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隙間風

彼が血だらけの布に包んだ阿斗を守り切り、嬉しそうに劉備に差し出した時、その身体はあちらこちらが傷だらけで血が滲み、その道行きの凄惨(せいさん)さが窺えた。


その(ひたい)からは滲んだ血の汗が流れていて、相当な疲れを感じさせたのである。


にも拘らず彼の瞳は輝いており、和子(わこ)を守り切った満足感で高揚していた。そんなに嬉しそうに差し出されたら、劉備でさえも泣いてしまう。


我が子を命賭けで救った男に感謝が無い訳では決してなかった。彼もだからこそ一旦はその血だらけの布に包まれた我が子を大事そうに受け取った。


命賭けで救い、差し出された命である。人としての感情があれば、受け取らぬ者など居るまい。


そしてこういった場合、恐らく誰でもする事を劉備も行った。彼も人の親であり、血の通った人である以上、その当たり前の行程を踏む。


劉備は慌てて布から赤子の顔を出し、その生死を確かめる。それが人の親で在る(あかし)であった。


すると阿斗は劉備の顔を見るなりニッコリと笑ったのである。果たして赤子に大人並みの感情表現が出来るものなのか、それは判らない。


けれども赤子なりに親を安心させたい…その一心で浮かべた笑みだったかも知れない。


『僕は無事だよ♪ちゃんと生きているよ!』


そう伝えたかったのかも知れないのだ。


けれどもこの場合、それが逆に作用したとしたらどうであろう。劉備は阿斗の笑顔を見てホッとした。ここまでは彼も普通の親としての愛情表現を示していたのだ。


しかしながら、彼はホッとした瞬間に自分が人の親である前に、皆を導き天下安寧を目指す指導者である事を思い出す。


そんな立場の自分が、その場の一切を一時的にせよ、投げ出し、私情を優先させた事に慟哭(どうこく)し、我に返った時にその視線の先に傷ついた男・趙雲を認めたとしたらどうだろう。


彼はハッとする。傷ついた男が手を顔にやり、(むせ)び泣く姿を見て動揺し、誤解する。


『しまった!=͟͟͞͞(ღ◍′_₍‵◍٥)公の場で私情を優先してしまった…』


劉備はその瞬間、頭が真白になる。周りを眺めると皆が泣いている。


本来は親子の再会を喜んでのものなのだが、彼はそう考えない。私情を挟んだ自分を皆が責めているのだ。そう想い込む。


普通は有り得ない話だが、カリスマ性を尊ぶ彼をして普通の親だった。凡人では無いか。部下の命はどうでも良いのか。そう皆が非難していると錯覚してしまったのである。


彼は赤子を地に叩き付けるつもりはサラサラ無かったが、素早く駆け寄るためには邪魔であり、非難の的であるものを単純に放り出した。


つまり叩き付けてはいないが放り出した。それが正しい表現であったかも知れない。


彼にその時、ほんのひと握りでも親の愛情が残っていたなら、従者に赤子をゆっくりと引き渡していたかも知れないが、心に余裕の無くなっていた彼は、忌み嫌うものとして赤子を放り出し、傷ついた趙雲に駆け寄った。


