聞いてみたかったな!あの弎坐がねぇ…」


人はその重要局面でどう行動するかで、その真価を問われるものだ。北斗ちゃんは弎坐の行動に感心すると共に感謝していた。


彼の心の中できっと何か響くものがあったに違いない。人はやはり日々成長しているのだ。


『(*´-`*)連れて来て良かったな…』


北斗ちゃんは心底そう感じて嬉しかったのである。そこにフイッと費観将軍が入って来た。


「(^ー^)あぁ…お目覚めでしたか?昨日はよく頑張られましたな!」


「(人´∀`*)あぁ…費観、君も御苦労だった!彼には会えたのかい?」


「(^ー^)えぇ…」


「( -_・)そうか!それは良かった。それでどうした…」


北斗ちゃんは興味津々の様である。


「ええ…直ぐに御対応に応じて下さり、皆が無事に開放されたのを確認した後に、引き上げられました。別れる際に若君に後程、会いに来ると申され、昨夜お忍びでお越しになりましたが、若の様子をお伝えすると出直すと申されました。」


「そうか…(^。^;)それは悪い事をしてしまったな!」


「(^ー^)御加減が宜しいのなら、後程、会いに行かれませ!私がお供させて頂きます!」


「( -_・)そうだな費観!そうするとしよう♪そうだ…費禕にも同行して貰おうか、いいね?」


「(;^∀^)無論です!後…」


費禕は少し歯切れが悪そうに語尾を濁した。


「どうした?(゜ロ゜)何か気になる事でもあるのか…」


彼は北斗ちゃんに尋ねられて、口に出す気になった様である。


「(;^∀^)恐らくこれは十中八九、間違い無いと思うのですが…昨日、白装束の連中に直接会って、彼らの話し方を聞いていて、ふと思い至りました。私は彼らは呉の連中では無いと思うのです。あれは徐州の人間でしょう。つまりは呉では無く、魏の潜入員と見るべきです!」


これには北斗ちゃんも費観も驚いている。


「(゜ロ゜)費禕、貴方が言うのだから信用するが、なぜそう思うのかね?」


「若君!(*^∀^)私は日頃、徐州出身の方と接しているからです!」


『(;^ 。^)?(;><)?』


まるでちょっとした謎掛けである。二人共、余計に頭が混乱している。


「(^。^;)それはひょっとして、私も付き合ってたりするかな?」


「ええ…(*^∀^)勿論、こう言えば判りますかね?あの言葉のイントネーション、丞相と抑揚(よくよう)がそっくりではありませんか?」


「あぁ…( -_・)それだ!!」


北斗ちゃんはようやく納得した。諸葛亮は荊州のイメージが強い。『三顧の礼』のためなのだが、元々の出身は徐州である。曹操が徐州に征服戦争を仕掛けた時に、家族、皆が国を()われたのだ。


その時に、諸葛一族は暫く放浪し、最終的に諸葛亮は荊州の庵に隠棲し、兄の諸葛謹(しょかつきん)は呉に仕えたのだった。


「( -_・)て事は、魏国兵って事なのか…でも奴等は明らかに長江より入って来ているが?」


「(;^∀^)若君、長江は南岸だけでは在りませぬ…北岸からも渡ってこれるのです!」


「( -_・)あ~、確かにね!でも費禕、これは凄い発見だぞ!呉の偵察でなく、魏の偵察とはね…対応が絶対的に変わってくるからな、お手柄だぞ!」


「(*^∀^)否、たまたま徐州 (なま)りを知っていたに過ぎません!お手柄というなら、丞相のお手柄でしょう♪」


費禕はどこまで行っても謙虚で奥ゆかしい。北斗ちゃんも見習わねばと心に記した。


「あ!゜+(人・∀・*)+。♪そう言う事か♪」


彼は今更ながらに気が付く。今度は費禕と費観が驚いている。二人は『何です?』という表情で主人を見つめた。


「( -_・)お前達も聞いた事があるだろう…()の赤壁の戦いの折りに、曹軍には未曾有(みぞう)の疫病が蔓延(まんえん)したという。北方の兵が南方の水に馴れず、揺れに弱いゆえ船酔いしたのが、そもそもの原因であった。馴れぬ水は腹を壊す。また船酔いは体調を崩すもとだ。初期症状は軽い風邪かも知れぬが、その人数の多さと長時間の経過は、疫病の原因に成るだろうからね!」


「(*^∀^)あ~、成る程、そういう事でしたか?」


費禕は判ったらしい。さすがは一人だけ医学に傾倒しただけある。


「何だ?(;><)私は良く判りませんが…」


費観はちんぷんかんぷんの様である。


「( -_・)白装束の男達は華侘先生や僕の所に診察に来て、薬を貰っていたのさ!良く良く考えたら、長江で馴らした呉の兵達が高々そんな事で体調は崩さぬだろう…軒並、やって来たのが運の尽きだろうな!余程…具合が酷く我慢が効かなかったのだろうね…或いは、赤壁の教訓に学んだかな?まぁ、いずれは足が付いたろう…」


「ほぉ~さすがは若君!」


費観は感心しきりである。鮮やかに説明し切った北斗ちゃんであるが、当然これは後付けである。費禕の発見が無ければ、そこに思い至ったかは(すこぶ)る怪しかった。


『待てよ( -_・)?て事はだ!勘の鋭い関羽将軍あたりは、既に気づいているかも知れない。やれやれ…未だ将軍を出し抜くまでには程遠いって事になる。端から出し抜こう等とは思いもしないが、出し抜かれるのを牽制し、その行動を制御する等、夢のまた夢だな…まだまだ実践では足許にも及ばないや!引き続き気を引き締めて精進するとしよう…』


