父親として
劉備は驚く。少々刺激が強過ぎたかとほくそ笑む。
それにしても我が子がこんなにもネンネであったとは思いもよらず、困り果てた。何とかせねばと、急激に父親の気持ちが顔を出す。
『(ღ◍′◡‵◍٥)少し早い気もするが、早めに妃を娶らせた方が良いかも知れんな…』
そう感じていた。けれどもふと思い立つ。
『Σ(◍ ºΔº◍٥)いゃ待てよ!早計は禁物じゃ!ネンネとはいえ、既に女子のひとりくらい居るかも知れぬ。或いは仄かに想いを寄せる女子が居ても不思議は或まい♪少し様子を窺ってみるか…』
そう考えてしばらく待つ事にした。何しろ彼は父親として殆どの責任を長年放棄して、今に至る。
そんな彼がいきなり父親面をして縁談を進めても、反発こそすれ、素直に受け入れるとは思えない。
そう感じていたのである。けれども劉備はこうも想っていた。
『(ღ◍′⌓‵◍*)好いた女子が居るのなら、儂が必ず間を取り持ってやろう♪』
彼には長い間の懺悔の気持ちが強く在り、我が子に何かしてやりたいと心の底から願う気持ちが在ったのだ。何れにしても余り時間は無かった。
幾ら太子との関係改善の為とはいえ、そんなに成都を空けている訳にもいかない。関係修復が叶った今、なるべく早めに帰郷するのが王たる者の努めである。
劉備はそんな時にひょんな事から閃きを得た。そしてニヤリとほくそ笑むとそそくさっと執務の間を後にした。
『カァ~Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵)もう参ったな♪』
北斗ちゃんは青天の霹靂と吐息を漏らす。すると謁見の間から首を出してこちらを見つめている視線に気づく。
潘濬と田穂である。じ~っと見つめるその瞳には心配そうな憂いがあった。
「潘濬!田穂!ღ(°ᗜ°٥ღ)✧二人ともどうした?心配いらないからこちらにおいでよ♪」
北斗ちゃんは嬉しそうにそう言った。彼には心配してくれる仲間がいる。
それがどんなに大切で心の支えになっているのか彼は改めてその有り難みを知る。
そして想い出す。
「⁽⁽(٥•́⌓•́๑)必ずやり通すさ!」
北斗ちゃんは父の夢に共鳴し、自分のやり方でこの中華を統べる事を誓ったのだ。
勿論、父には言ってない事だが、彼の目的はあくまでも平和的にこの中華を統一に導く事であり、それを統べる皇帝に自分が成る事では無かった。
平和が約束される限り、誰が総帥として統率しても構わない。それが彼の目指す頂だった。
潘濬も田穂も声を掛けられて嬉しそうに近寄って来る。北斗ちゃんは笑顔で迎えてくれる二人の瞳の輝きを見つめながら、先程、泣き崩れた自分を想い出していた。
失敗すれば、命を賭してくれた彼らもどうなるか判らないのだ。それだけは絶対に避けねば成らない。
彼は二人の笑顔を見つめながら、改めてその心に誓うのだった。二人に限らず自分を信じて着いて来てくれる皆を守るために…。
「でっ!(*`ᗜ´٥)੭ ੈどうなりました?早くあっしらにも教えて下せぇよ♪」
田穂はせっつくようにそう問い質す。潘濬は呆れたようにそれをいなす。
「こら!こら!✧(• ຼ"•ꐦ)せっつくな!若君を困らせるんじゃ~ない♪」
すると田穂はすぐに切り返す。
「潘濬殿だって、さっきまで散々心配してたじゃないっすか?(〃`⌓´٥)=3 あっしは代表して言ってるんですぜ!自分だけ良い子になるなんて狡いですぞ♪」
「まぁまぁ…ღ(°ᗜ°٥ღ)✧二人とも収めてくれ!心配させて悪かったな♪でも喜んでくれ!蟠りは捨てる事にした。父も傷つき、苦労の連続だった只の人。そう判ったんだ!そして追い求める夢にも共感出来た。それは…」
