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業を煮やす

「(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ところで劉巴が報告に参るとの事でしたが、もう士燮(ししょう)殿の所で交渉を済ましたのですかな?」


「否…(๐•̆ 0 •̆ ๐)まだ武陵と零陵の検分の途中ですから、それが終わり次第という事に成るのではないでしょうか?」


「✧(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ *)するとまだ交渉には入っていないのですね?」


「えぇ…⁽⁽(๐•̆ ᗜ •̆ ๐)そのように認識しております!」


士燮(ししょう)殿ですが…⁽⁽❁ღ( ˘͈ ᵕ ˘͈ ٥)あの方はかなりやり手のようです!孫権殿の軍事力に屈してからは、何かとその手足となり、南蛮勢力を煽動しているようなのですよ。このところ蜀の南方で反乱を起こそうとする動きがあり、余談を許しませぬ…」


「…万が一の事が在れば、陛下と横権(こうけん)殿に北に(にら)みを利かせて頂き、法正(ほうせい)殿、厳顔(げんがん)殿、馬岱(ばたい)殿にて南蛮鎮圧に向かって頂く手筈となっているのです。何とか早目にこちらも手立てを取らねば成らんでしょうね?」


「Σ( ¯ࡇ¯ ٥)それは大変ではありませんか?初耳です!勝算はお有りなのですか?」


「(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ ٥)相手次第と言った所でしょう!南方は森や沼など障害物も多く、湿地帯も広がっています。それに一番大きな問題は水が飲めぬ事です…」


「…地元の彼らはまだしも、慣れない我らは下手に飲めば水に混じった目に見えない毒で死ぬ事でしょう。彼らの庭で戦うという事は、それだけ難しい事なのです♪」


諸葛亮の言っている南蛮の地とは、蜀の南方に位置する未開の地域の事で、現在で言えばベトナムと言った所で在ろう。


北方の民族にとっては、慣れない気候風土により、病に(かか)る者が多発する。特に水は汚れていて、飲むと川の中に(ひそ)む回虫にやられる。


発熱、嘔吐(おうと)は勿論の事、失明したり、(もが)き苦み抜いた末に死に至る。諸葛亮は毒と論じたが、この時代は細菌や回虫類にはまだはっきりと断じるだけの根拠が無かった。


何かが身体の中で悪さしているのだと薄々気づく者も居ただろうが、一般的には毒として表現するしか無かったのである。恐らくこの中華でその事に気づく者達は、華佗を中心としたその弟子達のみであった。


『あぁ…(๐•̆ 0 •̆ ٥ ๐)恐らくこれは先生の言っていた目に見えぬ虫だな?川魚に寄生する厄介な代物だ。そんな所に何の用意も無く踏み込めば、どんなに精強な軍隊でも全滅するに違いない…』


『…特に地元の利を巧みに活かした戦法で来られたらおしまいだ。あの強大な魏の曹操ですら、百万の軍を失った。火攻めでやられたと言うが、その実態は疫病にある。何と恐しい事なのだろう…』


『…人間の欲と言うのは、本当に最限が無いのだな!そんな謀略を計る輩と我々はこれから交渉せねばならないのだ!果たして上手く行くのだろうか?』


北斗ちゃんは急に自信が無くなって来た。だが、やらねば無らないのだ。幸いにもこちらには、交州で過ごした劉巴や許靖が居るのだ。


しかも戦おうって訳じゃない。あくまでもこれは交渉事である。


『まぁ…(٥ •ᗜ•)糜竺叔父に言わせれば、外交も戦いに代わりないと言う事だったが、少なくとも泥にまみれ、傷を負う訳では無いのだ…』


『…中には精神的に追い込まれて、血反吐(ちへど)を吐く者も居るらしいが、それでも戦う事すら出来ずに、塗炭(とたん)の苦しみを味わい、じわじわと無駄に大勢が死んで行くよりはましで在ろう。恒久平和か(๑´❛ 0 ❛)"…』


『…秦縁殿の提唱するこの言葉の何と響きの良い事よ♪僕があの人に傾倒する最も大きな要因はそこにこそ在るのかも知れないな!』


彼はそう想い、溜め息をつく。


「(๐•̆ ⌓ •̆ ๐)そんな相手と戦うのは得策とは想えません!相手が蜂起したとしても、こちらの土俵で戦う他ありません。話し合いが通じるのならば、それで解決し、それが駄目なら、大きな打撃(ダメージ)を与えて想い知らせるしか無いでしょう…」


