表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/308

起死回生の策

皆、黙々と聞いていたが、関羽がここで不意に訊ねる。


「さすがは若だ!ꉂꉂ(*`艸 ´ *)有言実行ですな。しかも相変わらず腰が軽い。視察を欠かさないとは恐れ入りました。すると、どうやら人が集って来た後の事も着々と進んでいるのですな?」


「まぁね♪⁽⁽ღ( •̀ ᗜ •́ *)さすがは爺ぃ~だ。最近視野が広くなったね?僕に負けじと定石を研究した成果じゃないかな。頃合いの良い質問だ。なぜそう想った?」


北斗ちゃんは嬉しそうにそう訊ねた。


「あぁ…(*`艸´)そりゃあそうでしょう。若はこの荊州防衛構想に、増える人員の数を見込んだ防衛策を練るよう我々に指示された。儂と馬良はそれを念頭に進めて来たのですからな!兵糧の数でさえ大幅に変わってくる…」


「…(*`艸´)⁾⁾ 若、儂が馬良を通じて念を押させたのはそのためです。若はその点は屯田で得られる作物を考慮し進めると良いと言われた。そして不足分の糧秣(りょうまつ)は秦縁殿から買うと申された。そうでしたな?」


「うん♪(ღ • ▽ • ๑ )そうだよ、それに間違いない!」


「⁽⁽(`艸 ´ *)儂と馬良は自衛策を念頭に事を進めている。そのための武具の発注も既に済み、順調です。ですから、他の手立てもおそらく平行して進んでいるに違いないと考えた次第です!」


「その通り!(•́⌓•́๑)✧まぁ各所に割く人員については潘濬に任せたんだけどね。さすがに僕もそこまでは手が廻らない。でも人を得るための打出(うちで)小槌(こづち)を提供したのはこの僕だ…」


「…(´°ᗜ°)✧君達も知っての通り、この中華は今現在も戦時下にあり、いつどこで戦いが勃発しても可笑しくない。先頃は巴蜀の南で南蛮勢力とのいざこざもあったし、西涼地域での反乱もあった。中原を中心とした荒廃が完全に収った訳でも無い…」


「…(*`•o•´)੭ ੈ三国鼎立が成った後も戸籍の把握から漏れたいわゆる流民と言われた人々がこの中華を未ださ迷っているのが現状だ。でもね、考えてみて御覧?ここ荊州には既に流民と呼ばれる人達が居ないだろう。少くとも僕の目が届く範囲にはいない筈だ!」


北斗ちゃんは誇らしげにそう告げた。


「確かにそうですな!以前はここにも多勢いましたが…(ღ`艸´٥)あぁ!そうか。判りましたぞ♪あの河川氾濫の折りに!まさに若の優しさが生んだ成果でしょうな。成る程…」


関羽は恐れ入ったと、まるで一杯食わされたといった顔をしている。馬良はすぐに理解したようだった。


前提を知らない廖化だけは腑に落ちない顔をしているが、それは仕方無い。あの河川氾濫の折りには、彼は若君のお側近くに居なかったのだから推して知るべしである。


田穂がそれとなく教えている。北斗ちゃんはそれを横目でチラリと眺めながら、そこは田穂に任せる事にして、皆に告げた。


「またまたその通り!✧ ⁽⁽(•̀ •́๑)(๑•̀ •́)⁾⁾ و✧やはり爺ぃ~は変わったな♪僕は嬉しい。そうだよ♪あの河川氾濫の折りに、民と共に流民の多くも一緒に避難させたり、助けた。そして民が元の鞘に収まり帰郷してからも、彼らを見捨てる事なく、全て我が民に組み込んだり、元々官だった者は僕の臣として拾い上げた。これはちょうどあの時、潘濬を見い出した事がその発案(ヒント)となったのだ…」


北斗ちゃんはその時の事を思い出す様に潘濬を見つめる。潘濬も軽く会釈で応える。


「(ꐦ* •" ຼ •)⁾⁾」


北斗ちゃんは再び皆を眺めながら話を続けた。


「✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)その意味で言えば、彼を推挙してくれた伊籍殿に礼を言わねばね♪まぁ、とっくに言ったけど!つまりね、この荊州の民も官もあれから少しずつ増加傾向にある。それを今回の新たな人材に宛てる。彼らからすれば、明日の心配をしなくて済む訳だし、救って貰った命だ。喜んで協力を申し出てくれた。だから流民ではなく、彼らは既にこの僕の大切な民としてここ荊州に存在している。けして居なくなった訳じゃない…」