北斗ちゃんは心にそう固く誓うのであった。




午前中は久々に静養に宛てる。二人にもそうさせて、午後から遠出する事に決めた。


「( -_・)そう言えば…弎坐を知らないかい?顔を見ないが!」


「さぁ、昨日は精神的にも肉体的にも疲れたでしょうから、まだ寝ているのでは?何しろ貴方を背負ったのです。むしろ、それが凄いと言うべきでしょうな?」と費観。


「同感です!まさに火事場の糞力(くそぢから)というべきです。寝かしといてあげましょう!」と費禕。


「( -_・)そうだな…華侘先生にお休みする旨、使いを頼もうと思ったのだが、自分で伝えるとするか…」


「あ!そう言う事なら拙者が致します…昨日一番、疲れてませんので、元気モリモリですから!」と費観。


「それは助かる…(^。^;)では頼むよ!」


費観と費禕は「では午後また♪」と言い残して、引き上げて行った。


北斗ちゃんは久し振りに身体が空いたので、遠乗りで行った時に描いた狼煙台の絵図を開いた。見れば見る程に、巧みな配置に成っていて、ほぼ完璧と想われる。


さすがにこれを設計した馬良という人の思惑は素晴しいの一言だった。彼はますます興味を持って眺め入っていた。


『あれ?あれ?(^。^;)何だ、これは…』


彼は急に何かを思いついたが如くに、両の手で輪を作ると、その穴を通して絵図のあちらこちらを色んな角度で見始めた。


『( ; -_・)やっぱりだ…これは不味いかも知れない…』


彼は懸念を抱き始めた。


そんな時である。帰ったと思われた二人のうち、費観だけが急遽、戻って来たのである。


「費観、どうした?何かあったのかい!」


想わず北斗ちゃんは声を掛ける。すると、神妙な表情で近づいて来た費観は、「若、ちょっと私と一緒に来て下さい!」そう小声で告げたのである。


北斗ちゃんが同意を示して、費観と共に歩き出してからも、彼は無言を貫き、何も語る事は無かった。たった一度だけ、「御覧になれば判ります…」と謎掛けの様な事を宣う。


北斗ちゃんはいったい何事だろうと少々不安になって来た。まさにその矢先の事であった。


「あれ?(゜ロ゜)お前、これって診料所の方角だろう?」


つい自然と口をついた言葉であったが、それを耳にすると、費観は「えぇ…そうです!」とだけ返事した。その表情はほくそ笑んでいる。何かとんでもない情報を彼が掴んでいる事だけは、確かな様である。


昨日の今日で診料所が絡んでいるだけに、北斗ちゃんはドキドキして来てしまった。


そして、その角を曲がれば診料所の入口という段になった時に、費観はあちら側からは見えない位置取りに彼を誘って、口許に人差し指を持って行くと、「し~!」と音を立てぬよう要求した。


その上でその人差し指を突き出すと、「あれを御覧下さい…」とだけ小声で指示したのである。北斗ちゃんは、視線を彼の指の先に移動させて、その方向を見た。


彼の見た景色の中には、華侘先生と弎坐が座り込んでいて、先生が一生懸命、弎坐に何やら教え込んでいる。


「ふむ…先程よりは良い!だがまだまだだ…やり直しだな!次は少しきつめに巻いてみて御覧!」


「(-ω-;)でも先生、余りきつく締めると、患者さんが痛いのでは?」


「ほぉ…お前は優しい若者だな、その心は大事じゃぞ♪それにとても尊い。けして忘れては成らぬぞ!だが、緩過ぎてもすぐにほどけてしまう。ほどけたら包帯を巻く意味はないのだ。患者さんも困るじゃろう…そうだな、肌に乗せて少し引きながら、巻くのだ、これなら判るじゃろう?」


「はい!(-ω-;)先生♪」


彼は木の人形の腕に包帯を巻く練習をしているのだ。北斗ちゃんも始めた時に同じ練習をしたのだ。彼は黙々とその後も取り組んでいる。


先生も患者さんを見る合間には戻って来て、引き続き褒めたり、ちょっとだけ注文をつけたりしながら、進めさせている。やる気を引き出す華侘流指導術である。


北斗ちゃんは費観の方に向き直ると「どうして?」と、とてもシンプルな質問を投げ掛ける。費観は微笑みながらそれに応えた。


「(*´▽`)昨日、若君の御苦労を目の当たりにして、目覚めたそうですよ。自分も少しでも若の役に立ちたい、救える命を救いたい…そう思ったそうです!"雨降って地固まる"なんて言いますがね、私は感動したので、貴方を呼んだのです…」


費観の言葉が終わらぬうちに、北斗ちゃんは駆け出していた。華侘先生も弎坐も、驚きながらも彼を見つめて笑顔を見せた。北斗ちゃんは弎坐を抱き締めると、「有り難う♪」そう言って(まなこ)に涙を滲ませている。


そうして照れる様に、弎坐の背中を叩くと、彼が見やすい位置に移動して、実演してみせてやっている。


費観の位置からは、遠くて聴き取れないが、『僕がお手本を見せてあげよう♪』そう言っているが如くに観て取れた。


華侘先生はそんな二人を優しい瞳で 見守っている。費観もまた、この若君にお仕え出来る幸せを、陰からひっそりと眺めながら、深く感じていたのである。

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「( -_・)そうだな…華侘先生にお休みする棟、使いを頼もうと思ったのだが、自分で伝えるとするか…」 誤)華佗先生にお休みする「棟」 → 正)旨
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