「…二度と抵抗出来ぬ程の恐怖を植えつけるしか手は無いでしょうね。僕はけして弾圧は好みませんが、守りに徹し、襲い掛かる敵に対しては断固とした態度で臨むべきだと考えています。悲しい事ですけれどね…」


「そうですな……⁽⁽ღ( ˘͈ ᵕ ˘͈ღ ٥)もし仮に彼らが蜂起した場合には、まさに今、若君が仰有った策を取る様に法正殿には伝えてあります。但し、圧倒的な打撃を与えるのは、今の我々の戦力ではかなり難しい。その都度、打ち払う様に指示してあります♪」


「(٥ •ᗜ•)⁾⁾ そうですね、それしか無いでしょうね。その間に為るべく有利な交渉結果を引き出すしか方法は無いでしょう!」


「ですな!…⁽⁽( ˘͈ ᵕ ˘͈ ٥)まぁそのような事が起らぬのが一番なんでしょうがね?」


「えぇ……⁽⁽(๐•̆ ᗜ •̆ ٥๐)全く♪」


劉巴を待つ間に話しが想わぬ方向に飛んでしまった事で、二人共に少々感情が(たかぶ)っていた。


そんなタイミングで到着してしまった劉巴の目には、二人が言葉の応酬を交わした結果として、息が上がっているように見えたのだから、ギクリとしてしまった。つまり激しい口論があったのだと誤解してしまったのである。


『ややっ!Σ(o'д'٥o)不味いところにお邪魔してしまったかも知れん!』


劉巴はいきなり後悔の念を(あつ)くしたが、もはや後の祭りである。すでに到着しているのに、いつまでも声を掛けない訳にも如何ず、仕方無く申告する。


「ꉂꉂ⁽⁽(o'д'٥o)遅くなりましたが、只今劉巴参上しました♪」


すると先程来の殺伐とした空気が嘘の様に、その場は(なご)やかな雰囲気に包まれる。


「おう♪(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ劉巴、御苦労様!昨日は急にすまなかったね。でもお陰で施術も上手く行った。まぁ華佗先生あっての事だけど、孟起殿も助かった!万々歳だ!」


「ꉂꉂ⁽⁽(o'д'*o)それは良う御座いました♪なぁに若君の想いは必ず馬超殿にも通じます!皆、喜んでいますよ♪それに比べれば、現地に出向く事などお安い御用です♪」


劉巴は変わらぬ若君の(いたわ)りの姿勢にホッとしていた。けれども、諸葛亮はそうでは無かった。


「劉巴!(* ˘͈ ⌓ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ 貴方には大きな仕事をお任せしましたね?けれども貴方は未だにここ江陵城から動いておりません!いったいどうなっているのですか?」


諸葛亮は至って落ち着いた物腰であるが、目は口ほどに物を言う。その冷ややかな眼差しは刺すようである。


ところが慌てて劉巴を庇おうとした北斗ちゃんの動きは、諸葛亮にすぐに察知されて、牽制されてしまった。


「✧(ღ ˘͈ ⌓ ˘͈ ٥)若君は口を挟まないで頂きたい!劉巴!私は貴方に無駄な時間を過ごさせる為に抜擢したのでは在りませんよ!そこん所をはっきり為さい!納得する答えが得られれば、引き続き務めて頂きますが、そうでなければ私にも覚悟があります!」


丞相の態度はかなり(かたく)なである。そして(あらかじ)め、北斗ちゃんの援護射撃も潰されてしまった。絶対絶命である。


ところがそんな極限の状況を劉巴は却って愉しんでいる様に、全く動じる気配すら見せない。彼は堂々と丞相の方に向き直ると、その瞳に自分の瞳を合わせてから、落ち着いた口調で説明を始めた。


「丞相!✧(o'д'٥o)貴方がそう想われるのも無理はありません。しかしながら、貴方はこの件を私に一任されると申されました。そして私は若君からも信任を得て全権を一任されております。若君!そうですね?」


「あぁ…(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾ そうだよ♪その通り!そしてその信頼は今でも変わらない♪お前の好きにして良いのだ!結果さえ出してくれれば、何の文句も無い!」


