日常の風景
翌日に控えていた健康診断が中止になった事で、今朝は北斗ちゃんも比較的遅い始動となる。起き掛けに蒸した新米に鶏の汁をかけると、それをサラサラとかっこむ。
そしてその足で馬超将軍の容態を見に行った。寝台の横には弎坐が付いており、管邈も既に来ていた。
「「あっ!ღ(-ω -*)(*´꒳` * )北斗ちゃん♪」」
二人は朝の挨拶を済ませると、弎坐が代表して経過を報告する。それによると、深夜、麻酔が切れた事により、患者が激しい痛みに襲われたらしく、華佗先生の見立てにより、術後の部位に麻酔を射つ事になったそうである。
その後は再び良く寝ているとの事であった。
「⁽⁽ღ(-ω -*)起きたら粥でも差し上げようと想っています♪ちょうど鶏汁が残ってますから、煮込んでやろうかと!」
「おぉ…(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈそれは良いな♪僕も今さっき食べて来たところだ!」
「⁽⁽ღ(•ω •*)それは良う御座いました♪あれ、旨いっすからね♪」
「⁽⁽(๐•̆ ᗜ •̆ ๐)だな♪あれなら毎日でも食えるよ!後、蜆汁も良いよね?塩の加減が難しいが、あれで粥を作ると旨いかも知れんぞ!」
「⁽⁽(•ω •*)そうだね♪試してみるよ!」
「⁽⁽ღ(˶• ֊ • ˶)じゃあ、また見に来るから宜しく頼むね?」
「「えぇ…⁽⁽(•ω •*)⁽⁽(*´꒳` * )お任せを!」」
二人に見送られた北斗ちゃんは、その足で丞相府に戻り、執務室に入った。
すると、潘濬が机の上の書簡に真険な眼差しで目を通している。時折、目を擦ったり、欠伸をしたり、彼には珍しく疲れている様だった。
『ღ(◕ 0 ◕٥ღ)こりゃ徹夜したんだろうな…』
北斗ちゃんは陰で支えてくれる仲間達に感謝していた。執務は一日でも欠かせば、必ず滞る。
そうすれば、その分、どこかで歪みが生じる。糜芳叔父はその最たる者だったし、丞相等はそれを防ぐ余り、睡眠を削っているのだ。
北斗ちゃんは今では、その諸葛亮を凌ぐ程の忙しさであった。そのため、そのカバーをするために、時に潘濬が、時に劉巴がこれをフォローしていたのだった。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈおはよう♪」
北斗ちゃんは戸の縁を叩き、部屋に入る。潘濬もすぐに気づき、挨拶を返して来た。
「潘濬…ღ(๐•̆ ᗜ •̆ ๐)苦労をかけたな!少し休め♪後は引き継ぐ!」
「はい!(ꐦ ٥•" ⌓•)ではお願いします♪切りの良い所で終わらせる筈が少し欲を掻きました。すみませんが急用が無ければ、少し仮眠を取ろうと想います♪」
「あぁ…⁽⁽ღ(๐•̆ ᗜ •̆ ๐)無いさ♪今日の健康診断も中止にした。馬超殿が安定するまで付き添わねばならんからな!それに観る側の健康も大切だ。医師が身体を拗らせたら、本末転倒だからな!」
「(ꐦ ٥•" ⌓•)確かにそうですな!」
「⁽⁽ღ(˶• ֊ • ˶)だからお前もゆっくりと休むが良い!何か急用があれば、すぐに起こしに行くから、それまでは安心して休むと良い!」
「判りました!(ꐦ ٥•" ⌓•)ではお言葉に甘えて♪劉巴も昨夜遅かった様です♪報告は午後ゆっくりで良いと伝えてあります!」
「あぁ…⁽⁽(๐•̆ ᗜ •̆ ๐)それでいいよ♪有り難う!いつも気遣いに感謝している♪」
「否…(ꐦ ٥•" ᗜ•)人として当然の事ですからな!では♪」
潘濬はそのまま下がって行った。相当疲れていたのだろう、千鳥足の彼を眺めるのも珍しい事だった。
北斗ちゃんはその足ですぐに書簡に目を通す。潘濬の決済で済むものは既に完了していた。
そして北斗ちゃんの指示が必要なものときちんと分けてある。彼はそれをまず済ました後に、潘濬の手による決済にも一通り目を通した。
彼は立場上、全てを知る必要は無いが、これも勉強である。彼はほぼ全てに目を通す事を、可能な限り日々の日課としている。
そうしていると、丞相がどんなに細かい事にも首を突っ込み、指示を出さねば成らない気持ちも、何となく判る気がしていた。
けれども、配下を信じ、任せるべきは任せなければ、そもそも国の運営など成り立たない。
