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愛憎の先へ

「我が君ꉂꉂ(・ิᗜ・ิ*ღ)♪」


「おぅ~(◍′ ᗜ ‵◍*)♪先生!どうです?落ち着かれましたかな♪」


劉封を見送りに出た帰り道、劉備は不意に呼び止められた。法正であった。


「えぇ…(・ิࡇ・ิ٥ღ)まぁ!」


浮かない表情を見せる法正に劉備は尋ねる。


「(◍′ ࡇ ‵◍)=3 時に先生は着くなりどこぞへ出掛けられたようだが、昨日は何ぞ在りましたかな?」


「…⁽⁽(・ิࡇ・ิ٥)ちと野暮用でしてご迷惑をお掛けしました。ですが実りも在りました♪」


「(ღ◍′◡‵◍*)ほぉ~それは何よりですな♪旨い酒でも見つけましたかな?」


「=͟͟͞͞(・ิ﹃・ิ٥)はぃ?我が君!幾ら何でもそりゃあ無い!儂は一滴も飲んでおりませんぞ!我が君こそ…否、何でも在りませぬ…」


法正は痛いところを突かれて想わず口が滑る。どんちゃん騒ぎに興じて居たで在ろう劉備を(たしな)めようとして止めた。


久し振りに再会した義兄弟との旧交を温めていたで在ろう事が痛いほどに判っていたからである。それがどんなにか大切な時間であったかくらいは法正にだって良く判る。


けれども散々愉しく飲んでいた相手に飲みたくても飲めなかった自分がそんな事をとやかく言われる覚えは無いと少々(かん)に触っただけであった。


大の大人でも時に子供の様な(わだかま)りを感じるものなのである。劉備も余計な事を言ったと慌てて口を抑えた。


「Σ(◍ ºΔº◍٥)こりゃあすまんな!儂が悪かった…」


劉備の良さは直ぐ非を認めてその場で謝れる事にある。カリスマの為せる技である。


「Σ(・ิࡇ・ิ٥)いぇ…儂も余計な事を!すみませぬ…」


法正もほうほうの(てい)で謝る。そもそも酒癖が悪いのはお互い様であった。


「(٥◍′_₍‵◍ღ)でっ!実りとは何かな?」


苦し紛れに劉備は口を開く。重い空気は息苦しい。早く打開したい一心であった。


「ꉂꉂ(・ิᗜ・ิ٥ღ)河川事業の視察です!馬に跨がり日帰りで観て来ましたが、これが壮観でした♪」


法正は劉巴や鞏志に会い、河川工事の進捗は許より、たくさんの移民の到着や受け入れ先の住宅の充実振りに感激した事を伝えた。


「Σ(◍ ºΔº◍٥)何と!そらぁ凄いな♪目を見張るものが有るのぅ~♪儂も早く観てみたい!そう言えば劉巴殿は先生の知己でしたな?さぞや誇らしいでしょう♪」


「えぇ…(・ิࡇ・ิ٥ღ)でもやつは元々出来る男ですからな!あのくらいは朝飯前でしょう♪鞏志という男もかなりの切れ者です!儂の驚きはそんな者たちを本気にさせる若君の手腕です♪我が君!おめでとう御座います♪太子様はどうやらやり手の様ですぞ!我が国の未来はとても明るいと言えましょう♪」


法正は頼もしげにそう語った。劉備もそれを聞いて安堵するとともにまたぞろ胸の中で嫉妬が芽生えた。


『(٥◍′_₍‵◍)ふむ…公嗣は順調に事を進めている様だ。王としても父としても、とても頼もしいには違い無いがちと出来過ぎじゃのぅ。儂の立つ瀬が無いわ…』


親が子に嫉妬するなんて不思議な様にも感じるが、そうでも無い。事実、様々な王朝に於いて王が優れた太子に同じ感情を抱く事はまま在る事だった。


その蟠りが増長して行き、太子を殺してしまった例も在るのだ。国を背負う立場の王でも、人として生まれた事に違いは無い。


人とは感情の生き物であるから、そうした心の有り様が表面化してしまうと、歯止めが効かない事もあるという事なのだろう。


幸いな事には劉備玄徳という人は、そういった感情を持っていながらも常に王として国を背負う大事を忘れる人では無かった。


それに一時期は、凡庸な息子に頭を痛め国の将来を憂いていた時も在ったのだから、贅沢な悩みなのである。何を言わんや!よくよく鑑みるにつまらない蟠りであった。


そうして彼は思い出す。かつて自分の想い描いていた心を取り戻した瞬間だった。


『Σ(◍ ºΔº◍٥)そうだ!そうだった。儂はいつか儂の全てを我が子に託し、次の世代に国を引き継ぐ事を夢見ていたのではないか?なぜその事を忘れていたのだろう…』


劉備はようやくその気持ちに立ち返り、改めて現実を見つめた時に、我が子・劉公嗣がこの荊州の地で立ち直り、成し遂げんとしている目的を心から支援してやろうという、ある意味初心に立ち返っていた。


