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化粧

「なっ!ꉂꉂ(°ᗜ°٥)何だってぇ!!」


北斗ちゃんは驚きの余り、想わず叫んだ。


「馬鹿!(#`罒´٥)ღ⁾⁾ シィ~声がデカい!!」


田穂は慌てて主人の口を押さえる。鷲掴みされた手の指先は勢い余って頬に食い込み、その瞬間、彼の眼からは大粒の涙が溢れ出す。


「あっ!(ღ`⌓´٥)⁾⁾ すいやせん…」


田穂はすぐに手を離すと頭を下げ、心配そうに彼を見上げた。


北斗ちゃんは余りの痛さに眼からは火花が飛び散り、ツゥ~っと大粒の涙が頬を伝うが、むしろ言葉の方に衝撃を受けていて、返す刀で問い質す。


「おい!(٥ •ᗜ•)それは本当なのかい?僕には全くといって良い程、判らなかったぞ!それにあの管邈だって全く気づいてなかったが?どうしてそう想うんだい?」


彼は正真正銘驚いていて、その気持ちを隠そうとはしない。しかしながら、それと同時に田穂の事を疑う事も無かった。彼が不用意にそんな無茶振りをするとはとても想えなかったのである。


「北斗ちゃん!(*`ᗜ´٥)੭ ੈ北斗ちゃんは満寵殿にお会いしたそうですね?」


田穂は少しでも主人の落ち着きを取り戻そうと、まず事実に目を向けるように促す。


「あっ?⁽⁽( •̀ ᗜ •́ *)うん♪会ったよ!それがどうしたんだい?」


「実はですな…⁽⁽ღ(`ー´ )あの満龍様が諜報部隊の"飼い主"である事はご存じでしょう?」


「あぁ…(´°ᗜ°)✧うん♪君が確かそう言ってたね?奴は手が早く、僕の機転と曹仁殿の制止が無ければ、ヤバい所だったんだ!」


「成る程!(ღ`⌓´٥)⁾⁾ そうでしょうな?あの方はそんな時には躊躇(ちゅうちょ)しませんからね!仰有る通りでしょう♪実はですな、彼は変装を整えるという腕も御座いまして、そらぁもう鼻高々でした♪」


「へぇ~そうなのかい?”(•• ๑)聞いてみないと判らないものだな!そんな事も出来るんだね?」


北斗ちゃんは感心しているのか、戸惑っているのか判らない様な中途半端な反応を示した。田穂は話を続ける。


「(*`ᗜ´٥)੭ ੈ御存知の通り、彼は曹仁様の軍師としてこの荊州で暗躍しとります。当然、今回の件に手を貸していても不思議は無いと存じます。ですが、それは後付けで到達した結論なのです。あっしが気になったのはズバリ"臭い"です!」


田穂は奇妙な顔をしながら、クンクンと辺りを嗅ぐ真似をした。北斗ちゃんも嗅いでみるが、特に何も感じない。


「ღ⁾⁾(˃̶͈̀∇˂̶͈́๑)特に何も臭わないが?」


彼は当たり前の事をそのまま口にする。すると田穂はコクリと頷き、それを肯定する。


「アハハッ♪(*`‥´*)北斗ちゃんはもう臭わなくても当たり前です!若君はかなりの時間、彼らと共に居たのですから、もう慣れてしまったのです♪…」


「…それに引き換え、あっしは彼らと一定の距離、離れていましたし、今再び確認してみましたが、やはり特徴的な白粉(おしろい)(べに)の匂いがするのですな!…」


「…御存知の通り、ここ荊州にだって女官はいますが、我らはまだそういう方々とは縁遠い場所に居るでしょう?なのに、彼らからはこの二つの臭いが殊更に漂ってくるのです…」


「…そこで、"あれ?変だな!"とまず最初に想いました。あっしはその時点ではまだその臭いの(もと)には気づいていませんでしたが、廖化の一言で想い至る事が出来ました♪」