「「それは…(° ຼ"° ꐦ)(*`‥´٥)」」
二人も勢い余って顔を突き出す。
北斗ちゃんは微笑ながらそれに応える。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ…それは中華の統一さ♪」
「「∑(º ロ" ºꐦ):;((`罒 ´٥ ))));:何ですと~!!」」
二人は驚く。
「Σ(٥`⌓´ღ٥)そんな事、出来るので?」
「(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈいゃ待て!」
潘濬は田穂を諭す。そして言った。
「(ღ• ຼ"•ꐦ)勿論、それが我らの行き着く先の道標で在る事は確かです。しかしながら、若君のやりたかった事は本当に中華統一なのですか?私は…」
潘濬は言葉を失った。そして若君を見つめた。何とか言って欲しい…そう願っている様にも見えた。
「(๑•́⌓•́)何だ、潘濬!大袈裟だな♪君は僕を何だと想ってる?僕が今さら趣旨替えするとでも想ったのかい?構想は変わらない。我々の進む道は河川事業で海洋交易さ♪」
「Σ(ღ• ຼ"•ꐦ)しかし若は先程、中華統一だと?」
「(•́⌓•́๑)✧潘濬でもそう想うのな?だったらこの言葉は禁句だねぇ~♪中華統一、その趣は必ずしも平和的に非ずか…」
「(ღ`⌓´*)✧統一という言葉ですかな?合い争いまとめんとする意味合いが強いのかも…」
「(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ 確かに。血生臭い感じがしますな!」
「(•́⌓•́๑)✧二人の考えも一理在る!でも心配するな!僕の目指すのはあくまでもこの中華の恒久的な平和だ!民の苦しみを少しでも早く救ってやりたい一心なのだ。父の願いも同じだ。そして僕のやり方にも賛同下すった。僕らは今まで通り粛々と事を進めるのみ!いいね?」
「(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ 勿論です!それを聞いて安心しました。最大限の力を尽くします♪」
「(ღ`ェ´*)⁾⁾ あっしも♪」
「(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧宜しく頼むね♪」
「(ღꐦ•"⌓•)" しかし宜しゅう御座いましたな?父君と仲直り出来て…」
「ღ( •̀ ᗜ •́ *)有り難う♪これで何の憂いも無く事が進められる!」
「ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)ところで御指南の方はどうなりました?」
「∑(º ロ" ºꐦ)あっ!馬鹿…」
田穂の一言は和やかムードに水を差す。途端に北斗ちゃんも思い出した様に頬を染めた。
「Σ(,,ºΔº,,*)何だ?田穂!…まぁいい。よ~く判った!それで良かろう?」
「(*`‥´٥)あっ…すいやせん。ちと心配だったもんで!言い方が不味かったっすね?」
「✧(• ຼ"•ꐦ)そうそう!気をつけようね?」
「(٥´°⌓°)言い方の問題じゃない気がするけどな…まぁいいや!とにかくこの話はおしまい。全く!余計な事、聞かなきゃ良かったな…」
元々興味を持ったのは北斗ちゃん自身だから仕方無い。世の中にはまだまだ知らない事が多い。無意識に興味を持った事でまたひとつ大人の階段を登った北斗ちゃんであった。
「ꉂꉂ(*°᷄д°᷅*ꐦ)じゃあな兄貴!行って来るぜ♪」
「(*`艸´)おぅ♪行って来い!楽しみな事だな?」
