親子の愛憎
「おはようございます♪(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ お目覚めは如何ですかな?」
潘濬は畏まってそう言った。劉備は既に起きており、茶を啜っている。
「あぁ…(◍′◡‵◍)旦~君か?昨夜はすまなかったな!勝手を言った。だがお陰様で義弟たちと心行くまで大いに飲み、食い、歓談する事が出来た。突然の事にも細やかに対応下さり感謝する♪」
劉備は両手を組み、感謝の意を表す。
「いぇいぇ…(ꐦ ٥•" ᗜ•)滅相も無い事!我が君のお世話には万難を廃すようにと、若君からもきつく言われておりますゆえ…」
潘濬は王が頭を下げた事にやや驚く。余程、再会が嬉しかったのかも知れない。
すると劉備は即座に反応した。
「ハッハッハ!ꉂꉂ(◍′◡‵◍*)果たしてそうかな?まぁ良い♪そんな事を突き詰めても詮無き事。今朝の朝げもなかなか良かった。御苦労♪」
劉備は今度は軽く手を上げるに止めた。
「いぇ…(ꐦ ٥•" ⌓•)行き渡りませず…」
潘濬は恐縮そうにそう答えた。劉備はおもむろに見上げると、快活に笑う。
「ハッハッハ…⁽⁽ღ(◍′◡‵◍)そう畏まるな!儂は確かに皆の王だが、ここには健康診断に来ておる只の客よ。それに荊州は公嗣に任せて在るゆえ、謂わばここでは無礼講だな♪奥でも同伴していればそうも行くまいが、儂一人ならどうとでもなる。儂も昔に戻ったようで良い気分だわい♪だから適当で良いぞ、適当で!」
「そ、そんな…Σ(ღ• ຼ"•ꐦ)滅相も無い事!」
潘濬は却って縮み上がる。劉備はそんな潘濬を横目で見ながら「⁽⁽(◍′◡‵◍)まぁ、良い!」と言ってほくそ笑む。
「⁽⁽ღ(◍′◡‵◍*)それより公嗣の予定はどうなっておる?今日は身体が空いておるのか?少し話したいが…」
「はい!(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾ それなら問題は御座いませぬ。若君からもさっそく午後に予定を組むよう、仰せつかっております♪」
「左様か!ꉂꉂ(◍′◡‵◍*)ならそれで頼もう♪では、午前中は劉封を召したい。その方、悪いが呼んでくれぬか?あいつもいつまでも江陵には居れまい。せっかくの機会だからな!あいつとも少し話がしたいのだ…」
「承知しました!(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈお任せ下さい♪」
潘濬は拝礼すると直ぐに退出し、劉封を呼びに向かった。劉備は想わず含み笑いする。
『あれが、噂の潘濬か…(◍′◡‵◍٥)かなり生真面目な男よのぅ~♪だがあの孔明が評価するだけの事はある。実務能力はかなり高いな!しかし少々繊細に過ぎるのが玉に瑕よ。風来坊なこの儂には些か窮屈だわい♪』
劉備はそう感じていた。
突然、用意された歓迎の宴を中止し、義兄弟の再会に当てるという無茶振りにもすぐに対応したばかりか、酒宴の席を津々がなく設けて、滞る事が無かった。
そして今も太子の予定を既に抑えており、劉封の対応に向かう姿勢にも躊躇が無い。当たり前のように感じる事が卒なくこなせる。
まるで予め想定していたように対応が自然で冷静なのである。あの男は太子が面談の上ですぐに登用したらしい。
『(ღ◍′◡‵◍٥).。oO どうやら太子には人を見る目があるらしい…』
劉備はそう想い素直に喜ぶ。孔明の報告から、太子が慈愛に満ちた民想いの人柄である事は承知していた。
そして配下の扱いにもそれは通じていて、目配りを欠かさないという。国家百年の計とも呼べる河川整備と運河構築を目標に掲げ、本格的な海洋交易に乗り出し、国を潤す。
そしてこの目標そのものを推進する手立てに、賃金を払う決断をした事が民の労働環境を整える事にもつながるのである。