「(*`艸´)(。◝‿◜‥)…」


力強くその信念のままに有言実行してきたその姿勢がその言葉に如実に表れる。そんな若君を関羽も馬良も誇らしげに見つめる。


北斗ちゃんの話しは尚も続く。


「(´°ᗜ°)✧彼らは身なりを整え、日々職を持ち、心機一転ここで僕の民としての日常を過ごしているだけさ!実はね、その多くの流民の中には、魏国側にてさ迷っていた者達さえ居る。曹仁殿には悪いが、助けた人達を定住者か、それとも行く宛の無い流民か判別させて、流民は全て本人達が納得した上であの時、こちらで吸収させてもらった。そんな彼らが今、何をしていると思う?」


北斗ちゃんは少し悪戯っぽい眼差しを皆に向ける。これは自信の表れである。


「(ღ`⌓´*).。oO」


田穂などはその手足となり実際に携わっているのだから、勿論その答えは知っている。そして彼らが陰ながら協力してきた事柄が今まさに若君の口から告げられようとしていた。


「(๑>؂•̀๑)" 実はね♪中華全土に散って職務に励んでもらっている。そう各地の流民をここ荊州に然り気無く集めさせているのさ!彼らは流民の立場を抜け出し、もうこの荊州の民として身分を保障してある。それに彼らのように同じ苦しみを抱えていた者ほど、流民の苦しみが判るからね。どうだい?僕もなかなかやるだろう♪」


瞬間、その場はどよめく。引き寄せた人々が更なる人々を呼び込む。


鼠算(ねずみざん)では無いが、当然その規模は増し増しとなる。良くぞそんな事を考えるものだと感心のどよめきであったのだ。


「º·˚ (๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧そういった訳で、各地の流民のその(ほとん)どはこれからも日々こちらの民として流れて来る事だろう。この事は実は楼琬にも伝えてある。彼も人材探しの旅の合間に手伝ってくれる筈だ。これは人口の少ない我々蜀の総数を増やす起死回生の策となってくれるだろう♪」


北斗ちゃんはそう述べると破顔した。


関羽も馬良もようやく納得した顔をしている。そして若君の叡知と機転に驚き、その行動力を称賛する様に手を叩く。


「成る程…(*`艸´*)それで!ここしばらく桓鮮が必ず深夜になると交替を寄越すのはそのためですな!我らも防衛線の緊張の凄まじさを良く知っておるから助かってはいたが、若の息が懸かっていたとはね…」


「まぁね!(๐•̆ ᗜ •̆๐)夜陰に乗じて粉れ込ませていたんだけど、その絶対数は実は南郡を通し、少しずつ武陵に流していたんだ。ほら!南郡は避難場所としての住居も整っている。そこから建設ラッシュの武陵に流せば大事には到らないだろう。爺ぃ~や馬良に黙っていたのは、情報統制の一環だ。余り厳格に対応されても困ったんでね。許してくれ!他意は無い♪今後も宜しく頼むよ!」


北斗ちゃんは今度は真顔で謝っている。今日の彼の表情筋は忙しい。関羽もコクりと頷くとおもむろに馬良と顔を見合わせる。


「判りました。(ღ`艸´٥)⁾⁾ و✧どうやら今回も馬良の判断が正しかったようだ。実は儂は気づいていたんです。桓鮮が何かしているとね。だがその直後に(やっこ)さんがやって来て、河川整備で招いた職人だと言うもんだから、そうなのかなと想った。そして馬良の意見もおそらく若の差配だと言うもんですから、従ったまで。そもそも儂の目を誤魔可そうなんて百年早いですな!」