田穂はそう説明すると、その時の事を想い返していた。




それは彼ら二人が待機を命ぜられ、部屋の外で待っていた時の事である。田穂は二人から漂って来る奇妙な"臭い"に気がついており、疑問を感じていた。


『(*`‥´٥)何か、遠い昔に嗅いだ事があるような"匂い"だが?いや待てよ??ここ二、三年の間にも嗅いだっけな?いったいどこで嗅いだのだろう…』


彼が腕組みをして真険に悩んでいるものだから、心配した廖化が声を掛けてくれる。


「ねぇ、田穂殿?(٥ •̀ ̫•́ ღ*)︎何をそんなに悩んでいるんです!良かったら話してくれませんか?僕だって何かお役に立てると思うのです♪」


「あぁ…(*`ᗜ´٥)੭ ੈそうだ!君も黄巾の乱に参加していた口だったね?あの戦乱では人の血の臭いや腐敗の臭気で精神がやられた者も多いと聞く。君も妙に臭いに敏感になったロじゃないかな?」


「えぇ…⁽⁽(* •̀ ̫•́ *)︎そうです!だから今でも鼻は利く方ですね♪」


廖化はコクりと頷き、同意を示した。


「そうか♪(ღ`⌓´*)不幸中の幸いだが、それは助かる!まぁ理由はともかくとしてだ!この部屋から時折、漂って来る"匂いの素"は何だと思うかな?」


田穂は駄目もとで聞いてみる。


たとえ臭っても、自分と同様にその"匂いの素"が判らなければ、無駄なのは判っていたが、もしかするともしかするかも知れないと、一縷(いちる)の望みに期待したのだ。


ところが廖化はあっさりと答えてくれたのである。


「あぁ♪ꉂꉂ(* •̀ᗜ•́ ღ*)︎そんな事なら簡単な事です!あの二人から漂って来る"匂い"ですね?あれは白粉(おしろい)(べに)の匂いです。僕は長年、苦労をお掛けした母上に、何か買って差しあげたいと、稼いだお金で(べに)を買って上げました…」


「…白粉(おしろい)はとても高価で僕の身銭ではとても手に入らなかったのです!でも店の人のご好意で、今後の経験にと、嗅ぐ事は出来ました。あれはこの二つの混じった"匂い"ですよ♪」


廖化は何の事も無いと笑顔に自信を(にじ)ませた。彼は田穂の役に立った事がとても嬉しかったのだ。


「あぁ…(ღ`ェ´*)⁾⁾」


それを聞いた田穂は全てを思い出した。昔、若かりし頃に彼にも熱烈に愛した女性(ひと)が居たのである。そしてその想い人が着けていた白粉(おしろい)(べに)の匂いだったのだと、彼は想い出したのだ。


残念ながら、当時の彼には女にそんな物を買ってやるだけの器量が無かったので、母親思いの廖化を尊敬の眼差しでまじまじと視てしまった。


そしてその瞬間に、全てをハッキリと思い出したのだ。二、三年程前の事に為るが、満寵が変装用にと施していた化粧の腕前を想い出したのである。




その時に彼は自慢気にこう言った。


「ꉂꉂ(º言ºღ*)私のこの腕前ならば、誰にも正体を見破られる事などなかろうよ♪」


そんな彼の鼻っ柱をへし折ってやろうと、田穂はこうぶち噛ましたのであった。


「ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)世の中に絶対なんて無い!それにあんたのその化粧の匂いは混じり合っていて気色が悪い…」


「そうかな?(*º言º)✧とても良い匂いじゃあないか♪お前さんの鼻はきっと黄巾の乱で狂ってしまったのだろう?お気の毒に!だから荒くれ者は話しに為らんのだ!管邈よ♪配下の口の利き方を何とかせい!」