恐らくそれが真相であろう。劉備は趙雲を抱き留め、「(#◍′罒‵◍)੭ ੈあやつの為にあたら勇者を無駄死にさせるところであったわ!」そう言ったのである。


彼にとっては苦渋の選択であったが、周りの者は驚き慌てた。放り出されても泣かない赤子にドキリとしたのである。


幸いにも拾い上げた赤子は息をしていたが、それ以来、笑わぬ幼児として成長して行く結果となるのである。


劉備はその場を乗り切り、当時江夏に拠点を置いていた劉琦(りゅうき)の許に逃げ延びた後、じわじわと親の気持ちを取り戻したが、時既に遅かった。


皆、恐れ多くて諫言する者は居ない。否…情勢がそんな悠長な事を許さなかったと言った方が良いのかも知れない。


そして劉備は、この時以来、我が子に負い目を逐った。何度か抱き上げてみたが、阿斗が笑う事は無かった。


今想えば、頭痛を負った者が笑わないのは自明の理である。けれどもその時にはまだ判らなかったのだ。


当然、自分を見て笑わない子に対して、彼は息苦しさを感じ、彼の愛情は日に日に冷めて行く結果となったのである。


それ以来、彼は我が子を避けるように、戦場を渡り歩いた。戦に没頭している時だけは、過去の(ぬぐ)えぬ軋轢(あつれき)を忘れる事が出来たのである。


その執念が彼の(かて)となり、より自分の王道を達成するための反骨心となったとしたなら、これは皮肉としか言いようが無い。


彼は遂に漢中王まで昇り詰め、今に至る。そういう事で在った。




『(ღ◍′◡‵◍٥)あれ以来、子龍は陰ながら公嗣を可愛がって来たという…今回の行動はある意味、必然で有り、あの時の負い目を拭うものだったに違い在るまい。この儂が我が子に負い目を逐った日に、子龍も阿斗に負い目を背負う事になったのだ。子龍にそんな負い目を背負わせる原因になったのは、この儂だ。そう考えればどうして責める事など出来ようか?儂に出来ぬ事をこやつはやり抜いた。それだけでも称賛に値する。否…親として感謝せねば為らんな!』