関羽は承諾しつつも、一瞬だけその視線を田穂に移した。途端、田穂は視線を宙に泳がせる。別に(やま)しいことは無いが、それだけ関羽の眼力(めじから)が強いのである。


「ごめんよ~爺ぃ~♪(٥ •ᗜ•)⁾⁾ 田穂に指示したのはこの僕だし、桓鮮も田穂に命じられて実行したまでだ。この作戦はなるべく多くを通さない方が足が着き難い。文字通りね。知っていたのは他に費観と費禕、張嶷と趙雲だけさ!何しろ彼らには(じか)に彼らの面倒を観させ、導かせなければ為らん。僕の…」


「…否、これからの我らの目的に彼らを参画させた上で、その力を最大限引き出さなければ為らないんだからね。ꉂꉂ(°ᗜ°٥)それにいずれは大勢を相手に、等しく意欲を持たせなければ為らないんだ。こうした場合、事前に把握出来る事は早目に対処方法を学んでおくに限る。そう想わないか?」


「そうですな!ღ(。◝‿◜。)確かに♪つまり若君は、臨床実験の対象として彼らを利用したのですな…あっ!否、言い方は悪いですがね♪」


馬良は慌てて言い直す。


「|'◇'*)".。oO 御名答!さすがは馬良♪的確かつ単刀直入だね!でも悪い事じゃ無い。そんなに卑下する事も無かろう。彼らは損する訳でも無く、危険な目に会う訳でも無い。むしろ得する面の方が多い。なぜなら、彼らは後発の者より早く現地に馴染めるし、我々の保護も早めに受ける事が出来る訳だ…」


皆も同意する様に頷き合う。


「(•́⌓•́๑)✧その交換条件として、生活して困った事や考えられる弊害などを身を持って進言してもらうだけの事だ。お互いにウィンウィンの関係じゃないか?後から大挙して来る者だってそれで大いに助かる事だろう。何しろ後発の者たちは、おそらく彼らよりももっとまだ観ぬ地へ送り込まれる恐れと向き合わねば為らないのだからね…」


異邦への憧れと共に環境に馴染めるかどうかという彼らの不安をここで北斗ちゃんは指摘した。


「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈだからこそ手厚く迎え入れてやり、心配を取り除いてやらねばならない事だろう。その時に予め経験を経た彼らの言葉は大きな(かて)となる。こういう事は我ら()の者が伝えるよりも、同じ立場で不安と隣合せになった仲間内で伝えた方が説得力もあるんだよ…」


納得である。確かに彼らに幾ら寄り添ってやれたとしても、その身になった者で無いと判らない事も世の中にはたくさんあるのだ。


「Σ(,,ºΔº,,*)僕は(ささ)やかながら、この荊州に来てここに馴染むために、いつだって率先垂範を貫いて来た。僕が懸命に先頭に立って経験し、皆の模範となった事は割合、皆に素直に受け入れて貰えたろう?皆だって考えてるんだ。僕の様な若い者があれだけやっているのに、俺たちも出来る筈だってね?」


人は他人(ひと)の行いに感情を揺さぶられる。それが感銘を受けるという事である。そこに自らの可能性すら見出だす事が出来るという事なのだろう。


北斗ちゃんの力強い言葉は続く。


「Oo。.(* •̀_₍•́ *)いつの世も先駆者は苦しいものだ。でも誰かが始めなければ物事はけして動かない。これは経験していないと判らない事だが、何でも最初から成功する事なんて無いんだ。それが当たり前だ!」


言葉に自信が乗る。そこにはそんな気迫がこもっていた。経験が無ければ言えない言葉である。彼の言葉はやがてその音色を奏で始めた。


「✧୧(๑•̀⌄ •́ ๑ ૭)一寸先は闇で、まだその道の先には橋は架かっていないんだからね。先駆者は判らん意気でも、そこに橋を架けねば為らない。そこには試行錯誤の繰り返ししか無い。でも考えようによってはそれは自分で苦労した分、自分だけの強みになる。そして自信もつく。さらにはその試行錯誤した経験則は他の挑戦に取り組む際にも応用が効く事だろう。失敗をすればする程、経験は己の糧となって行く。恐らく物事を為した先人達はそういう苦労の末に、様々なやり方を今生きている僕らに伝え、残してくれているんだ…」


