天命
皆の視線を浴びた桓鮮は馴れないせいか照れまくっている。そもそも間諜とは真逆の身を潜める仕事だからである。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ やぁ君か!今回もお手柄だったね♪君の報告は僕らを助けたんだ。胸を張って良い。お陰で僕も良い閃きを得られた。これは趙累のお陰でもある。彼にも江夏の様子を逐次報告させていたからね!」
これには「さすか若君♪」と皆の囁く声が谺する。桓鮮は「ウヒョヒョヒョ♪」とよっぽど褒められたのが嬉しいらしい。小踊りして喜んでいる。
それがまた奇妙ではあるが愛嬌がある。皆、やいのやいのと持て囃す。
するとここで関羽が場を制す。そして言った。
「(*`艸´*)それで、段取りはどうします?」
北斗ちゃんは我が意を得たりと直ぐに切り換えると頷き、皆に告げる。
「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ そうだね♪防衛線の死守については大将軍に一任する。但し、先程の姿勢は守る事。けして手は出さず、境界線は踏み外さずさ♪要は相手に付け入る隙を与え無ければそれで良い…」
「…(•́⌓•́๑)✧虞翻の方は僕と田穂と、そうだな、劉都督の三人で、この桓鮮を支えるから大丈夫だ。では爺ぃ~後は任せる。桓鮮はすぐに仲間を集めろ!兄ちゃんと田穂は共に来てくれ♪行くぞ!」
彼はそう指示を下すと、次の瞬間にはもう走り始めていた。劉封と田穂も後に続く。桓鮮はいつの間にか煙の様に消え失せていた。
その背後では大将軍・関羽による大号礼が谺していた。
「おい公嗣、待ってくれ!Σ(٥`‾᷄ ᴥ ‾᷅´ ღ٥)私も行くのか?」
劉封は駆け出しながらも弟に質した。勿論、彼も役に立ちたい気持ちは山々だが、突然の御指名である。
彼の場合、腕は立つが、それはどちらかというと戦場に於いてこそ光輝くものと謂えた。
「うん♪そう!(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧だって兄ちゃんは僕を守ってくれるって言ってたでしょう?だからさ♪」
北斗ちゃんはそう言って微笑む。
「いゃ、確かに言ったけどな…ღ(٥`‾᷄ ᴥ ‾᷅´ ღ٥)」
劉封は『ღ(`・ ᴥ ・´٥)そういう意味じゃない…』と言おうとして口を噤む。余りにも弟のウキウキする表情をまざまざと見せつけられたら、そうも言えなくなっていたのである。
だから彼は替わりに「(*`• ᴥ •´)੭ ੈ 任せろ♪請け負ったからにはやってやるさ♪」そう返した。
「ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)さすがは都督の旦那だ。いい気っ風だねぇ♪あっしもやりますぜ!」
田穂も意気込む。
「有り難う!(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ 二人とも♪でも僕らの役目は、ほぼほぼ保険だかんね♪余り大勢で詰め掛けると却って相手に危険な信号を与えるようなものだ。特に虞翻という男は鼻が利く。少しでも危険を感じれば、逃げられるだろう…」
「(ღ`⌓´٥)でも北斗ちゃんは結局、逃がすんでしょう?それはそれで良いのでは??」
「まぁ最終的にはね。✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)でもそうなると、また別の手立てを考えなきゃ成らん事になる。今回の閃きは、あくまでも僕の経験値が物を云った。けど次はそんなに都合良く行くか判らない。だから出来れば今回で決めたい!」