劉備はそう想っていた。


一方の趙雲にも想うところはあった。常に衆人の視線に(さら)されている主人・劉玄徳は、絶えず緊張感を強いられて来た。


カリスマの人、皇帝の叔父(劉皇叔)などと呼ばれ、その一挙手一投足は周りの注目を集め、心休まる暇も無い。


『(٥ ̄^ ̄)私がお止めするべきだったのだ…』


それが趙雲の悔いである。


そして彼は実際のところ、あの時にいち早く気づき反射的に動こうとしたのだ。けれども動けなかった。


敵中を突破し、数々の猛者を退け、阿斗様を差し出すまでの間に、さすがの彼も限界を越えていたのである。


彼は「あっ!」と 叫ぶ間も無く、そのショックから次の瞬間、意識を失った程であったから、その後悔は半端無かったと言って良い。


彼はずっとそれを悔やみ、自分に何が出来るかを考えて来た。その姿勢は若君を可愛がり、愛情を注ぐ事で結実する。


やがて本来の姿を取り戻した若君から声が掛かるや、彼に馳せ参じる以外の選択技は無かった。否…この時を待って居たと言っても良い。


彼は進んで荊州に向かう決断をしたのだ。そのためには仮病を使うほか無かった。


それが真相である。


普通に(かんが)みれば、趙雲が負う責めでは無いが、彼は心優しき人だった。そういう事である。


「否…(٥◍′_₍‵◍ღ)お前には感謝してもしきれない。お前に非は無い。良くやってくれた♪有り難う。そしてこれからも公嗣の事を宜しく頼む!」


劉備はそう言って趙雲を再び労う。


「(* ̄^  ̄ *٥)恐れ入ります。最善を尽します♪」


趙雲はそう答えると、一歩引いた。関羽も張飛も趙雲の肩を叩き、労う。


そして劉備はこの二人と肩を組み、愉しそうに城門へと向かう。その少し後から趙雲が続いた。




「おや?(◍′ ᗜ ‵◍٥)…」


劉備はすぐに気づく。彼の視線の先に居たのは劉封であった。


劉封も気づく。その想わぬ反応にドキリとする。一瞬の内にその動揺は身体中を駆け巡り、両肩をピクリと反応させた。


それもその筈… 彼にとっては想定外の事である。当然、公嗣の許へ真っしぐらだと想っていたので油断していた。


そうこうしている間にも義父はこちらに向かって来る。心の準備が出来ていなかった劉封はドクンドクンと激しく鳴る鼓動と闘う羽目になった。


「(◍′ ᗜ ‵◍)劉封、久しいな♪随分と逞しくなったな!」


案の定、話し掛けられた劉封は胸に手を当て、その高鳴りを抑えるように答える。


「=͟͟͞͞(`• ᴥ •´٥)こ、これは義父上、ご無沙汰しております。お、お陰様で元気にやっとります!義父上もお替わり無く何よりです♪」


何とか言い切った劉封は少し落ち着く。劉備はその両肩に手を乗せると、ポンポンと軽く叩き、「あぁ…(◍′ ᗜ ‵◍)お陰様でな!」と言った。


そしてふと異和感を感じたように首を捻ると、おもむろに訊ねた。


「ところでお前…(◍ ºΔº◍٥)上庸に居る筈だが、ここで何をしておる?」


もっともな質問である。そして痛い所を突いて来る。


彼が上庸に派遣される時に負った使命の一つが孟達の監視だった。劉封の心音(しんおん)はまたまた高鳴る。


どうもこの人は義父の前では緊張する性質(たち)らしい。嫌われてはいけない。行き過ぎてもいけない。落胆させてもいけない。まるでそれはあの曹丕と同じである。


普段は落ち着きのある剛の者が、義父の前では萎縮してしまうのだ。そして彼は考え過ぎてしまう人だった。


言い方を間違えると誤解されてしまう。在らぬ叱責を受ける。そう想い込むと負の連鎖に陥る。


劉封は体制刷新の式典に招待を受けて来ている。そして翌朝到着する王を迎えるためにここに残った。


事実は如何にも単純であり、明快である。そして孟達とも既に和解し、信を置いている。それが全てだった。


「上庸は盤石!」そう成都宛にも報告している。だから彼は特に虚を突かれるような事は何も無い。


けれども考え過ぎてしまう悪い癖が、ここで出る。当然、彼は言葉に詰まる。素直に話せば済む話がややこしくなる。


これでは何か(やま)しい事を抱えているか、王に対して含むところがあるように見える。


潘濬辺りは劉備同様に孟達を信じていなかった訳で、それが事実確認へと走らせた訳だが、同様に相手あっての事と、実は密かにこの劉封の事も下調べをしていた。


その時に想い当たった節が、『まるで魏王に対する曹丕殿のようだ…』という事であった。だから彼はすぐに『(ꐦ •" ຼ •)不味い…』と感じ、若君の脇を(つつ)いた。


彼は立場上、止めたくても止められないからである。(つつ)かれた北斗ちゃんもその視線は既に義兄を凝視しており、手で潘濬を抑えると同時に合図を送る。


そして皆の視線が集まるように、殊更大声で注意を引いた。


「この僕が招待したのです!ꉂꉂ(°ᗜ°٥)それで宜しいでしょう♪」


当然の事ながら、皆の視線は若君に集まる。そして同様に劉備も反射的に振り向く。


すると、ここで気の利く男が王の耳に(ささや)く。趙雲であった。


「ウンウン…Σ(◍ ºΔº◍٥)ほほぅ、成る程…フンフン、判った!」


劉備は趙雲に礼を述べると、すぐに劉封に話し掛けた。


「(◍′ ࡇ ‵◍)=3 お前は相変わらず、この儂が苦手なのだな!少々ショックだわ…」


劉備はもはや隠すでも無く、溜め息を吐く。


「まぁ良い…(◍′ ࡇ ‵◍٥)話は判った。詰問したつもりは無いのだがのぅ。愛情は変わらぬ…そう念を押しておくぞ!後でゆっくり話そう♪」


劉備はそう伝えると、改めて我が子を見つめた。


劉封は恥入った様に頬を染める。そして「申し訳御座いません。=͟͟͞͞(`• ᴥ •´ღ٥)そんなつもりでは…」と言った。


劉備は既に機嫌が直っていたのでそれを手で制し、「⁽⁽ღ(◍′ ᗜ ‵◍)良い!良い!」と告げた後、軽く劉封の肩をポンポンと叩き労った。そして大声を上げたもう一人の我が子の許へと真っしぐらに歩みを進めた。