「(*◍′_₍‵◍ღ)有り難う♪」


劉備は自然とそう口にしていた。法正とここで偶然に会わなければ、そういう気持ちになれたか怪しい。我が子に会う前にここでそういった気持ちになれた事に感謝していたのである。


「(・ิࡇ・ิ٥ღ)いぇいぇ…儂も当初は太子の事を憂いていました。でもこの目でその進捗を目の当たりにして、その手腕に間違いが無い事をまざまざと見せつけられる機会となったのです!我が君に報告が叶い良かったと思っています♪」


法正は知ってか知らずかそう述べた。自然と出た言葉だった。


けれどもその言葉は劉備の胸に響いた。なぜこの男は自分の感情を知り得たのかと誤解したのだ。


しかしながらもうそんな事はどうでも良かった。この偶然に感謝しようと劉備は想ったのである。


「(ღ◍′◡‵◍*)何か他に在るかね?」


劉備はそう尋ねた。前向きな気持ちを取り戻した以上、この心を忘れぬ内に早く我が子に会いたくなったのだ。


「(ღ・ิࡇ・ิ٥)いぇ…在りませんな!」


法正もそう答える。はっきりとは判らないが、自分の言葉が王に良い兆しを与えたらしい事は感じていたのだろう。


二人は挨拶を交わし合うと互いに引き上げる。法正は途端に疲れを感じていた。


『(・ิࡇ・ิ٥)少々寝るかな…』


彼はそう想った。年寄りにしては大活躍である。荊州に着くや否や結果的に郡を跨いで視察に及んだのだから当たり前だろう。


『(・ิࡇ・ิ٥)けっきょく言えなかった…』


当初、法正は大令尹の事案の報告をするつもりで声を掛けた。けれども王の顔を見た途端にその気持ちを抑えた。


劉備の表情に余りにも思い詰めた(かげ)りを見たからだった。そしてその原因が太子様との蟠りにある事も承知していた。


だから急遽、視察の話に話題を変えた。無論、その話も合わせてするつもりだったが、それに留めたのだ。


太子様の実績を伝える事で、王の心が少しでも晴れれば良いと想っての事だった。人とは時に自分の気持ちに重ねて考えるものである。


かくいう法正も我が子・楼琬の近況を聞いて安堵し喜んでいた。親が子の成長を知り、喜ばぬ親が無いとの想いから出た真心だった。


余計な事を言って主人(あるじ)を悩ませたくは無かったのである。


『(・ิࡇ・ิ٥)酒でも飲んでから寝るか…』


法正はそう決めて寝床に帰った。また改めて機会を捉えて報告しよう…そう想っていた。




一方の劉備は一目散に自室を目指していた。逸る気持ちを抑える様に歩みを進める。


ふとそんな瞬間に思い出し笑う。


『ꉂꉂ(◍′ ᗜ ‵◍*)先生もまだまだ若いな♪馬に跨がり日帰りとは?老いて益々盛んとはこの事だ!』


そして途端に疑問が頭をもたげた。


『(ღ◍′◡‵◍٥)あり?待てよ…』


そうなのである。法正は荊州は初めての筈だった。なのに単騎で馬に跨がり往復したばかりか、日帰りで走破するなど出来る筈が無いのだ。


『(ღ◍′◡‵◍٥)…野暮用と言っていたな!て事は誰かとともに往復したと考えるべきだろう?にも拘わらずそれを伏せた…なぜだ?』


劉備は途端に細やかな猜疑心が芽生えた。けれども直ぐに被りを振って考えるのを辞めた。


『(ღ◍′◡‵◍٥)何か考えが在るのだろう…儂の悩みでも見抜かれたかな?きっと遠慮したに違い無い。次の機会に話してくれる事だろう♪今は余計な事を考えるのは止めよう…』


