万華鏡
「儁乂!(๑ ー̀дー́٥)お前に頼みがある…」
曹真は張郃を呼ぶとおもむろに話し掛けた。その口は重く、本人の意思に反しての事だと張郃にもすぐに判った。
曹真は感情を隠す事が苦手な男である。だからすぐ剥きになるし、気に入らない事があればその感情を爆発させる。
切れたら手の付けられない男で、彼が一度 鞘に手を掛けたが最後、目の前の相手は死を免れる事は出来まい。
良く言えば感情豊かな男であり、日頃は気さくな人である。悪く言えば直情型と言う事に為ろうか。
その男が今、必死に自我を迎え込み、片腕である張郃に頼み事があるという。彼は想わず、深い溜め息を漏らす。
「閣下!(*°᷄ д °᷅ ๑)何ぞ在りましたな?その御様子では恐らく仲達絡みの案件と推察致しますが?」
曹真の司馬懿嫌いはとみに有名である。張郃で無くとも知っている。
けれどもその根本となった事情を知る者は少ない。ではなぜ彼が当たりを付けられたかと問われるならば、その事情すら知っていたからであった。
曹真は元々、一族の中では才能に恵まれた男として認知されていた。今でいう所の若手のホープである。だから曹操はすぐに彼を次男・曹丕の付き人にした。年齢も近く、彼らは気も合ったからすぐ意気投合した。
曹真は自分こそが次期政権の重責を担う事を疑うべくもなかった。ところがこの蜜月もそう長くは続かない。曹操は確かにその腕は買っているものの、曹真では政治を担うための知識に深みが無い事を早々に見て取った。
そこで本人の意志とは無関係に、出仕を嫌がっていた司馬懿を半ば脅すように、強引に引き出し、曹丕の頭脳として付けたのである。
曹真にとっては青天の霹靂であったし、司馬懿にとっては不承不承であったから、双方共に初対面から相手に良い感情は抱かない。だから成り行き上、当然の如く曹丕が双方の仲介に追われる事になった。
彼らはそれでも頻繁にぶつかった。会う度に一度は拗れる。それと言うのも曹真の方が必ず喧嘩腰になるからなのだ。
司馬懿も賢い男だから、なるべく主君の手を煩わせる事は避けたいと想うのだが、さすがに理不尽な物言いには黙っていられない。言葉は選んでも反論である事に違いはないから、その棘は相手の胸に深く刺さる。
瞬間湯沸器の曹真の事だから顔を真赤にし、司馬懿の目をねめつける様に睨むと、髪を逆立てて怒鳴り出す。
曹丕も始めの内は良かったが、だんだんと鬱陶しく感じたようである。この裁可は曹操に委ねられる事になる。
曹真は宗族の一員であるから、その権威は当然の事ながら司馬懿を上廻る。
そして宗族を守るためには、些細な事でも決して許さぬ姿勢が旺盛な、曹洪辺りはすぐに曹真の肩を持ち、司馬懿を断罪するように主張した。
曹操は深い溜め息を漏らす。良かれと想ってした事が、完全に裏目に出たからである。
だからと言って曹真の肩を持てば、無理を通して司馬懿を出仕させ、わざわざ曹丕に付けた自分の配慮が無駄になるし、将来の事を考えた場合、曹丕の知恵袋を切り離す訳にも行かない。
かと言って司馬懿の肩を持てば、曹真だけでも面倒なのに、曹洪辺りが感情的になる事は明白であった。
『(๑°⌓°٥๑)こんな時に曹仁が居てくれたら…』
曹操はそう想わないでもなかった。
曹仁であれば、皆に一目置かれているから、必ず役に立ってくれるだろう。それに自分と違って、立場を気にせず事態の収拾が出来るに違いない。
どうしても君主自らが命じた場合、必ずと言って良い程、角が立つ。皆、その場は不承不承でも収まるだろうが、この先再び問題は再発する事になるだろう。
曹操は君主だから、その言葉の重みは当然の如く強く、彼らに影響を与える事は出来るであろう。しかしながら、だからこそ彼の口から出た言葉は、もう取り消す事は出来ないのである。
ゆえに彼はこの事態を簡単に収拾する事なく見守り、その様子を慎重に窺っていたのだ。
『(ღ๑°⌓°๑)さて…どうするかだが、誰かこの事態を収拾するに相応しい者が居るだろうか?』