『来る…✧(❛ ࡇ ❛´٥๑)』


北斗ちゃんも少し身構える。劉封ほどでは無いにしても彼もこの父親が苦手であった。


苦手意識と心の中の(わだかま)りはまた別のもののようだ。劉禅は心の奥底には未だにこの父親に対する蟠りを抱えている。


けれども苦手意識を抱えなければならない程、接して来た訳でも無いから、そんな意識は持ちようが無い。これもよくよく考えると可哀相な身の上である。


劉備は我が子の前まで来ると、何と腕を組んだまま凝視しており、その視線は頭の先から足許までゆっくりとそして舐め回すように移動する。


言葉を発しない劉備の姿勢に関羽ら三人も心配するように眺めていた。


そして北斗ちゃん自身も父親の姿をジッと見つめている。彼の方は劉備の表情のみを追っており、その視線は動かない。


そして父親の値踏みがひと通り終わり、その視線が彼の瞳に戻って来ると、ようやく挨拶に及んだ。その表情にはもう警戒心は欠片も無かった。


「⁽⁽ღ( •̀ ᗜ •́ *)これは父上、遠路遥々のお運び痛み入ります♪どうか長旅の疲れを取り、滞在中は健やかにお過ごし下さいますように!」


その見事なまでに洗練された物腰に、皆も想わず「おお♪」と言って感心したように眺めている。若君の先制パンチであった。


感心する皆の前である。当然の事ながら、劉備も(いささ)か影響を受けるに違いない。


そして(はばか)りのある者はその立場上、人目を気にする者なのである。ところが、この完璧と想えたその計算はこの男の前では水泡に帰する。


彼は王である前に一人の人としてかなり図々しく出来ていた。今も昔もその性根は自分本位なのである。


勿論、立場上そんな素振りは見せない。そしてある意味、部下想いで民を愛する男なのである。


なぜなら、彼は人たらしの達人であり、それは上手に相手の(ふところ)に入る。そういった事の出来る者は当然何が大事なのかを重々心得ている。


自らが好意を見せぬ限り、相手が自分に好意を向ける事は無い。それが入口である。そこからが彼の本領発揮であり、相手の懐にスルリと入りこむ。


誰でも(おもね)られれば悪い気はしないものだ。そういった法則が彼の身上の一貫を支えているのだ。


ところが今回の彼はひと味違った。相手は腐っても自分の子である。所詮、自分の種から産まれた子であり、自分の分身のようなものだ。


その(おご)った見方からか、或いは血を分けた肉親ゆえの気安さからか、劉備は只一言、こう言った。


「公嗣よ♪お前、何というか…(◍ ºΔº◍٥)随分と細身(スリム) になったものだな!見違えたぞ♪」


そう言って彼は無遠慮に笑う。いきなり大きなお世話である。


『地が出たな…(`艸 ´ ٥)』


関羽は顔をしかめる。


『興味本位が兄貴の悪い癖だ…(°᷄д°᷅٥ꐦ)』


張飛も苦笑する。


『気の毒な若…( ̄^ ̄٥)』


趙雲も心配げな表情となった。


この褒めているんだか、小馬鹿にしているんだか判らぬ物言いに、北斗ちゃんも吐息をつく。


『自由な人だ、そして自分本位な性根は変わらぬ…ε- ( •̀_₍•́ ٥)』


彼はそう想い、その皮肉も込めてこう答えた。


「それはどうも…ꉂꉂღ(°ᗜ°٥ღ)努力と根性の賜物(たまもの)です。皆も支えてくれましたしね!父上もお変わり無く安心致しました…」


そう冷静に切り返した若君は、然り気無くチラリと父親を眺めた。


劉備は「ほぅ~♪(◍′◡‵◍ღ)良かったでは無いか!努力と根性、大いに結講♪孔明もお前の事を褒めていたぞ!今後もその調子で励む事だな♪出迎え御苦労!」と言った。


北斗ちゃんは『やれやれ…(꒪⌓꒪ ٥)』と想いながらも、「有り難き幸せ♪(•́⌓•́๑)✧では父上、用意が出来ておりますので中へ!」と(いざな)い、接待役である潘濬に(ゆだ)ねる。