そう想い直した。今は我が子に気持ちを運ぶ時だ。その事に集中しようと想ったのだった。


劉備は気持ちを切り換えて歩みを早めた。




「(ღꐦ•"⌓•*)良い顔をされてましたな♪」


潘濬は語り掛けた。北斗ちゃんと田穂は自然と振り向く。


「(,,ºΔº,,*)だよね♪」


満面の笑みを称えてそう答える彼の瞳にはもう涙は無かった。


「(ღ`⌓´*).。oO そうですな…」


田穂もそう口にした。


皆、判っていたのだ。劉封がこの来訪を切っ掛けにまたひとつ成長を遂げた事を…。


おそらくその事は王も認めたに違いない。潘濬はこの機会に若君も長年抱えて来たで在ろう(わだかま)りを解ければ良いと念じていた。


そういった気持ちがその一言に込められていたのだろう。


『貴方もそう在って欲しい…』


けれども彼もあからさまに問う事では無いと心得ていたので、そういった言葉となって表す事になったのだった。


「(´°ᗜ°)✧潘濬…心配するな!お前の気持ちは判っている。僕もそう在って欲しいのだろう♪」


するとその願いが届いたのか突然、若君がそう答えたものだから彼は驚いた。


「Σ(ღ• ຼ"•ꐦ)なっ!何で?どうして判りました??」


「(•́⌓•́๑)✧そりゃあ判るさ♪君と僕は以心伝心だからね!」


北斗ちゃんはそう言い切った。


「(ღ• ຼ"•ꐦ)いやぁ恐れ入りました。顔に出てましたかね?」


潘濬は目を点にしている。すると若君は突然笑い出した。


「Σ(˶‾᷄﹃‾᷅˵)フフフッ♪んな訳無いじゃん!何となくそう想っただけさ♪僕は今のところ、父上と対面する事以上にしんどい事は無い。これは自信を持って言えるかんね♪だから対面に臨む前の緊張からか、いつになく神経が研ぎ澄まされているんだよね?今なら神仙とも渡り合えそうだ!」


冗談めかして言ってはいるが、それだけ過敏(ナーバス)になっているのだろう。


潘濬は伝えたかった事がきちんと伝わった事には安堵していたが、肝心の本人を却って(あお)る事になったのではと心配していた。


すると若君はこう言った。


「潘濬!心配無い…(٥ •ᗜ•)⁾⁾ 判っているんだ。頭ではね。和解するなら今が潮時って事なんだろう。でもいざその瞬間にならないと僕にも判らない。自分の事なのにこうも心がチグハグなのはどうしてなんだろう…」


「そうですな…(ღ• ຼ"•ꐦ)」


潘濬も気持ちが判るだけにそれ以上は口に出来なかった。本人にしか成し得ぬ事もあるのだ。


(ため)ごかしな助言をしても、どうにもならない事は判っていたから控えた。そういう事であった。


ところが不意にここで口をつく者が居た。田穂だった。


「(*`ᗜ´٥)੭ ੈそんなの決まってます!」


彼は言い切った。


これには若君はもとより、潘濬も驚いた様に振り向く。すると田穂はハッキリとこう告げた。


「…(#`罒´٥)੭ ੈ当たって砕けろ!ですよ♪」


彼の言葉には迷いが無く、そう告げながらもじっと若君の瞳を見つめていた。温かみを感じる優しい眼差しだった。


北斗ちゃんはしばらく黙ったままその眼差しを眺めていたが、次の瞬間「`;:゛;`;・(゜ε゜ )プッ♪」と吹き出し、やがて大きな声で笑い出した。


田穂は当然の(ごと)()きになる。顔を真っ赤にして怒り出した。


「若!:;((`罒 ´٥ ))));:(ひど)いじゃね~すか!あっしは真険に言ってるのに笑うなんて?」


「ごめん!ごめん!ღ(°ᗜ°٥ღ)悪気は無いんだ♪謝るよ!でも余りにも真険だから、ついな♪」


そう言われると田穂も弱い。シュンと押し黙る。そして次の瞬間、ハッと我に返るとより一層、顔を真っ赤にして(うつむ)いてしまった。


そもそも若君を元気づける事が目的だったのに、()みついたのだから当然だろう。これでは逆効果ではないか。


『バカ!バカ!(*`‥´٥)あっしのバカ!』


田穂は弱ってしまった。これではまともに主人(あるじ)と目も合わせられない。


するとその時であった。


「田穂!(,,ºΔº,,*)有り難う♪」


そんな優しい言葉が投げ掛けられたのである。田穂は「Σ(ღ`⌓´٥)へっ?」と言って想わず見上げる。


その視線の先にはこれ以上は無い程、満面の笑みを浮かべた若君の姿があった。


「茶化してごめんね(๑>؂•̀๑)♪でも君の言葉は胸に響いた。確かにそうなんだよな!当たって砕けろか…そうしてみるか!」


そう言いながら、若君は手を差し延べてくれる。


『そうだ…(〃`⌓´٥)=3 この人はそういう人なのだ♪』


田穂はその手を取り、立ち上がる。そして言った。


「(*`ᗜ´٥)੭ ੈそうですとも、その意気です♪若はあっしらを助けて、温かく迎えて下すった。命の重みを誰よりも知る貴方なら、きっと判り合う事が出来ましょう。もしそれでもガタガタぬかすんなら、このあっしが代わりに啖呵(たんか)を切ってやります!」


そう宣言する田穂を見つめる若君の頬は自然と緩む。


「フフフッ✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)♪それは愉しみだね?でもお陰様で良く判った!僕は今や一人じゃないんだってね♪」


「そうですぞ!(ღ`ェ´*)⁾⁾ あっしらは皆、チームです♪若を支える仲間たち…その名も"チーム北斗ちゃん"なのです!」


「あぁ…⁽⁽(•́⌓•́๑)✧そうだったな♪」


北斗ちゃんは嬉しそうにそう答えた。潘濬もコクリと頷く。


「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ その心意気をぶつけてみるよ♪」


そう告げた若君の目に、もう迷いは無かった。

【次回】潮目

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