信頼こそが力
北斗ちゃんはピョンピョンと高速で跳ねて、翔ぶ様な勢いで館に戻って来る。すると費観と費禕が彼を待っていた。
「(;><)若!どこ行ってたんです!探しましたぞ!」と費観。
「(;^∀^)若!良かった…心配しましたぞ!」と費禕。
「( -_・)あぁ…ちと不味い事になってな!弎坐を人質に取られた!」
「「(;><)(;^∀^)何ですとぅ!!」」
北斗ちゃんは事の経緯を二人に告げた。
「(;^∀^)それは不味いですな…で!どうするんです?」
「(;><)費禕、お前何言っとる?関羽将軍に言って加勢を頼もう!」
「( -_・)あぁ…そりゃあ駄目だな!言ったろう?弎坐が人質になってるんだ。ひとまずは奴らのいう通りにするほか在るまい…」
「(;><)若、しかし…」
「( -_・)…考えても見ろ!僕達は何だ♪チーム北斗ちゃん何だぞ!費観お前も、費禕お前も、そして弎坐もそうだ!皆、苦しい思いをしてここまで旅して来た仲間じゃあないか!僕は誰が欠けても困る…」
「(;><)それはそうですが…」
「(;^∀^)待て!費観…若の言われる事にも一理ある。確かに人ひとりの命が懸かっているのだ!軽々しくは動けぬ!」
「( -_・)まぁ…そういう事だな♪」
「(;^∀^)但し!若…貴方は我が国の太子だと言う事を片時もお忘れに成りませぬ様に!」
「(;><)私もそれを心配しとります!」
「( -_・)…判ってるつもりだ!だが今は行くほか在るまい…行かなきゃ弎坐は明日にも河に浮くぞ!これは脅しでは無い…まじだ!で、どうするつもりだ?費禕、何か策が在るのか!」
「(;^∀^)…否、特には!ですが、私がお供します!私なら華奢ですし、医者のお供に見えるかと!それに薬の調合や包帯くらいは巻けますぞ!」
「( -_・)あぁ…確かに!お前さんも華侘先生に傾倒してたもんな♪良し、供を許そう♪それに荷物もひとりでは持てんから丁度良い言い訳には成る!」
「(;><)若!私も!」
「( -_・)それは駄目だ!余り団体さんで乗り込むと疑いを招く…ここは僕と費禕で乗り切るほか無い!」
「(;><)しかし…私も一員ですぞ!」
「( -_・)お前上手い事を言うね♪そんな言い方されたら味噌っかすには出来ないな…う~ん!そうだ♪ちと耳を貸せ?」
『ゴニョゴニョ…( -_・)(;><)ハ!成る程!判りました!そうします!』
北斗ちゃんの言葉に費観は直ぐに納得して、頷く。どうやら何か策を授けたらしい。
「( -_・)但し、あくまで保険だ!いいね?僕の予想ではそんな必要は無いと想うが、予測が外れると不味いからね…判った?」
「(;><)判っております!それは徹底させます…どうかご無事で!」
「(^。^;)あぁ…心配いらん!心配なのはどちらかというとこいつだな♪使わないで済むと良いが…」
北斗ちゃんは華侘先生から頂いた小刀を握りながら、想わずそう呟いた。
「( -_・)じゃあ…チーム北斗ちゃん始動!費禕行くよ♪」
「(;^∀^)ハハァ…」
こうして二人は荷物を準備すると、それを抱えながら一目散に駆けて行く。費観は見送りたい気持ちを抑えて、腹に力を込めるとゆっくりと動き出す。辺りを窺い、スゥっとその場から消えた。
二人は必死に走る。但し荷物を抱えているので必死の顔の割には足許は進まない。
「ドタドタドタ…」「ピョンピョン…」
そんな感じである。額や蟀谷からは汗が吹き出し必死の形相をしながら、それでもようやく茶屋の前まで辿り着いた。
「( -_・)ん?お前さん何をしとるのかね?」
北斗ちゃんは想わず声を掛ける。
「( ;`ー´)ふん!カモフラージュに決まっておろうが…こんな所でたむろしてたら怪しまれる!」
白装束の首領は『パクパクムシャムシャ』と音を立てながら旨そうに団子を食べている。その止めに『ズゥ~ズゥ~』と然も旨そうに茶を啜った。何とものんびりと構えた輩である。
『( ; -_・)絶対にカモフラージュじゃないな…?あんなに旨そうな音は普通は立てまい!』
北斗ちゃんは断定した。まぁ…どうでもいい事ではあるが(笑)
「( -_・)準備出来たぞ!案内しろ?」
「( `ー´)"うん?あぁ…そうだな!行くか!」