潘濬も(かしこ)まり、「✧(• ຼ"•ꐦ)どうぞこちらです!」とその役目を直ぐに引き継いだから、その場が(とどこお)る事は無かった。


「御通りだ!ꉂꉂ(٥`⌓´ღ٥)道を開けよ♪」


田穂のその言葉に、皆一斉に両脇を固め、そこに道が出来る。


劉備は潘濬と太子に先導されて歩みを進めた。そしてその後からは騎馬が続き、道中を守って来た兵の一団が整然と並び通り過ぎた。


皆、出迎えた者達は口々に、若君の颯爽(さっそう)たる姿と立派な物腰に感心仕切りであった。


けれども田穂の見方は別であった。彼は漢中王どころか、私人としての劉備玄徳に直に会うのも初めてだった。


そしてこの親子には、大きな見えぬ蟠りがある様に想えたのだ。それはおそらくあの事件なのだと彼は感じたのである。


『(〃`⌓´٥)=3 厄介な事にならねば良いが…』


それが田穂の正直な気持ちだった。




「(ง・ิ؎・ิ)あいすまぬが御主は宮廷の隊長さんかね?」


皆を統率し、解散させた直後に背後から話し掛けられた田穂は突然の事にビクッとした。まさか自分が背後を取られるとは想いもしなかったからである。


確かに少々考え事をしていた事は確かだが、一瞬の油断であった。ここが戦場で無くて幸いである。


もしそうなら彼は今頃、首を掻き切られていたに違いないのだ。直ぐに振り返ると、そこには二人の男達が(たたず)んでいた。


彼に話し掛けたのはその内の一人で、真っ白な髪の老人であった。


『(ღ`⌓´*).。oO 仙人か何かじゃ無かろうか?』


田穂は咄嗟にそう想い、驚きの表情で「仙人様ですか?(ღ٥`ᗜ´)੭ ੈ」と訊ねた。それなら自分が気づかなくても当然だと想ったのだ。


ところが案の定と言うべきか二人とも怪訝(けげん)な顔をしている。特に()の老人は呆れた顔を隠さない。機転を利かせた同伴の若者がこれを(なだ)めた。


「(๑˃̵ᴗ˂̵)✧法正様、道中お誓いになったではありませんか?劉巴殿に聞こえたら(バツ)が悪いですぞ!」


「判っとるわ!Σ(・ิ罒・ิ#ง)皆まで言うな。蔣琬(しょうえん)、黙れ!」


老人はそう宣うと「ꉂꉂ(・ิᗜ・ิ*ง)カッカッカ♪」と豪快に笑った。


「へっ?法正様…:;((`罒 ´٥ ))));:というと楼琬殿の父君っすか!蔣琬(しょうえん)様というと潘濬殿の義兄上様?これはこれは、とんだ御無礼を♪あっしは田穂と申しまして、衛尉を仰せつかっております。以後お見知りおき下さい…」


そう言うと深々と頭を下げた。


「何じゃ♪御主…(ง・ิ؎・ิ)衛尉殿か?これは失礼した。隊長さんとは失言であったわ♪」


法正も答礼する。


「それにしても愚息をご存知とはな!うちのはこいつ(蔣琬)や潘濬殿に比べて、才は間違いないが度胸が無い…(・ิ⌓・ิ٥ง)ん?待てよ、御主どうして知っておる。愚息とどこで出会った?」


法正は改めて聞き直す。田穂は桜琬の事を愚息、愚息と連呼され、馬鹿にされたように感じて想わず否定する。


「(#`罒´٥)੭ ੈあんた、楼琬殿の事を愚息、愚息とは何です?喩え彼のお父上でも許しませんぜ?」


田穂がそう(たけ)ると、法正は再び豪快に笑った。

【次回】葛藤

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