「( ̄^ ̄*)では雲長殿!」
「(*`艸´)おぅ♪子龍!御苦労だったな…」
二人は関羽と抱き合いひとときの別れを告げる。皆で集まったのも久し振りの事であった。
彼ら二人はこれから趙雲の治める南郡に向かう。趙雲はいつもの職務に戻るついでに兄貴分の張飛の案内を買って出たのだ。
張飛が喜んだのは言うまでも無いが、趙雲も久し振りに義兄弟と轡を並べての道行きと成るので嬉しい。早速、道中は賑やかなものと為った。
「ꉂꉂ(*°᷄д°᷅*ꐦ)しかし子龍が今や太守殿とは?でもお陰で助かるぜ♪」
「( ̄^ ̄*)いゃあ何!お安い御用です♪どうせ帰り道ですし、大船に乗ったつもりで居て下さい!翼徳殿は久し振りの地…何かあったら私が雲長殿に叱られます♪」
「ꉂꉂ(*°᷄д°᷅*ꐦ)ハハハッ♪悪いな子龍!儂は根っからの方向音痴だからなぁ♪ある程度の所までは頼むぜ!その代わりまた一緒に飲もうや♪儂が幾らでも飲ませるぜ?」
「( ̄^ ̄٥)はぁ…そらぁどうも!」
趙雲は途端に焦り出す。行きはよいよい帰りは恐いというやつである。さすがに帰り道も送って行く訳にはいかない。
『(٥ ̄^ ̄)大丈夫かなぁ…まっ!何か考えるか?』
趙雲のモットーは"悩まず打開"である。関羽や張飛などと一緒にいると必ず先手先手を念頭に入れておかないと危ない。
二人とも本能のままに動くタイプだからである。先走らせたりせぬ様に落ち着いてさりげなくフォローするのである。
しかも二人の矜持を傷つけぬ様に配慮しながらボソッと呟く様に助言するのが効果的であった。
関羽や張飛が未だに趙雲を頼りにし、一目置いているのはその謙虚さゆえである。今回も関羽に頼まれる前に案内を買って出たのはそういう事情であった。
「(* ̄^ ̄)ところで…翼徳殿は南郡にどなたを訪ねるご予定なのですか?」
趙雲はふと疑問に想いそう尋ねた。すると張飛は一瞬怪訝な顔をしたが、急に笑い出すとすぐに教えてくれた。
「⁽⁽(੭ꐦ *°᷄д°᷅* )੭*⁾⁾ ガッハッハッハ♪そういやお前、あの時はもう潰れていたんだっけな!兄貴には話したんだが、儂は上の娘を迎えに行くのよ♪」
「( ̄^ ̄٥)へっ?娘さんですと!翼徳殿はここ南郡にお妾さんでもいらっしゃったので??」
「Σ(ღ*°᷄д°᷅٥ꐦ)おいおい子龍!そりゃあ穏やかじゃないぜ?儂は後にも先にも夏侯一筋だ!他の女子に手は出しておらん。凪がここに残ったのはそれなりの事情があったのだ…」
凪は張飛と夏侯氏の間に生まれた長女である。彼女が生まれた当時、荊州は動乱の最中に在った。
そこで乳母に連れられた凪と母親の夏侯氏は戦乱の中ではぐれた。張飛は義兄・劉備に従い転戦していた事もあり、探す事もまま成らず、それっきりとなった。
夏侯氏は悲しみ、張飛が長い時を掛けて慰め、やがて二人の間には二女が生まれた。夏侯氏は殊更に二女を可愛がった。
それは幼い頃にはぐれた長女の分まで愛情を注いでいる様に見えたのである。そして先頃、乳母の娘から凪の事を知らされて、迎えに来たという訳だった。
勿論、劉備の護衛を買って出たのは事実だが、裏にはそういった事情も在ったのだ。張飛から文を受け取った関羽はすぐに使者を差し向け、確認し南郡に居る事を突き止めていた。
張飛を慮り、関羽は趙雲には伝えずそれとなく配慮したので彼らが生活に困る事は無かった。そして今日、張飛は娘を迎えに行く事に成った次第である。
「Σ( ̄^ ̄٥)…何と!そういう事でしたか?雲長殿も翼徳殿も水臭い!それなら私が保護しましたのに…」