そんな詮議を将来に渡ってずっと続ける訳には行くまい。そんな事をすれば早晩、早死する事に成ろう。
『(๐•̆ 0 •̆ ๐)…さすがに潘濬の目に狂いは無い。どれも全て丁寧に処理されている。僕が決済する上での参考になる提言まで欠かしていない。有り難い事だ♪』
彼は改めて、凄い人材を自分は配下としたのだと認識していた。彼は午前中いっぱい時間を目一杯使って執務を続けた。
『(๑´❛ 0 ❛)" 午後には劉巴が報告に来るんだったな…』
お昼前に想い出した彼は、ゆっくりと中座すると、自室に引き取る。昼食はすでに用意されていて、囲炉裏には、茶を入れられるよう、土瓶が掛けられている。
世話係が居ない訳ではない。けれども彼にとっては荊州行きそのものが冒険であり、修業なのだ。そんなものに慣れると身体が鈍り録な事は無い。
そこで北斗ちゃん本人が、関羽総督に辞退を申し入れたのがそもそもの始まりであった。これは彼が正体を表した後も変わる事は無かったのである。
昼食の御膳の上には『注意書』が乗っている。
「何、何…"(❛ 0 ❛´๑)蜆汁を囲炉裏に掛ける!へぇ~蜆汁があるのか?それは何という偶然。後は焼き魚に新米かぁ~♪菜の花のおひたしもあるね!弎坐の奴が試してみると言ってたからなぁ…早速、反映されたかな?」
そんな筈は無いから、偶然の産物である。蜆は朝早くに漁に行かねば、今頃食宅に届く訳も無い。
「(⑅˘̳ლ˘̳⑅)♡それにダイエットが成功してから、比較的お代わりも自由になったからね♪一杯目は焼き魚をお伴にして、二杯目に蜆汁と残ったおひたしを入れて粥にして食おうっと!」
自由を完全に謳歌しないで、二杯に留める事が彼の理念である。またまた肥え太ったら適わない。
まぁ忙しく動き廻っている最近の彼であれば、三杯食っても大丈夫だろうが…。
彼は誰に似たのか猫まんまが好きである。何でも米に汁をぶっ掛けてかっ込む。ひょっとしたら誰かがそうして豪快に食っているのを眺めていて、恰好が良いと想い込んだのかも知れない。
となると恐らく犯人は関羽総督辺りで在ろう。潘濬辺りはかなり下品な食べ方に顔をしかめる。
けれども、ここは最前線の持ち場であるから、上から下まで、似た様な事をやっており、手本とする人物が居ないのだから仕方無かった。華佗先生や伊籍殿ですら、似た様な習慣がある。
とどのつまりは正しい手本が居なかったので、却って潘濬が変人扱いされる始末であった。
彼はのんびりと今日も当たり前のように、二杯目の新米に蜆の残り汁と菜の花のおひたしを軽く混ぜ合わせて、サラサラと口にかっ込んでいる。
そして食べ終えると「( ー̀ ֊ ー́ )旨い♪」と叫んだ。
「(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ フフフッ♡かなり豪快な食べっぷりですね♪誰に似たんだか?」
諸葛亮であった。彼は白扇を棚引かせながら、背中を戸の縁にもたれ掛かり、こちらを眺めている。
「Σ(๐•̆ 0 •̆ ٥ ๐)…あちゃ~!こりは丞相♪変な所をお見せしましたな☆ミ これは面目無い…」
「若君!✧(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ *)誰に似たんだか…貴方もご多分に洩れず、血は争えないものですね♪」
「(๑>ᴗ<๑)ღ⁾⁾ニャハハ…と言いますと、父上もこんな感じなのですかね?」
「⁽⁽❁ღ( ˘͈ ᵕ ˘͈ ٥)まぁそうですな…あの方も戦場で永らく過ごして来ましたから、癖に為っているのでしょう…」
「…けして褒められた事では在りませんが、皆似たような者ですな!それは雲長・翼徳・子龍・漢升・文長なども変わりませぬ。私の記憶では唯一お上品な食べ方をするのは孟起でしょう…」
「…あの方は出自が高貴の出ですからな♪ちゃんと所作を身に付けられています。まぁこの機会に一度御覧に為ると良いでしょう…」
「…まぁ強いて真似をしろとは言いませんが♪食は唯一の愉しみです♡旨い方が宜しいでしょうからね♪」
何とも悠長な物言いである。けれどもこの御時世、いつ何時戦闘が始まるか判らないので、前線の立場の者に強制は出来なかったのだろう。
但し若君は将来、国の顔に成る方であるから、自主的に直して頂く腹積もりであったのかも知れなかった。