「成る程…(〃`⌓´٥)=3 ではやはり、今回の件は奴にはドンピシャですな!ある意味、これ以上桓鮮向きの仕事もまず無いでしょう。必ずご期待に応える筈っす♪」
「うん♪⁽⁽ღ( •̀ ᗜ •́ *)彼が立候補してくれて助かるよ。僕もここは彼にやらせてみたい。フフフッ♪本当言うとね、田穂!君にやって貰う予定だったんだが…」
「(ღ٥`ᗜ´)੭ ੈなぁに、奴のが上手くやりますよ♪ここはあっしの方がと言いたいところですがね。ハハハッ♪あっしは見栄は張らん事にしてますんで、いつも通り黒子に徹する事にするっす!」
「あぁ…(ღ*❛ ⌓ ❛´*)頼む。適材適所は必要な事だが、持ちつ持たれつで世の中、丸く収まっている。こいつはもう一人の爺ぃ~の言葉さ!元気にしてるかな?」
北斗ちゃんはそう答えた。
弎坐がここに控えていれば、それが誰の事かは直ぐにも察した事だろう。そう、あの董允の事である。
けれども二人には結局、何の事か判らず終いであった。
「それで?✧(ღ`• ᴥ •´*)鯔のつまり、我々はいったい何をすれば良いのかね?」
劉封は段取りを確認すべくそう訊ねた。すると意外な言葉が返って来た。
「特に何も…(๑•́⌓•́).。oO まぁ強いて言えば森の中に身を隠し、遠目に桓鮮の勇姿を拝むくらいかな?でも僕らの任務が軽く無い事は確かです。じゃなきゃ端から出動しません…」
「…(๑>•̀๑)" 僕らの最大の任務は想定外の事態に対処する謂わば遊軍です。その中にはあの桓鮮の命が危うく為った時に、救出する事すら含まれていますので、各々方も努々お忘れ無く!」
北斗ちゃんはあっさりとそう断言した。江陵の御家事情にこの中では一番疎い劉封は、当然の事ながら直ぐに承諾した。
けれども桓鮮の実力を誰よりも判っている田穂は一言、口を挟む。
「桓鮮が殺られるなんて想いも依りません。1対1ならどんなにか相手が強敵でも奴にはまだまだ隠れた武器が在ります。(#`罒´٥)੭ ੈ閣下は御存知無い!」
田穂も少々身内贔負に過ぎた事は承知していたが、ついつい剥きに成る。すると北斗ちゃんは冷静な瞳でそれに答えた。
「あぁ…(•́⌓•́๑)✧そんな事は承知の上だ!だが田穂、君は虞翻を知るまい。そして恐らく桓鮮も初対面なのだろう。彼は阿呆踊りの作戦の時に、初対面で無い場合はこの自分も相手を殺すつもりでやらねば危ういと言っていたろう?あれはある意味、彼の覚悟だ!…」
「…✧(❛ ࡇ ❛´٥๑)つまり今回の彼は相手が初見である事に活路を見出だそうとしてるって事に為る。まぁ確かに相手は初見なのだろうが、それでも敢えて情報を把握していたとしたらどうする?そしてそれを利用して来たらどうするんだ?その時に彼は寝首を掻かれないとは言い切れまい…」
「…✧(๐•̆ࡇ •̆ ٥๐)僕はそれを心配している。桓鮮にはなるべく命の遣り取り抜きに、虞翻を捕らえて貰いたいのでね♪念を入れているに過ぎない。それにこの三人を無作為に選んだ訳じゃないんだぜ!田穂、君は諜報兼僕の守護神だ。そして兄ちゃんは戦場での経験足が在る…」
「…ღ(◕ 0 ◕*)その嗅覚は僕らに無い物を持っているから、察知した後の対抗策を組むのはお手のもんだろう?そしてその膂力も尋常では無い。頼りになると踏んで来て頂いたのですよ!そしてこの僕だ…」
「…(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ僕はこれでも趙雲直伝の剣技を身に付けているし、爺ぃ~には長槍を、傅士仁には弓と銛撃ちを習っている。そして何よりも策が使える。相手は策の達人何だぜ?化かし合いなら僕も負けていないからね。それに奴の狙いが僕であるのは明白…」