けっきょくこの時は管邈の取り成しで事なきを得たが、田穂はその後、満寵に眼をつけられる事に為った。




そういった恨み辛みも在ったから、記憶に深く刻まれていたのだろう。


『(*`⌓´*)そうか、その匂いだったとは驚いたな!けど待てよ?なぜあの二人からそんな臭いがするのだろう。あの二人は長旅をして来たのだろう?しかも立派な体格をした男達だ…』


『…まだあの患者の長髪の男ならまだ判らんでも無い。見るからに歌舞伎者だからな♪でも付き添いの男はムスッとした明らかな武辺者だ。それなのに、あの(ほの)かな匂いは虫唾(むしず)が走る:;((`罒 ´٥ ))));:…』


『…待てよ?(ღ`⌓´٥)⁾⁾ 満寵が絡んでいる事をあの曹仁様が知らぬ筈は在るまい。何しろ、眼をつけられたこのあっしを庇って下すったのもあの方だ!…』


『…だとすれば今回の事は、曹仁様ご自身も深く絡んでいると考えた方が遥かに自然な事だが?えっ!えっ?え~っ!Σ(ღ٥`⌓´*)待て待て、ひょっとしてあのガタイの良い武辺者が曹仁様なのか?…』


『…いやいや幾ら何でもそれは飛躍が過ぎるというものだ!でもそう考えれば考える程に、あのお人が曹仁様その人に見えてくるから不思議だぞ?(`ー´ღ*)否、やはりあれは曹仁様だ!…』


『…だがそう断定してみると、兄と名乗っているあの長髪の優男(やさおとこ)は誰だ?(*`‥´٥)満寵か?いやいや奴は9尺(190cm)はある程の長身が自慢だからな!それにあの男の背は標準よりは低い方だろう♪…』


『…長髪でスラッと見えるが、満寵が化けるには些か苦しい筈!だとしたら、あの男は何者なのだろう?Σ(٥`⌓´ღ٥)!兄?いやぁ、まさかな!』


田穂はふとあの男は魏王・曹操なのではと想ったのだが、即座に否定した。さすがに魏王たる者が幾ら曹仁が一緒だとしても、たった二人っきりでこんな中枢まで乗り込んで来る筈も無いと考えたからである。


『(ღ`⌓´٥)曹仁様でさえ、二人っきりでこんなところに来る事なんて、普通ならば考えられない。だが、あの河川氾濫の折りに、若君と面識が出来た訳だから、それを考慮したならば、在り得ない話でも無いぞ…』


『…もし仮にそうだとした為らば、あの背に括られた剣を見ればはっきりする筈だ。良し!(*`⌓´٥)੭ ੈ奴等が出て来たら、然り気無く見てやろう。それではっきりと判るだろう♪』


田穂は必死に考えを巡らせて、彼なりの結論に達すると、想わず右拳を握りしめ、気合いを入れた。廖化は自分の意見を聞くなり、考え込んでしまった兄弟子を静かに見守っていた。


何か考え事を始めたので、自分の意見が役に立っている事は肌身に感じていたが、もし仮にそうなら邪魔をしてはいけないと遠慮していたのである。


けれども、気合いを入れたその姿を確かめると、途端にその胸中に興味が沸いて来る。そこでその素朴な疑問をぶつけてみる事にした。


「田穂殿!ε- (٥ •̀ ̫•́ ღ*)︎僕の意見はお役に立ったのでしょうか?」


廖化はあからさまを嫌い、まずはそう訊ねてみた。長考から目覚めた田穂は、まず隣にずっと居た廖化の存在をようやく想い出したように謝る。


「あっ?Σ(٥`⌓´ღ٥)あぁ…すまん!すまん!君に訊ねておきながら、ついつい考え事に夢中になっていたようだ♪この通り謝る。そして有り難う!お陰で君の知識はとても役に立ったよ♪本当さ!もしかしたら我らはとんだ想い違いをしているのかも知れない…」