何事にも初めは在るという事だ。そして当たり前の様に普及されている物のひとつひとつにはそういった試行錯誤の果ての価値がこもっているかも知れないのだ。


だから(おろそ)かに考えず、大事にそして常に感謝を忘れない様にしようと彼は言っているのである。


「(ღ • ▽ • ๑ )だから僕らはそのやり方を真似る事で進める手順で誤る事が無い。有り難い事だよね。このように僕らが当たり前に日常行っている事の数々は、先人の数多くの失敗の上に成り立っているんだ。そう考えれば失敗を恐れる事なんて無いんだ。だからどうやってその第一歩を踏み出すか迷っている暇があったら、勇気を出してやるしか無いんだと僕は想った…」


失敗は成功の母である。そんな言葉を彷彿(ほうふつ)とさせる。迷いを振り払い勇気に昇華させる事が大事なのだ。彼は訴える。


「(*`•o•´)੭ ੈ一つ言えるとすれば、先駆者は"無"から新しい境地を生み出す訳だから、今までの常識に囚われていたら何も出来無いって事かな。必ず変人か、酷い場合にはキ印と想われる事になる。先頃、僕は呉の間者の前で成りきり変人踊りを披露したろう?あの時、僕は成功すれば目っけ物と、失敗も念頭に入れて行った。まぁ結果はまだ出ていないけど、余り効果は無かったかも知れないね。でもやってみた事に意義があると想っている…」


やらなければ何も変わらない。結果を気にする余り、動けなければ(ゼロ)である。零からは何も産まれないのである。


「(∗˃̶ ᵕ ˂̶∗)♡ウフフッ♪もしかしたら後々、瓢箪(ひょうたん)から駒になるかも知れないじゃないか?そして今回の流民の受け入れもその一つさ。皆、いずれは何の対策も立てず放置していた事を後悔する事だろう。先見の明を持ち、人がやらない事に手を出し、先駆ける事は恐いには違いない。でも今回の事は僕の閃きの中ではなかなかイケてると自分では感じている。必ず成功すると信じているんだ。だから皆もこんな僕を信じて協力してくれると嬉しい♪」


それは所信表明にも似た(こと)()だった。皆を見つめるその瞳には力強さが溢れていた。皆もいつの間にかその瞳の輝きに引き込まれて居た。


「✧(๐•̆ ᗜ •̆๐)僕は前、数は力だと言った。平地戦ではどんな策よりも数で勝負が決まるともね。皆、承知している通り、我が蜀は三国の中で一番人口も軍事力も脆弱(ぜいじゃく)だ。勿論、単に数を増やせば良いと言っているんじゃ無いが、まずは数有りきだ。質より量って事かな?質はいずれ後から着いて来る事が出来るが、質から絶対量は生み出せないからね。これで答えになるだろうか。願わくば判ってくれると嬉しい。これが僕の今現在の絶対値だ。まぁその先も考えてない訳じゃないが、それはいずれ判る時が来よう。これで僕は端初に立った。このやり方で僕は天下安寧を実現する。以上だ。宜しく頼むね!」


北斗ちゃんはそう言い切った。皆、真険な眼差しで聴き入っていたせいか、辺りは途端に静けさに包まれる。


その静寂を縫うように「(ꐦ* •" ຼ •)੭ ੈやりましょう!」という声が響き渡った。潘濬で在った。


彼がいの一番にこうして声を出すのは珍しい事である。大抵の場合、面子にもよるだろうが、関羽総督のお役目と謂えた。


だから皆驚き、一斉にその視線が潘濬に注がれる。潘濬も余り注目の的になる機会は無いに等しい。


けれども今日の彼はひと味違った。照れも見せず、その顔は清々しかった。その表情がその気持ちを代弁していた。


「よくぞ申した♪(*`艸´)੭ ੈその意気や良し!」


関羽は珍しく彼を称えた。馬良もコクりと頷く。田穂も廖化も胸を撫で下ろす。北斗ちゃんは満足げな顔で笑みを浮かべた。


「有り難う♪‧º·˚ (๑*´° ᗜ °๑)੭ ੈ✧明日の朝議でいよいよ発令を行なう!皆、心して於いてくれ♪」


北斗ちゃんの呼び掛けに頼もしい返事が返ってくる。


「「「はい!!!」」」


こうしてチーム北斗ちゃんもいよいよ河川整備の取り組みが始まる。

【次回】才知ゆえに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