「…⁽⁽(੭ꐦ •̀Д•́ )੭*⁾⁾ 僕は奴を捕らえる為には超一流の囮って事にも成るからな!いいかい?これが僕の覚悟だ!僕は最悪、自分を囮に使ってでも奴を捕らえる。そして奴に絡む機会もこれを最初で最期にするつもりだ♪次は無い。これで禍根は断つのさ!だからこその三人だ。頼むね♪」
北斗ちゃんはそう言うと二人を眺めた。
闇雲に選んだ人選じゃ無い、君達こそが今回必要な相棒なんだと言われたら、誰だって嬉しい。自分達は頼りにされているのだと想えば、自然と熱い気持ちに成るものだ。
二人も例外無くそう想えた。これこそが大事なことなのだろう。大事を成す気構えとしては十分であった。三人はひとつの目標に向かって一丸と成れたのである。
そのタイミングで静かに、そして整然と30人程の男達が集まって来た。その中でひとりの男が皆を代表する様に報告に及ぶ。
「(`□´)若君、お待たせ致しました。仰せの通り、精鋭を30人集め連れて来ました。廖化様より若君に宜しくとの事です♪」
「(⑉•̀ᴗ •́ ⑉)あぁ♪間に合ったね。御苦労様。実は元倹に頼んであったんだ。僕の近衛部隊だよ♪」
北斗ちゃんは二人にそう説明した。
北斗ちゃんの近衛部隊とは関羽将軍に護衛として残された三千人編成の部隊である。その部隊も今や当初の倍、つまりは六千人に膨れ上がっていた。
その中には流民出身の者も居る。元々兵士だった者の中から志願する者を編入したのである。
そして鍛え上げ精鋭部隊として機能する様にしたのが廖化であった。彼は朝夕の訓練を欠かさなかった。
その上で昼夜は母と食事を共にし、日中はずっと若君に張り付き、深夜に岩を打つという鍛練の日々を過ごして来たのだ。
勿論、師である徐庶から勧められた書に親しむ事もその合間を縫ってやり抜いて来たのだ。だからこその今回の抜擢だったのだ。
北斗ちゃんは努力する者の姿勢をけして見逃さない。そして廖化の鍛え上げた精鋭の内でも、最も優れた強者30人が今、目の前に揃ったのであった。
「(*•̀ᴗ•́*)今日から君達の主人はこの田穂だ♪こいつは僕の衛尉だかんね!当然ながら近衛は全て田穂に帰する。君達もそれは聴いているね?」
「(`□´)はぃ!廖化様から重々言われております。田穂様は廖化様の大切な義兄弟。我々も異存在りませぬ。田穂様!これから宜しくお願い致します♪」
「Σ(٥`⌓´ღ٥)マジっすか?若…」
寝耳に水の田穂の方が狼狽える。
北斗ちゃんはおもむろに応えた。
「(๑•́⌓•́)✧そうだよ♪そう言ったろ?何か問題あるか?」
北斗ちゃんは如何にも当然とあっさりと答えた。廖化はこれから徐庶の許で万民の為に力を発揮せねば成らない。
それに許はといえば彼の剣はこの田穂であった。彼を守る生粋の護衛官を求めた時期もある。
当初は張翼辺りを考えていた時期も在るが、彼は軍人で在り才も在ったから、護衛官で終わる逸材では無かった。そして廖化も書に親しむ事で羽ばたく事に為った。
田穂は彼なりに今後の事を考えてはいるものの、まだその才を開花させて居ないと北斗ちゃんは観ている。そして傍に居て、これ程に落ち着ける相手も居なかったのである。
彼が元々、廖化を護衛官に迎えた経緯はこの田穂に新たな道を歩ませる為だった。そしてゆくゆくの事も考えて段階的移譲を踏まえていた筈だった。
ところが世の中というものはなかなか思い通りには行かぬものだ。その田穂はまだ想いあぐねており、廖化の方が先に開花してしまうとは北斗ちゃんですら考えていなかった。
否…彼が自らの不遇の原因であった書に親しむ事を諦めず、その師を求める行動に出た段階で判っていたかも知れない。
彼の乾坤一擲、岩を穿つ精神が他所にも発揮されれば事は早く、この結果も自明の理であったからである。