おそらくはこの当時、公共の事業が公共の福祉に寄与するという概念そのものが無かったに等しい。なぜなら民の労動は謂わば徴発に依るものであり、強制労働だったからである。
劉備自身も太子が賃金を払うと提案した時に懸念を示した。けれども地域経済の活性化は、ひいては国の経済をも活性化し、潤すとの孔明の見解を入れて決断したのだ。
『=͟͟͞͞(◍′_₍‵◍٥)我が子ながらとんでもない事を考えつく奴だ!!』
劉備は正直なところ肝を冷やした。太子に対し、末恐しささえ感じていた。
そして想った。幼な子を地に叩きつける行き過ぎた行為の事である。
『=͟͟͞͞(ღ◍′_₍‵◍٥)少し刺激が強過ぎたかしらん…』
余りにも命に対して不遜な考え方である事は承知の上だった。
けれどもあれだけ凡庸だった太子が、突如として超人的な力を発揮し出したのだから、寄る術となる根拠が欲しかったのかも知れない。
そして太子の掲げる骨子の二つ目が人材の登用...否、発掘といった方が良いか。これには育成も含まれる。
『自ら考えて行動する自由』
この方針を語る時の孔明の瞳は輝いていた。太子を絶賛し、早速成都に於いても実践するように提言されたものである。
そしてそれは実践されていた。
孔明の太子に賭ける期待は半端無い。それが証拠にどんどん自分の育てた手駒をここ荊州に送り込んでいる。
果たして公嗣がここに来なければ、そんな事はしていないのでは無いか。劉備はそう確信していた。
『=͟͟͞͞(ღ◍′_₍‵◍٥)あの潘濬という男。そしてこの儂を避け続けた劉巴も従っているという。それどころかあの雲長と子龍が肩を持ち、嬉しそうに語る仕草。孔明とて例外では無い。糜竺や董允にも散々褒めそやされ、ここに来たら伊籍や馬良がそれだ。王としても親としても嬉しいには違いないが、なぜこうも皆が公嗣ばかりを褒める?儂は少々嫉妬しちゃうぞ!』
劉備は少々面白くは無かった。けれども同時にどこかでホッとしている自分も居るのだ。
元々凡庸な太子に国を任せて大丈夫なのかと日夜心配していたのだから当然だろう。今はそれが解消されただけでも素直に喜びたいところだが、出来過ぎが気に入らないのである。
人の感情とは不思議なものだ。これが最上というものが無い。枚挙にいとまが無いのである。
『=͟͟͞͞(◍′_₍‵◍٥)果たして、素直に褒めてやれるか…』
そんなつまらない感情に苛まれる自分との葛藤。今さらながら自分も凡人だったと劉備は想い知らされていた。
「父上!…⁽⁽ღ(`• ᴥ •´*)お呼びでしょうか?」
劉封は溌剌とした笑顔でやって来た。太子の事を考えていた劉備にとって、自分と似た臭いがするこの男と向き合っていると不思議と安心する。
劉備は想わずほくそ笑んだ。
「おう、来たか!ꉂꉂ(◍′◡‵◍*)まぁここに座われ♪」
劉備が席を勧めると、劉封は「⁽⁽(`• ᴥ •´*)では、お言葉に甘えて♪」と言ってチョコンと座った。劉備は「おやっ"(◍′◡‵◍)?」と感じた。
以前の劉封ならば躊躇した筈である。現に昨日、出向かえの際には躊躇っていたではないか。
拍子抜けした彼は戸惑いを感じたものの、顔には出さずに子の表情をつぶさに眺めた。良い顔をしている。
憑き物が取れたようなすっきりとした表情でこちらを見ていた。
「どうだ?(*◍′◡‵◍)੭ ੈ一杯やるかね♪」
劉備は酒を勧めた。その方が口が滑らかになるかと気を使ったのである。
劉備にしては珍しい事だ。けれども劉封は感謝の言葉とともにこれを辞した。
「父上…✧(ღ`• ᴥ •´٥)お気持ちは有り難く思いますが、私は午後には上庸に帰ります。部下に示しがつきませんのでその儀は辞退致したく!」
「おぉ…(◍′ ᗜ ‵◍٥)そうか!お前の言う通りだな。では茶でも飲むか♪」
「はい!(*`• ᴥ •´)⁾⁾ では私が煎れましょう♪」
劉封はそう言うとすぐに立ち、例の茶を煎れて父親に勧めた。