彼はおもむろに周りを見渡す。どちらに肩入れする事もなく、双方痛み分けと成るように収拾する事が望ましい。そしてそれはあのうるさい曹洪をも黙らせる事の出来る者が適当であろう。
周囲の者たちは皆、戦々恐々としている。それはそうだろう。下手に口を出せば巻き込まれる事は必至なのだから、誰も好き好んで"火中の栗"を拾おうなどという酔狂者は居まい。
この機会に恨みを買えば、その先の行く末に必ず暗雲が垂れ込める事は間違いない。その事実が裏を返せば、皆の口を重くしていたのである。
曹操は"然も在らん"と想いながらも、事の重要性からこの事態を憂慮している。皆、曹操が視線を向けると下を向きその視線を避けるからである。
するとちょうどその時、彼の視線をまともに受ける者が居た。この瞬間、曹操の心は決まったと言って良い。
『(*๑°⌓°๑)⁾⁾ 任せてみよう…』
彼はそう思い立ったのである。すぐに曹操は行動に転じる。そこには優柔不断さは微塵も無かった。
「夏候惇!(*๑°⌓°๑)σ そちはどう想うか?」
そこには老将が不動の精神で立っている。
彼はコクリと頷いたかと想うと、列の間から歩みを進めて主君の正面に立つ。老いたりといえどもその存在感は未だ揺るぎ無い。
「ε- (´•ω⊂ ꐦ)我が君、儂は口が悪い。はっきりと口にするがそれで宜しいのかな?」
「(*๑°⚰°๑)ღ⁾⁾ 元譲♪貴方に文句を言う者などこの場にはひとりも居るまい!もし仮に居たとしても、この魏王あるのみじゃ♪その儂が遠慮はいらぬと申しておる。どうか忌憚無く発言して欲しい!」
曹操はそう言って軽く皆を威圧する。君主の意志は絶対である。彼はここでそう表明したのだ。暗に"文句を言う者は覚悟せよ"と言ったに等しい。
これでは当時者で無くとも緊張するに違いあるまい。案の上、皆シーンと静まり、この老将の言葉に注目せざるを得なかった。
場の空気は君主の統制下に入っているのだと皆、今更ながらに想い知らされたのである。それは曹真も司馬懿もそうであり、曹丕や曹洪でさえ例外では無かった。
場が落ち着いた事を確認すると、夏候惇はおもむろに語り出す。その言葉にはまだかつての覇気が十分過ぎる程、残っていたのである。
「まず曹洪!(ꐦ´ಠ д⊂)੭⁾⁾ お主は宗族の肩を持ち過ぎる。その姿勢が事実を把握し、分析する事を妨げる。気持ちは判るが今回の事はお前が口を挟むと余計に混乱するから肩入れをする事は勿論、口を出す事も禁ずる。それで宜しいですな、我が君!」
夏候惇の断固足る物言いに曹操はほくそ笑みながら「良かろう♪」と答える。
「し、しかし…」
曹洪はそれでも反論する素振りをみせる。彼は頑固なのである。けれども次の瞬間、その表情は青く染まった。
「(ꐦ °᷄ д⊂)੭ ੈ黙らっしゃい!」
夏候惇の空気を切り裂くその一喝は、たちどころに曹洪の心を折る。
曹洪は夏候惇の戦場での恐ろしさを嫌と言う程、見て来た言わば"生き証人"である。その咆哮は敵の心を挫き、味方の戦意を上げる。
そしてその気概は皆の心を打つ。彼は戦場で目に矢を受けても戦線を離脱する事が無かった男であった。
これは夏侯惇の代名詞となった逸話である。彼は何とその矢を目玉と共に引き抜くと、次の瞬間その目玉を躊躇無く口に放り込み、噛み砕くとゴクリと飲み込んだのである。
そして袖を千切ると自分の失った目を覆うように巻き、頭の後ろでキツく縛った。するとそのまま敵中に突撃して数多くの首級を挙げる事に成功したのだ。
それ以降、人々は彼を"鬼神"と称した。そして畏れたのだ。後日ある人が本人にその顛末を質したところ、彼はこう答えたそうだ。
「ふん♪(ꐦ´ಠ д⊂)=3 この目玉は親から授かった大切なものだ。捨てる訳にはいかぬ!儂の血となり肉となって、今後も我が体躯を支えるのだ。理由はそれだけだ!」
何と鬼気迫る姿勢であろうか。質した者がグゥの音も出なかったのは言うまでもなかった。
そんな一本筋の通った男の一喝だからこそ、曹洪も引き下がらざるを得なかったと言うべきであろう。彼は青ざめたまま、身を引く事にしたのだ。