「…その一端を掴めたような気がする!あっ、でもこれはまだ確かな事では無いからね、だから言えない。(ღ٥`ᗜ´)੭ ੈ証拠を掴んだら、君も協力してくれるかい?」


「田穂殿!(*•̀ ̫•́ ღ*)︎勿論です♪水臭い。何でも言って下さい!我らは一心同体です。二人で若君の盾と成るの でしょう?必ず協力しますよ!だから話し半分でも良いので教えてくれませんか?いったい何が判ったのです?」


廖化は経験上、知り過ぎた者が消される危険が大きい事が判っていたので、敢えて踏み込む。一人より二人の方が互いの身を守れるし、相手を監視するにしても倍の行動力が発揮出来るのだ。


それに今の自分は若君の矛であり、盾でもあるのだ。情報を知るのと知らないのとでは、その動き方にも違いは出て来る。


けれども田穂は頭をポリポリと掻くと、『(ღ`⌓´٥)…参ったな!』という表情をしていた。そして決心したようにこう伝えた。


「廖化♪(`ー´ღ*)君を信用していない訳では無い。否、むしろ君と協力がしたい。けどね、それは事実がはっきりしないと駄目だ!絶対に駄目だ!!何故かを説明しておく。そうすれば君だって判ってくれるさ♪」


田穂はそう言うと、廖化を見つめた。廖化も真剣な眼差しで田穂を見つめている。彼は再び口を開くと、やや冷静と為って田穂に訊ねた。


「判りました♪⁽⁽(٥ •̀ ̫•́ *)︎言って下さい。それはなぜです?」


「(ღ٥`ᗜ´)੭ ੈそれはね、一度言葉として口から発したものは、もう決して後戻り出来ないって事さ!だって間違ってたら在らぬ先入観を与える事に為る訳だからね…」


「…特に我ら護衛の者は、自分の命を若君の盾としなければ為らない運命(さだめ)を背負っている。我らが誤れば、当然それは主人(あるじ)の命をも(おびや)かす事に繋がる…」


「…だから情報の精査には慎重を期さねば為らんのよ!まぁあっしの場合は元々が間諜だし、咄嗟の判断は誰よりも優れているのは間違いない!何しろ死の淵の一本道を綱渡りして来た(やから)だからね…」


「…歩を進めるのさえ命懸けさ♪一歩踏み外しただけでも即、死に繋がる事も在る。こんなのまともな神経ではとても無理な話だろう!あっしも過去に何度死んだか判らないくらい危機を乗り越えてる…」


「…そんな人生を歩んで来るとね、自然と石橋を叩いて渡る様になるのさ♪これで待たされる意味も判ったろう?」


廖化も田穂が元間諜である事は聞いて知っている。けれども常に死の淵に立つとは尋常な事では無かったのだろうと、認識を新たにせざるを得なかった。


そしてそんな中で繰り返される危機を幾度も乗り越え、生き残って来た田穂の判断で在れば信じられると感じていた。彼は自分を恥じていた。


『(っ* •̀ ̫•́ ٥)︎⁾⁾ 田穂殿は若君から護衛を任される程の腕前なのだ♪自分すら守れない者が護衛などそもそも出来る筈が無い!この人の身を必要以上に心配するなんて僕こそ浅い考えだったのだ…』


廖化はそう思い直すといつもの溌剌(はつらつ)さを取り戻した。


「⁽⁽(* •̀ᗜ•́ ღ*)︎田穂殿♪判りました!ハッキリしたら僕にも教えて下さい♪お待ちしますよ!」


「ꉂꉂ(`ㅂ´ღ*)勿論さ♪判ってくれると想ったよ!それにその(あかし)を掴むのはそんな面倒な事でも無いんだ♪直ぐにも判るだろうよ♪たぶんね…」


田穂は自信ありげにそう述べた。彼には考えが在るらしかった。廖化はコクりと頷くと信頼を示した。


そしていよいよ部屋から客人二人が出てきた瞬間に、田穂の視線は李孝の背中を注意深く捉えていた。それは紛れも無く、曹仁が愛用している大刀であった。

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