「✧(o'д'*o)それを聞いて安心致しました♪」


劉巴はそう言うと、話しを続ける。


「ꉂꉂ⁽⁽(o'д'*o)丞相も若君もご承知の様に、私はこの件を許靖殿と協力して対処すると予め申し上げました。お二方共、お忘れではないですね?」


劉巴は念押しする。


「そうだな…⁽⁽( ˘͈ ᵕ ˘͈ ٥)確かにそう聞いておる!」


「僕もそうです!(๑´❛ ᗜ ❛)⁾⁾ でも許靖殿はここには来て居りません…て事はもしかして?」


「ええ…⁽⁽(o'д'*o)若君!そのまさかです♪私はここに来る前に許靖殿を懸命に口説きました!彼とは交州で会って以来、親身になって付き合った数少ない友人であり、尊敬する御方です…」


「…年が離れているせいか、父親のいない私にとっては、父親替わりと言える程の方です。その彼が形だけの職に付き、成都の片隅で朽ち果てる様は見ていてとても気持ちが良いものではありませんでした…」


「…だから、彼の能力を最大限に発揮出来る場を作ってあげたかったのです!勿論、私が交渉に立つ事は簡単な事ですし、その自信も無かった訳ではありません。そもそも無ければ、始めからこの任を引き受けたりはしません…」


「…けれどもそこに多少の不安が無かった訳でもありませんでした。なぜかと問われるならば、それは士燮という人物の性格を説明しなければ理解しては貰えぬでしょう…」


「…彼は一代で交州全域をその手腕により統一しました。そして自らの御名(ぎょめい)と漢に対する貢献度により、自分を交州太守に任命させ、海洋交易に目をつけて、その利鞘で周辺の豪族や漢の高官達を懐柔しました…」


「…かなりのやり手の男なのです。彼の野望は王に成る事で、いずれ交州一帯を完全掌握し、独立国を築く事でした。今でこそ孫呉に服属し、有名無実な太守の身になっておりますが、一時は独立国を築く一歩手前まで到達した男です…」


「…実力は本物なのです。彼は士人を愛し、人材を尊ぶ姿勢が代名詞となっており、その言葉通り色々な地域から人を招いたり、逃げて来る者は保護して厚く遇してやったりしていました…」


「…かくいう私や許靖殿も訳あって一時期、彼に匿って貰った事があります。彼は常日頃はとても温厚な知識人ですが、その内面はかなりの謀略家でもあります…」


「…孫権殿に求められて、南蛮の地を煽動した事もあり、現在孫権殿の配下の武将である季異(りい)殿などは、元々は巴蜀の出身なのです。彼は自分の唯一の汚点は孫権に軍事力で蹂躙され、屈服した事でしょう…」


「…それだけ彼の王様に成りたいという気持ちは強く、そして(かたく)なだと言う事です。そして彼は自分の認めた士大夫と呼ばれる程の男以外には、決して(なび)く事はありません…」


「…私などは若さゆえに小僧呼ばわりで、さして相手にされていませんでした。ですから一計を案じて、彼に恥を掻かせたのです♪」


劉巴は一旦そこまで話すと頭を掻きながら恥ずかしそうに、はにかんだ。


「おいおい!(٥ •ᗜ•)そう言う事なら目を付けられているんじゃ…それでどうやって説得するつもりだったんだい?」


北斗ちゃんが今度は驚いた顔をしている。


「否、若君!(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ 面白くなって来ました♪続きを聞こうでは在りませんか?劉巴続きを!」


諸葛亮はほくそ笑みを白扇で覆い隠しながら、話しを(うなが)す。


劉巴はそこでようやく気が付く。


『やられた…Σ(o'д'٥o)この人、何て人だ!あれは擬態だったのか?そういや一度はっきり口にした事を、そう簡単に(くつがえ)す人じゃなかったっけ?煮え切らない様子の私の本音を引き出す為の脅しだったとは…』


『…私もまだまだ修行が足りないな♪でも丞相が私を信じてくれていた事にやはり嘘は無かったんだ!わざわざ水を向けてくれた事だし、ここは正念場かも知れないな…』


劉巴は丞相が作り上げた無言の圧力からようやく解き放たれた。緊張が和らぎその瞳は輝きを増す。そんな劉巴の変化に気づいた諸葛亮は自分の腹積もりが正しく伝わった事に満足していた。

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