頼りにしていた曹真本人すら青ざめていた。否、その場に居た者は皆そうだろう。ニヤニヤと嬉しそうなのは曹操のみであった。
夏候惇は「(ꐦ °᷄ д⊂)=3 ふん!」と曹洪を一瞥すると、話を続けた。
「(ꐦ´ಠ д⊂)σ 次に子丹!お主だ!」
この言葉に青ざめていた曹真はさらに青くなる。
「(ꐦ´ಠ д⊂)੭⁾⁾ お前はまだ若いくせに言葉が過ぎる。そして宗族の立場を笠にきて、態度が横柄だ!今からそんな事でどうする?将来が心配だ…」
「…お前は将来この国を背負って立つ男なのに、皆の手本に成らなくてどうするのだ!少しは我慢を勉強せよ…」
「…儂が言うのもなんだが、これからの将は腕だけでは駄目じゃ!良く学び、正しき所作も身につけよ。それにな、子丹!お前はまだ何も為しておらん…」
「…手柄のひとつも上げておらんお前の言葉は重みがまるで無い。薄っぺらじゃ!文句があるなら、まずは功績を上げよ♪…」
「…さすればこの儂も少しはお前を認めてやろう。それにお前は若君のお付きであろうが?違うかね?なのに若君を困らせてどうする!…」
「…お役に立てんばかりか足を引っ張ると言うなら、お前が傍に居る必要は無いからな。まだ辺境にでも出て、腕を磨く方がましだろう。良く考えて行動せよ!一度しか言わぬ。良いな!」
夏候惇の言葉には重みがあり、威厳があった。彼は長年の重責を担ってきたからこそ、その言葉には皆を納得させるものがあったのである。
「(*๑°⚰°๑)ღ⁾⁾ 良くぞ申した♪」
曹操は夏候惇を褒めた。そして口を継ぐ。
「子丹よ♪(*๑°⌓°๑)σ そう言う事だ。今回の事は吟味するに、お前の軽々しい振る舞いが招いたものが多々ある。叔父上の厳しくも心優しい言葉である。肝に命ぜよ!良いな♪」
「はい!(๑ ー̀дー́٥)承知しました…」
曹真はそう言わざるを得ない。夏侯惇のみならず、書操直々の御言葉である。矛を収めない訳にはいかなかったのだ。
「そして次に仲達!(ꐦ´ಠ д⊂)σ お前じゃ♪」
夏候惇は司馬懿をその鋭い眼差しで見つめた。
司馬懿は畏まり、姿勢を正す。
「(ꐦ °᷄ д⊂)=3 お前は若君がお嫌いかね?」
今までと違うこの質す様な物言いは、周りの者にも驚きを与えた。皆、ざわついている。
夏侯惇はその鋭い眼光を司馬懿に向けたままだが、落ち着いた素振りで返答を待っている。
司馬懿は礼を失せぬように気を配りながら、夏候惇に視線を合わせ、おもむろに答える。
「否、閣下!(* •̀ 艸 •́ )੭⁾⁾ 私は若様がむしろ好きで御座います♪」
「ほぉ~そうか♪⁽⁽ღ(´ಠд ⊂*ꐦ)ではなぜ判らぬか?お前は賢い者だとこの私の耳にも入っておる。そのお主が我慢を知らぬ訳は在るまい。儂の不肖の甥が迷惑を掛けた事はこの儂からも謝ろう。申し訳なかった!」
夏候悸は若い司馬懿に躊躇無く頭を下げる。周囲のざわつきが再び起こった。
けれども本人は何の事も無いとその表情すら変える事は無い。むしろ恐縮しきりなのは、謝られた司馬懿であった。
「閣下!⁽⁽ღ( •̀ 艸 •́ *)そんな…勿体無い。ですが、確かに閣下の仰有る通りです。喧嘩は一人では出来ぬもの。理由はどうあれ、この私にも非はありましょう♪喧嘩は両成敗が世の理と申します。慎んでお受け致しまする!」
司馬懿は覚悟を決めたようにそう答えたのである。
そもそもこの展開は彼にとっては意外なものであった。相手は宗族である。恐らく針の筵に座らされるのは目に見えていた。ところが曹丕の判断は違っていた。
「⁽⁽ღ( •̀_₍•́ ٥)悪いが心地は好くあるまい!だが、これが最善の道であると私は信じている。少しばかりの我慢で済む!私を信ずるか?」
「はい!(* •̀ 艸 •́ )⁾⁾ 無論です♪」
司馬懿はそう答えた。
答えた以上は若君に身を委ねたも同然である。ところが今回に限っては、この若き主君の判断が正しかった事を、彼は身を以て知る所と為ったのだった。