「(ꐦ°᷄д°᷅)気にするな!お前は元々荊州に居ない事に成っていたろう?それに先方の事情も複雑でな、儂らも探す手立てが無く、長年放置していた身の上だ。だから先方の意向を汲んだまでだ。だからまだこの事は夏侯も知らぬ!下手に教えると気丈な女だ!また大変な事になるからな♪まずは儂が会う事にしたのよ!」
張飛はそう答えた。趙雲もその複雑な事情を察し頷くほか無い。
彼らの苦しみはそう簡単に割り切れるものでは無いのだから、掛ける言葉も無かった。そっとして置くのが一番良かったのだろう。
「(٥ ̄^ ̄)左様でしたか!判りました。何か私に出来る事が在れば言って下され♪何なりとお役に立ちましょう!」
「ꉂꉂ(*°᷄д°᷅*ꐦ)おぅ♪悪いな、子龍!その時は頼むぜ♪まぁ心配無かろうがな!」
「(* ̄^ ̄)はぁ…楽しみとはそういう事でしたか?うまく行くと良いですな♪」
「Σ(ღ*°᷄д°᷅٥ꐦ)ハハッ…まぁな!だが血の通った大事な娘だ♪夏侯の為にも話し合うさ!」
「( ̄^ ̄*)それが宜しゅう御座いますな!」
その後は張飛の独壇場である。止せば良いのに自慢する様に滔々と妻との馴れ初めに話が及んだ。
張飛の妻・夏侯氏は夏侯淵の姪である。まだ劉備が曹操の厄介になっていた頃に出会った。
夏侯氏が朝の水汲みに出て来たところを一目で気に入り、拐う様に連れ帰ったのが縁である。
いい年の男が御歳13歳になる娘を気に入り、連れ帰るという暴挙に出たものだから本来なら拗れそうなものだが、劉備主従も曹操から離れて袁術討伐を口実に逃げ出した頃だったから、どさくさ紛れだったのだろう。
でなければ、そんな事が罷り通る訳も無いのである。そして幸いな事には、夏侯氏もその状況を受け入れざる逐えず着いて行く事になり、長い年を経て結ばれた恋であった。
その一粒種が凪という事になる。話を聞いていた趙雲も途中、何度も顔を歪める程の稀有な御縁であった。
『Σ( ̄^ ̄٥)…うわぁ!この人、やっぱ録な事をしとらんな…』
趙雲はもはや絶句して、言葉も無かった。娘さんはとても気の毒な事だが、自業自得を地で行っていると想うほか無かった。
「(*◍′◡‵◍)雲長♪雲長はいるか?」
劉備はやって来るなり声を上げる。本人は気づいていないが、その声には張りが在り、良く通った。
余程、気分が高揚していたのだろう。我が子との和解が成ったゆえか、はたまた閃きの為せる業か、それはどちらとも言い兼ねた。
けれども彼の気分が今や最高潮に達していたのは間違いない。それだけの抑揚がその響きには感じられた。
「(*`艸´)おぅ♪兄者、妙に御機嫌ですな?ハハァ~ン、さては遂に若君と和解されましたな!これはおめでとう御座います♪」
「なっ!Σ(◍ ºΔº◍*)判るか?」
劉備は驚く。本人には自覚が無いかも知れないが、端から見れば一目瞭然な程、彼は興奮していたから、関羽でさえ気づく事が出来たのだろう。
「ꉂꉂ(*´艸`*)ハッハッハ♪判らない訳が在りませぬ!兄者の気持ちはこの関羽が一番理解しております♪」
関羽も自分が可愛がっている若君と義兄・劉備との折り合いの悪さには心を痛めていたから、それだけ嬉しかったに違いない。
自然と口が滑らかになり、ついつい調子に乗る。すると劉備は『✧(,,ºΔº,,*)ハハ~ン♪』てな表情で試す様に義弟に問うた。
「(ღ◍′ᗜ‵◍*)じゃあ、当ててみよ♪儂は今、何を考えていると想うかな?」
悪戯っ子のように劉備はその瞳を輝かせ関羽を覗き込む。途端に関羽は驚きを隠せぬまま、その眉間からは冷や汗がツーっと流れ落ち、押し黙る。
それを確認した劉備は、嬉しそうにニヤリと笑った。
【次回】睡蓮の華の君