「ほぉ~ꉂꉂ(◍′ ᗜ ‵◍*)お前、これは黄金茶じゃないか!いったいどこで手に入れたのだ?かなり貴重で高価な物だぞ♪」
「はい!⁽⁽(`• ᴥ •´*)実は昨日、公嗣から分けて貰ったのですよ♪」
劉封はその経緯を説明した。
「ふんふん♪あの協力を申し出てくれた青柳商団の...…Σ(◍ ºΔº◍٥)そうか!儂も良い所に来たらしい。こいつはなかなか手に入らぬ優れ物ぞ♪お相伴に預かれて光栄であった。公嗣に礼を言っておくとしよう♪」
劉備は一気に気分を良くする。美味しい茶は人の気持ちを解すものらしい。ひと時の清涼剤なのである。
「そうですな…(*`• ᴥ •´)ღ⁾⁾ 皆にも飲ませてやりたい♪そう想っています!」
劉封もそう応じた。
劉備は驚いた。この劉封が部下を想う気持ちを切々と語っている。
『公嗣だけでは無い!(◍ ºΔº◍٥)こいつも見ぬ間に成長しているのだ…』
そう想うと劉備は途端に嬉しさがこみ上げて来た。先程までの些細な憂いなど、いつの間にか忘れていた。
「それで…(◍′ ᗜ ‵◍)この儂の与えた目標は達成出来たのかね?」
然り気無く問う劉備の問いに劉封は頷く。
「えぇ…(*`• ᴥ •´)੭ ੈおそらく!孟達を危ぶみ、統制を取れとの仰せでしたな♪当初はその意図を私は誤解しておりました。彼を監視し、その翼を捥ぎかねない勢いでしたが、ある事が切っ掛けとなって方針を変えたのです!」
劉封は孟達の良い面を見つけて拾ってやり、彼に信頼を示した事から、情況が一変して全てが順調に廻り始めた事を説明した。
孟達に安心感と責任を同時に与える事で、劉封も孟達の信頼を勝ち得たのである。それは"やり甲斐"を与えたも同然の采配であった。
「ꉂꉂ(`• ᴥ •´๑)お陰様で上庸は一枚岩と成れました。孟達も大守としての責任の重さを痛感しているようです。都督としての私にも一目置き、今は何でも相談してくれています。父上が私を派遣した意味は単なる足し算ではなく、一致協力すれば掛け算にも成り得る事を教えるためだったのですね♪父上の見込み通り、彼の地はそう成りました。私も今さらながら、責任の重さを益々痛感しております!」
「(ღ◍′◡‵◍*)ほぉ~♪」
劉備は感心していた。勿論、この結論は劉備の求めた答えとはかけ離れた解答である。
彼の与えた使命は孟達を上手く使いこなす事だった。けして心服させる事を求めたものでは無かったのだ。
ところが劉封は結果としてそれ以上の関係を構築し、協力する事がより大きな力を生む事すら理解し、堂々と披露してみせたのである。これは劉備にとって嬉しい誤算だった。
「良くぞ申した⁽⁽ღ(◍′ ᗜ ‵◍)♪お前はこの私の意向を良く鑑み、見事に成し逐げたのだな!あっぱれである。そして父は誇らしいぞ♪特にお前が最後に言った言葉は、この儂の胸に心地好く響いた。"勝って兜の緒を締めよ"とはその事ぞ!」
劉備は感激の余り、在らん限りの言葉尻で息子を褒めた。
劉封は余り褒められた記憶が無いためか、呆気に取られたように聞いていたが、その言葉が終わった瞬間にその眼からは自然と涙が溢れていた。
彼は小っ恥ずかしそうに手でその涙を拭い、前を向く。するとその身体がいつの間にか引き寄せられて、父親の胸に抱き締められていた。
父と子がうん十年振りに判り合えた瞬間だった。劉封も背中に廻した腕に自然と力が込もっていた。
「いゃいゃ…=͟͟͞͞(◍′ ࡇ ‵◍٥)逞しくなったのぅ~♪今後は少々手加減で頼む!」
劉備は嬉しそうにそう告げた。
「はぁ〜(ღ`• ᴥ •´٥)すみません!以後気をつけます…」
劉封はほうほうの体で陳謝する。
「この阿呆がღ(◍′ ᗜ ‵◍)♪これ以上の喜びは無いと言っておる!」
劉備はそう諭し、愉しそうに笑った。