『(ღ •̀ 艸 •́ *)…やはり若君は聡明な御方!身を以てこの私を庇って下すったのだ。この御恩は決して忘れぬ!』
司馬懿はそう心に誓っていた。
曹丕はそもそも自分が曹真を嗜められなかった事に端を発するこの問題が、曹洪を巻き込んだ事により、事態の収拾をより難しくしている事に業を煮やしていた。
そこで予め夏候惇に相談に行き、味方に着ける事に成功したのだった。彼ならばあの傲慢な叔父・普洪を抑える事が出来ると考えたからだった。
「ꉂꉂ(´ಠд ⊂*ꐦ)若君の願いとあらばこの元譲、喜んでお役に立ちましょう♪この老体がまだ役立つのですからな!ハッハッハ♪ですが若!やり方はこの儂にお任せ下され♪…」
「…どちらの味方もせずに必ずや事態を収拾致しましょう。但し、この問題を抑え切れなかった貴方の非も問われる事になる。そのお覚悟はあるのでしょうな?」
老将は念を押す。
「⁽⁽( •̀_₍•́ ٥)勿論、承知しております!貴方にも迷惑を掛けるのです。その気概が無くてどうしますか?」
曹丕はそう自分に言い聞かせるようにその場は言い切った。けれども彼は本音で言えば自信が無かった。あの苦手な父の前で、果たしていつも通りの振る舞いが出来るだろうか。
前述の通り、彼は偉大な父に接近すると急激にその姿勢が萎み、言葉すらどもる程に弱腰になるという弱点を秘めていたので、言い切った手前、やらねば為らないが、とても不安に苛まれていたのである。
けれども、夏侯惇まで巻き込んだのである。もう後には引けなかった。
司馬懿は発言を終えて覚悟を決めている。
"両成敗"という言葉を発した以上、その裁可をこの場の決定に委ねた事になる。
夏候惇は、この司馬懿という男の肝の太さに感心している。けれども宗族の立場上、威厳は崩せない。そして彼は今この時に、若君の口にした覚悟を待っている。
これから先はあくまでも曹操と曹丕の度量が試されるのだと彼は考えていたのである。だから時折、チラリチラリと若君の表情を窺っていた。その表情は青ざめており、少々腰が引けている。
『こりゃあ…(ღꐦ´ಠ д ⊂٥)駄目じゃな!だがここは若君の行動に掛かっておる。待つしか在るまいな…』
夏候惇は辛抱強く待つ事を選んだ。若君の成長の一助となる事を切に願っていた。
するとその時である。意を決したように曹丕が夏候惇の後ろに歩みを進め、中央に立つと背筋を正して前を向き、進言に及んだのである。
「父上!ꉂꉂ( •̀_₍•́ ٥)今回の事は全てこの私の至らなさから起きた事です。皆様には気を揉ませる事になり、ご迷惑をお掛けしました…」
「…この上は、今後もご迷惑と成りませぬように、この私が責任を持って監督致します♪ですから、どうか二人には隠便な御裁可を願う次第です!」
彼はそう言い切ると深々と頭を下げた。皆、今度は若君の振る舞いに心を打たれて感激している。夏候惇も感心した様にウンウンと頷く。
曹操は日頃であれば、この弱腰な息子に一喝してやろうと想っていたところであるが、皆の反応には一定の満足を憶えており、夏侯惇の"幕引き"にも感じ入っていた。
しかも今日の息子は自信に満ち溢れていて、一度もどもる事無く、堂々とした姿勢を貫いている。
『✧(ღ๑°⌓°๑*)こりゃあ、一皮むけたかな?元々はこやつの弱腰が招いた事だ。だから怒鳴りつけてやろうと想っていたが、それが切っ掛けと為り、化けたので在れば拾い物だろう♪却って良かったかも知れん!』
"瓢箪から駒"、"雨降って地固る"と言うこの結末に、曹操本人すら晴れやかな気持ちと為っていたので、彼もまた矛を収める事にしたのである。
「子桓よ♪ꉂꉂ(๑°⌓°๑*)良くぞ申した!お前も自身の至らない点は理解しているようだ。それに臆せずこの儂に向き合ったその姿勢に免じて、今回の事は不問にしてやろう…」
「…だが一言だけ明言しておく。子丹、仲達!お前達は何のために子桓に付けたのか?もそっと良く考えい♪次は容赦せぬからな!心せよ♪では解散♪」