首領は団子がひと串残っているのを然も恨めしそうに眺めながら、駄賃を置くと立ち上がった。
「( `ー´)こっちだ!」
『( -_・)…絶対にカモフラージュじゃないな?』
その恨めしそうな視線を北斗ちゃんは見逃さなかった…こうして、彼らは団子ひと串に別れを告げて先を急いだ。
「(-ω-;)北斗ちゃん!それにひぃさん!」
「( -_・)"おお!弎坐、無事だったか…良く頑張った♪今度また団子奢ってやるぞ♪」
「(-ω-;)ほんとですかぁ~そりは嬉ちい♪」
現金な者である。弎坐は精神力を50回復した!(笑)
「( -_・)で?患者は??」
「( `ー´)こっちだ!」
「( ; -_・)ありぃ~やっぱこうなるのね…」
ひとりの男が苦しそうに横たわっている。彼は背中を斬られたらしく白装束に血染めの華が咲いていた。そしてどす黒く変色した鮮血を装束がすっかり吸ってしまっている。
「( -_・)取り敢えず上体を起こして服を脱がせよう…費禕、そして団子男!お前も手伝え…」
「(;^∀^)はい!」
「( ;`ー´)…あぁ」
団子男と呼び捨てにされ、男は少し不本意だが、事ここに至っては致し方無い。素直に手を貸す。周りの配下達は『なぜ団子?』と不思議そうな顔をしている。
費禕と団子男が協力して服を脱がせている間に、北斗ちゃんは白衣に着替えて準備をする。火を起こして棗に火を着けた。これで小刀を消毒するのだ。
「( -_・)おい!お前とお前、お湯を桶に張って持って来い!至急だ!」
白装束の仲間達も仲間の容態が大事なのだろう…矢の様に慌てて飛んで行く。
「( -_・)良し!服を脱がせたな♪そのまま横向きに寝かせろ!そうじゃない!うつ伏せは不味い…横でいいんだ!」
うつ伏せだと患者が息が出来ないと不味い…彼らは言う通りに横向きに寝かせた。北斗ちゃんは患部を観察する…かなり深く斬られた様である。肉が斬れて腫れも酷い。
『( -_・)…血が溜まってると不味いな…紫に変色してないから、毒は心配無さそうだ!少し切って血を抜かねば…』
「( -_・)おい!お前たち、良く聞け!患者が意識を失ってるからお前達に説明しておく!今からこいつのここの部分とここの部分を切って血を抜く…」
「…心配するな、大事無い。血を抜いたら患部を消毒して、塗り薬を塗り込む。こいつは化膿を防ぐ…て言っても理解出来んか?化膿なんて華侘先生の受け売りだからな!まぁ後々腐らん様にするって事だ…」
「…それが終われば縫合する、あ!縫うのね?判る??後は無理をさせるな!なるべく動かすな!いいね( -_・)?」
北斗ちゃんは施術を開始する。血を抜くだけとは言え、生きた肌を切るのは初めてだから緊張が襲う。彼はゴクリと唾を呑み込むと、決意した様に神経を研ぎ澄ませた。
白装束の面々にも緊張感が走る。皆、懸命に見守っている様だった。北斗ちゃんは棗の火で小刀を焼くと、患部に沿って刃を入れる。
プチっと生きた感触が刃を通して彼にも伝わった。
『( ; -_・)うわぁ~こりはエグい!でも我慢だ!我慢!人の命を救うためだ!頑張れ頑張れ…』
彼は自分を励ましながら、何とか二ヶ所に刃を入れて血を抜いた。やはり予想通り、血が溜まっていた。それを布地で拭き取り、患部の消毒に入る。
「( -_・)こいつはドクダミの汁だ…殺菌作用と炎症を抑えられる…て言っても判らんよな!まぁ患部を消毒出来るものだ♪」
北斗ちゃんが消毒をしている間に費禕が塗り薬を捏ねて作る。華侘先生の所でちゃんと手伝っていた成果で在ろう。
北斗ちゃんはその塗り薬を塗り込み、縫合に入る。患部が広いため厄介だったが、何とか乗り切った。彼はひとりでは無かったにしろ、費禕の献身的な協力を得て、華侘先生抜きで最後までやりきったのである。
「( ; -_・)フゥ~終わったぞ!後はさっき言った様に安静にさせるのだ!無理をさせるとまた悪化させるからな!いいな!」
神経を集中させていたためドッと疲れが襲って来る。彼は包帯を巻いた糸車を費禕に持たせて、患部の上から巻いて行く。これで完全にやる事は無くなった。
沸かせて持って来させた熱湯で小刀や道具を煮沸する。彼はそこで力尽きる。ぐったりして敵地にも拘わらず、倒れこむ様にふらつく。それを優しく弎坐が抱き留めた。