「父上!(٥`• ᴥ •´)੭ ੈ私は決めました。今後どんな苦難に遭おうとも、私は公嗣を支えて盛り立てますぞ♪けして二心は抱かないとここにお誓い申し上げます。あいつとも腹を割って話しが出来ました。昔と変わらぬ可愛い弟です。そして将来の主人として申し分の無い器だと想っています。約束したのですよ♪どんな事が在ろうとも必ず守ってやるとね!」
嬉しそうにそう答える劉封を眺めながら、劉備も「⁽⁽(◍′ ᗜ ‵◍)ウン!ウン!」と頷き「宜しく頼むぞღ(◍′ ᗜ ‵◍*)♪」と謝意を示した。二人はその後も愉しく談笑を続け、満面の笑みで別れを告げた。
上庸に戻って行く劉封を見えなくなるまで劉備は見送った。
『(ღ◍′◡‵◍*).。oO 子とはいつの間にか成長して行くものだ…』
彼はそう感じていた。
それと同時に『ε- (◍′ ࡇ ‵◍٥)お前もか…』とも想っていた。劉封でさえ影響を受けてしまう我が子のカリスマ性に最早、言葉の無い劉備だった。
「お~い♪お〜い♪⁽⁽ღ(•̀ ᗜ•́๑)(๑•̀ᗜ •́)੭⁾⁾ 兄ちゃ~ん♪」
劉封が馬を走らせていると、前方でピョンピョンと跳びはねている若者が居る。我らが北斗ちゃんであった。
そしてその横には寄り添うように潘濬と田穂が控えている。
「おぅ~公嗣⁽⁽ღ(`• ᴥ •´*)♪」
劉封は馬を御すとスルリと下馬して近づいて来た。その身のこなしは自然であり、恰好が良い。
「良く判ったな!ꉂꉂ(`• ᴥ •´*)挨拶もろくにせず、すまんな♪」
劉封は頭を下げる。
「(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧何、言ってんだい兄ちゃん♪僕が気づかないとでも想ったのかい?何てね!潘濬に教えて貰って気づいたんだけどね♪」
北斗ちゃんは「(*≧ᯅ≦)テへへ♪」と微笑む。
「(*`• ᴥ •´)੭ ੈ私もそろそろ持ち場に戻らんとな!孟達にもかなり負担をかけておる♪」
「うん、判ってる♪(∗˃̶ ᵕ ˂̶∗)今回は有り難う。兄ちゃんと久し振りに会えたし、話しもたくさん出来たね♪嬉しかった。最後の最後で愉しいオマケも付いた。一緒に出撃したんだ!僕、とっても興奮したよ♪お陰で助かったんだ!しばらくまた会えないけど、いつでも待ってる♪」
「あぁ…⁽⁽(`• ᴥ •´*)そうだな!公嗣、お前も元気でやれ♪互いに力を尽くして頑張っていれば、その内また会える時も来るさ…ゴホン!若君、貴方の目標が達成出来る事を願っておりますぞ♪」
劉封は最後は畏まってそう告げた。
「ウン♪(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 有り難う!兄ちゃんもね♪」
「⁽⁽(`• ᴥ •´*)潘濬殿、田穂殿、貴方たちにも世話になった!引き続き弟の事を宜しく頼む♪」
劉封は二人にも感謝の意を示す。
「「えぇ♪(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾(*`ᗜ´٥)⁾⁾ 勿論!!」」
二人はハモるようにそう応えた。
「(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈ✧壮健で!」
「(*`ᗜ´٥)੭ ੈはっちゃけて下せぇ~♪」
最後は二人ともらしい言葉を贈った。
「あぁ!✧ღ(`• ᴥ •´ღ)無論です♪私は私にしか出来ぬ事を淡々と相務めますよ!」
劉封はそう言い終えるや、颯爽と馬に跨がる。
「Oo。.(`• ᴥ •´*)ではサラバです♪」
小気味の良い言葉を残し、劉封はあっという間に小さくなり、やがて消えた。
残された三人はしばらく佇むように地平線の彼方を眺めていたが、おもむろに口を開いたのは北斗ちゃんだった。
「๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
そう告げた彼の瞳には涙が浮かんでいた。えも言われぬ嬉し涙だった。
【次回】愛憎の先へ