人には向き不向きも確かにあるが、単なる食わず嫌いという事もままある。田穂にはまだ時間をやらねば成らなかったのだ。
そしてそれならそれまでの間、引き続き自分の手許に置いて、然るべき時期に軽くポンと背中を推してやれば良い。北斗ちゃんはそう考えたのであった。
彼はけして人を自分に縛りつける事は考えていない。人にはそれぞれの人生が在り、自分の道を歩む為に生まれて来たのだと本気で想っているからである。
だからこそ皆が生きやすい世の中を造りたいと想っていると言っても過言では無かった。そんな彼だからこそ皆には"先の目標を考えよ"と公言しているのである。
そしてこの近衛を統括させる指揮官としての役割もまたある種の化学変化を期待してのものだった。そっと背中を推す第一歩である。
「(*`‥´٥)しかし、あっしは兵など統率した事は在りやせんが?」
案の定、田穂は狼狽えている。北斗ちゃんはフフンとほくそ笑むと訊ね返した。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ田穂、お前は桓鮮を始めとする諜報部隊を長年に渡り指揮して来たのだ。皆、お前に懐いている。それはお前が人柄も良く、何より信頼されているからだ。お前は無駄に部下を死なせる事が無いと皆がお前を称えている…」
「…✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)そしてお前に命じられれば、いつでも死ぬ覚悟は出来ているのに、お前はその選択をしないそうだな?そんな時はお前は必ず桓鮮に後事を託し、一人で死線を潜って来たと聞いた。何度、後事を託されたか判らぬともな…」
「…Σ(,,ºΔº,,*)僕はそれを聞いて感動した。勿論、自らの命を賭した事にでは無い。そこは今後、別の手立てを考えて貰いたいものだが、部下を無為に死なせない点については評価に値する。お前に僕の近衛兵団を預ける理由はそれで十分だ…」
「…✧(❛ ࡇ ❛´٥๑)もちろん兵を死なすなとは言ってない。彼らだって軍人となったからには死ぬ可能性を否定しないだろう。覚悟の上だ。だが時に指揮官の怠慢のために多くの兵が命を落としている。そんな事は僕が許さぬ…」
「…(๑ • o•๑)=3 お前なら適任なんだよ、田穂。兵を統率した事が無い?なら僕はどうする。元々こいつらを預かった時だって、僕は兵を指揮した事なぞ無かったぞ。でもこれまでだって、それでも果敢に戦って来た…」
「…( ๑˙﹃˙๑)✧まぁ実際は運良く敵とは遭遇してないんだけどね…ウフフ♪でもな、間諜も兵も人である事に変わりは無い。お前の姿勢は必ず彼らにも伝わる筈だ。先ずは自分に合う方法を見つける事だな!」
北斗ちゃんは問い掛ける様な手法でこれに答えた。田穂はグゥ~の根も出なかった。
近衛の兵たちも口々に「(`□´)我らが支えます!」と声を掛けてくれる。田穂は遂に「あっしで良ければ…(*`⌓´*)=3 最善を尽します!」と不承不承、承知した。
「(๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧良しこれで決まりだね!」
北斗ちゃんはそう言って、段取りを改めて確認した。
彼らの目的は、あくまで不測の事態に対応するためなので、当然の成り行きとして打合せが済むと一定の距離をおいた森の中に臥して待つのみである。
後は桓鮮の仕掛けを眺めるのみであった。
江東勢はやがて兵を三つに割り、北斗ちゃんの予測通りに隊列を整えて静々と国境付近まで推し出して来た。
呂蒙が率いる二千は江陵を目指す。そして甘寧率いる二千は南部城を、陸遜はやはりニ千の部隊で公安砦に迫りつつあった。