「(-ω-#)さぁ…やる事はやったんだから返してくれ!」
弎坐は北斗ちゃんを抱き締めながら叫ぶ。馴れないせいかそれは素っ頓狂さを伴うものと成ったが、その表情は決意に満ちていた。
費禕はひとまず道具類をまとめながら、患者の容態を観ていた。ひとまずは落ち着いている。ここを出る事も大切だが、主君の姿勢を貫く。彼ならばそうする筈だという事を代わりにこなす。
「( `ー´)…ふん!お前なかなか悪くない…ただのビビリでは無かったんだな?気に入ったよ♪」
「(-ω-;)…返事を聞こう!」
「( `ー´)…心配するな♪ちゃんと開放するさ!」
「(-ω-;)本当か?」
「( `ー´)あぁ…本当だ♪仁義は守ると言ったろう?ただ…」
「「(-ω-;)(^∀^;)ただ??」」
「( *`ー´)…ただ一言先生にお礼が言いたかったな♪これではね…助手の費禕と言ったか?お前も有り難う♪助かったよ…先生が気づいたら厚く礼を述べておいてくれ!これはお礼だ♪取っておいてくれ!」
白装束の首領は小箱を差し出した。
「(^∀^;)否…我々は命を助けるために来たのだ♪人の命を金には代えられない!…とまぁ我が主ならばそう言うに違いない。だからそれはいらない!」
「(-ω-;)そうだ!そうだ!…」
弎坐はそう言いながら少し考える。
『(~q~;)…お団子に変えたら一生食えそうだ…』
「( `ー´)…それは悪かったな♪存外欲の無い方々だ!だが、そうもいかん!それでは私が我が主に叱られるのでな…そうだ!人質も取った事だし、わざわざお呼び立てもしたのだ!こいつは迷惑料だと思って貰おうか♪」
「(^∀^;)どうしても?」
「( `ー´)…あぁ、どうしてもだ!」
「(^∀^*)判った…そういう事なら病人を観る費用に充てさせて貰う、それならば主も嫌とは言うまい!」
「( `ー´)では送ろうか?団子屋までで良いか?」
「(^∀^*)あぁ…頼む!」
「( `ー´)お前も迷惑をかけたな♪許せ、この通り!」
「(-ω-;)許すよ!人の命が大事だからな…にしてもあんたが首領じゃ無かったのね?」
「( `ー´)あぁ…主はあの方だ!」
彼は倒れている男を振り返った。処置が行き届いたのかすやすや寝ている。
「(^∀^*)替えの薬類は置いて行く。一日置きに変えてあげてくれ!後、目が覚めたら当分痛みがあるだろうから、それは我慢する事だな!念のため、痛み止めも置いて行くから飲ませたまえ!」
「( `ー´)重ね重ね片じけない!では行こうか♪」
こうして一行は無事に開放される運びとなった。
「( ×_×)(;-ω-)……」
事を納めた若き太子は弎坐の背中に抱かれてぐったりと目を回したままだった。
「( *`ー´)しかしこの坊主大した男だったな!」
「(^∀^*)当たり前だ♪我らの主人だからな…」
「( `ー´)……」
白装束の首領は、もとい首領代理は感心そうに気絶している北斗ちゃんを眺めていた。
費禕は若君の代理として医者の助手としての立場を貫く事に徹した。本来ならば、『次に会ったら覚悟せよ!』くらいは言いたい所だが、矛を納めたまま、黙って従う。
白装束の一団は約束通り、茶屋で彼らを開放してくれた。
「( `ー´)…もう会う事も在るまい、ではな!」
「(^∀^;)(-ω-;)( ×_× )…」
彼らは約束を守ったのだった。
「(*^∀^)帰ろう…(-ω-;)あぃ♪」
費禕と弎坐は北斗ちゃんを連れて家路に着く。そんな彼らを陰ながら見守っている男達がいた。
「( ̄^ ̄)どうやら事なきを得たようだね…」
彼は微笑む。
「ええ…(;><)私もホッとしました。御足労感謝致します!」
費観は丁重に頭を下げた。
「( ̄^ ̄)なあに…若君の無事が第一だ!お前は正しいよ…では私はもう行くが、後で会いに行くと伝えておいてくれ!」
「(;><)はい!承知しました…」
彼は去って行った。
『(;゜0゜)どうやら若君の仰有る通りになったな、無事に開放するとは驚いた…』
費観は主の判断力に舌を巻いていた。
『(*゜0゜)さて私も行くか…これから忙しく成りそうだ!』
辺りはすっかり陽が落ちつつあり、夕暮れ時を迎えていた。彼はその街並みに溶け込む様に帰途に着いた。