こうして夏候惇の"肝入り"による解決は、曹操の裁可を経て無事に収束される事となった。
けれども面白く無いのは曹真である。彼は一見、喧嘩両成敗となったこの問題に異を唱える事は無かったものの、王からは叱責を受け、夏候叔父からも小言を言われた。
しかも公衆の面前でである。彼の心の片隅には禍根を残す事になったのである。但し、叔父上からはキツく釘を刺された。
『(ꐦ´ಠ д⊂)੭⁾⁾ お前はまだ何も為して居らん!』
この言葉は彼にも堪えていたので、彼はしばらくは矛を収めている事に決めた。彼も学習したのだ。
いずれ功績を挙げれば、宗族である自分の発言力も次第に増して行くに違いない。叔父上達はおろか、王でさえその時にはもうこの世に居ないであろう。
『(๑ ー̀дー́٥)੭⁾⁾ いずれ目に物を見せてやる!』
彼はこの時から益々、司馬懿に敵意を向ける事になった。けれども表面上は薄笑いを浮かべて平静を保つ事に決めたのであった。
曹真の司馬懿嫌いはこうして否応無く確立したのだった。これが張郃が曹真から直に聞かされている顛末である。
張郃の推察に曹真は深く頷き、話しを続ける。
「(๑ ー̀дー́*)੭⁾⁾ さすがは儁乂だな♪その通りだ!実はな、あの仲達からお前を借りたいと言ってきておる。それだけであれば何も、"はい、そうですか"とこの私も許可する事も無かったであろう…」
「…だが奴は何かと周りに受けが良いのだ。曹仁叔父が仲達に協力するようにと要請して来ておる。そして王もお前の臨時配置を命じて来た…」
「…これでは受けぬ訳には行くまい。なぁに、一時的な事だ。すぐに召還させてやるから、悪いが行ってくれぬか?」
王の命である。基本的に受けぬ訳には行くまい。それに曹仁将軍絡みとなると、張郃でさえ首を縦に振らざるを得ない。
彼は曹仁を人としても尊っていたので、受けるに吝かでは無かった。それに司馬懿の事も現時点では特に嫌ってはいない。
上司が嫌いだからと言って自分が同調する事は無い。張郃は自分が受けた恨みで無い限りは、相手を嫌う事は無かったのである。
けれども、一応の配慮が必要な事も心得ていたから、すぐに問い直した。
「お話しは判りました。⁽⁽(*°᷄ д °᷅ ๑)閣下の心情足るや甚だ御不満とは存じますが、陛下の御意には逆らえませぬ!謹んでお受け致します。そこで閣下にお聞きしたい。私は何に気をつければ良いでしょうか?」
張郃としては、配置に付けば司馬懿の傘下に入るのだから、従えば済む事。特に敢えて問う事も無いが、因縁がある以上、何かと詳しいはず。
ここはひとつ情報を入れて置こうと想ったのであった。曹真も馬鹿では無いから、この問い掛けに想わず苦笑する。
「そうだな…(๑ ー̀дー́٥)強いて言うのなら、お前は目の前を注視する時に、見えないものが見えるかね?」
この返す刀の謎かけに張郃も戸惑う。
「そうですな…✧(*°᷄ д °᷅ ๑)物をあらゆる角度から見るという点では、二、三想いつきましょうが、それが何か?」
「だよな♪(๑ ー̀дー́*)੭⁾⁾ この私も二、三と言った所だろう。だがそれが何十も何百も見えている者が居るとしたらどうかね?」
曹真は半ば呆れたようにそう述べた。
「へっ?Σღ(*°᷄ д °᷅ ٥ღ)何百ですと?人外の者じゃ在るまいし、そんな事は…閣下!まさか司馬懿にはそれが見えてるって言うんじゃないでしょうな?」
「ハッハッハ♪ꉂꉂ(*ー̀д ー́ ๑)そのまさかさ!と言えば奴を持ち上げるようでスカンが、その通りなのだ。奴には幾重にも物事が見えているらしいのだ…」
「…だからくれぐれも気をつけよ!まぁお前はまだ奴に敵意は無いだろうから心配いらんがな!まぁうまくやれ♪話しは以上だ!」
張郃はこうして司馬懿に合流すべく南下を始めたのである。信じられぬ事だが、曹真の言葉は彼の胸に深く刺さっていたのだった。
『(ღ*°᷄ д °᷅٥๑)…そんな奴、果たしているのだろうか?』
張郃はその疑問を拭えないでいた。