報告では計六千との情報だったが皆、守備を固める側は真険そのものである。
勿論、皆、若君の予測を疑ってはいない。だから手を出すなと言われれば、それに従う覚悟であった。
けれども軍を率いる者にとっては出撃してなお、何も出来ぬ窮地は甚だ辛いものである。
江東勢力は推し出して来ると、大声で味方を鼓舞し、敵を罵り始めた。三方向ともにその掛け声は勇ましく、覇気に充ちている。
復興を果たした団結力がそこには宿っているようにも感じられた。
江陵を守る関羽は、この時とばかりに味方を鼓舞する。猛り狂う様な天にも届く咆哮で仲間達を元気付ける。
これには相対する呂蒙でさえ驚く程である。
『やはり関羽は健在か…(ღ•'ᗜ'• *)こいつを除かぬ限り、荊州は戻らぬ…まぁいいさ!今回は趣旨が違うからな♪』
そう想い、辛抱強く士気を立て直すと時間稼ぎに入った。
甘寧もその頃、驚愕していた。
『趙雲だ!あれはまさしく…(꒰*Φ艸҂*꒱)歩隲殿はやはり正しかった。今回は擬態で良かったわい。あれと真険に戦うとなれば、この儂も腹を括って全力でやらねば成らんからな!』
甘寧も合図が有り次第、引くつもりだが、そう見えては擬態も糞も無いから、皆が及び腰と成らぬよう叱咤激励して覇気を維持した。
一方の趙雲も相手があの甘寧とあっては片時も気を抜けない。本来ならば、この貴重な出撃の機会である。
張嶷にやらせてみようという意見もあった中を、敢えて自ら出撃し、対峠に及んだのであった。
『(* ̄^ ̄)…どうせ私がここに居る事は先方も既に織り込み済みの事。為らば無名の張嶷を隠し、私の実践感覚を取り戻す為に使ってやるわい♪』
大守として納まった後も、やはり趙子龍は武人であった。彼が大人しく器に収まっている筈は無かったのである。
陸遜にとっても今回の事は難しい。
かつて彼は間諜として送り込んだ虞翻のお膝元、公安砦付近で、事も在ろうに魏の間諜と斬り結び、相手の首領を斬った事が在った。
その騒ぎの許が虞翻を窮地に陥れて、撤退に至らせた訳では無いが、彼も若気の至りとはいえ、性急な行動をした事に対しては、自ら恥じていたので、ある意味今回の事はそれを償う協力だと想っている。
彼は未だに持論である『放置』に拠る『敵の瓦解』という方向性が正しいと信じてはいたが、絶対的な信頼を置く呂蒙の言を翻す事は躊躇われた。
故に償いの意味を込めて、この作戦に協力する事にしたのだった。
ところが相対した公安砦の旗印には士仁の名は無く、費観や張翼といったどこの馬の骨とも判らん連中の名が記されており、彼らが若返りを図った事が如実に判る始末である。
『やれやれ…(ꐦ•"ᗜ•٥)੭ ੈこいつらも例のキ印の配下どもか?下手にやり過ぎて矢の雨にでも晒された日には適わん。適当にお茶を濁して撤退するかな…』
陸遜はそう想い、今か今かと撤退指示の合図を痺れを切らせて待ち侘びていた。
一方の費観と張翼は砦を費禕に任せての出撃であるから、のんびりと構えている。彼らは相手があの陸遜である事は既に承知していたが、今回は高みの見物という事もあって余裕の構えである。
「ღ(・・*)いやぁ、棚からぼた餅とはこの事だな!流民達の輸送に携わって居なければ、気づいたかどうかはかなり怪しい。でも物は考えようだ。あの陸遜と対峙出来る機会はそうそう無いからな!幸運かも知れん♪」
「さすがは賓伯はんやღ(。-_-。)♪肝が太うおまっせ!でも確かに天の配剤かも知れまへんな♪」
二人は相変わらずのんびりと構えながら、時に身を委ねていた。
こうした両勢力の睨み合いが続く中で、静かにそして飄々と一歩ずつ江陵に向けて近づきつつある男が居た。
虞翻で在った。
【次回】為せば成る