『(๐•̆ 0 •̆ ٥ ๐)…ニャンともはや!間が悪いったら無いな。依りによって丞相に観られるとは参った!』
北斗ちゃんは少し照れが先に立つ。けして悪い事をしているつもりは無かったが、今後は用心して食おうと心に決めた。
「(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ それはそうと若君は今お時間はお有りかな?」
諸葛亮は涼しげな眼差しでこちらを見つめている。先ほどの事はもう過去の事と割り切っている様であった。
「( ¯ࡇ¯ ٥)いやぁ…それが間も無く劉巴が報告に来るのです♪そこで執務を中座して先に昼飯にしてた次第でして!」
「✧(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ *)それはひょっとすると河川事業の件でしょうかね?」
「えぇ…(٥ •ᗜ•)⁾⁾ そうです♪」
「(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ でしたらこの私も同席させて頂ければ都合が宜しいのですが?お互い時間も大切にしなければ為りませんからね♪」
「えぇ…(٥ •ᗜ•)⁾⁾ 確かに仰有る通りです♪では丞相もこのまま執務室へ御同行下さい。劉巴を待ちながら情報交換と参りましょう♪」
「(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ えぇ…では御言葉に甘えて♪」
二人は執務室へと移動する。諸葛亮は入るなり懐かしさが込み上げたのか、辺りを見回す様に眺めている。
ここは昔、まだ劉氏勢力が益州を得て居らず、荊州で根を張っていた頃に諸葛亮が政務を取っていた場所であったのだ。彼は何気無く机の上に自然と目線が行くとおもむろに振り返る。
「✧(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ *)フフフッ、ちゃんと政務は滞っていないようですね♪感心な事です!キチンと整理もされていますし、安心致しました♪」
諸葛亮は安堵した様に微笑んでいる。勿論、北斗ちゃんも人並みに整理は出来る方であるが、実際には潘濬が来てからその機能性は格段に高まった。随分と便利になったのである。
「( ๑•▽•)⁾⁾ 有り難う御座います♪けど、ぶっちゃけ白状しますとね、潘濬が来てから飛躍的に機能性が向上しています!それに僕もどちらかというと現場主義でして、飛び廻っている事が多いのです…」
「…ですから、潘濬や劉巴に頼る事も多々ある状況です!実際、昨日も施術にずっと懸かりっきりで、潘濬が徹夜でカバーしてくれた様です…」
「…そして河川検分も劉巴が代ってくれました。私は今朝、馬超殿を見舞った足で奴から執務を引き継いで、全てに目を通したに過ぎないのですよ♪」
諸葛亮は北斗ちゃんの一言一句を愉しそうに笑みを浮かべながら、聞いている。そしてその言葉が終わると、優しげな口調で答えた。
「若君!(* ˘͈ ᵕ ˘͈ )੭❁ ੈ⁾⁾ 貴方が目指すところは奈辺に在るのでしょう?正直な事はとても美徳な事ですが、そこまではっきりと暴露しなくて宜しい。貴方は最終的に帝王学を身に付けなくては成りません…」
「…勿論、今は色々な事に関心を持ち、積極的に関わる事も大事でしょう!何事も勉強ですからね♪でもそろそろ貴方の下にも人材が集って来たようです。これからは下の者を適材適所に配し、その能力を上手く引き出す事も覚えなくては成りません…」
「…貴方ももうお判りでしょうが、一人で出来る事には限りがあります。貴方がしなくては成らない事も、無論有りましょうが、貴方が今後やらねば成らない事は全体の統括です。人を使う事を少しずつ覚えた方が宜しいでしょうね♪」
諸葛亮はそう述べると再び優しげな笑みを浮かべた。
『(٥ •ᗜ•)丞相も潘濬と同じ事を伝えようとしている…』
彼はそう想った。
『(ꐦ•" ຼ•)若君が先頭に立って行動する時期は終わりました。これからは下の者を使う事を覚えなければ…そうでなくては下の者がいつまでも成長しませぬ!』
潘濬もそう直言してくれていたのである。
『( ¯ࡇ¯ ٥)あいつは手厳しい事を言うが、良薬は口に苦しとはこの事だな!僕もこのままでは、睡眠を削る羽目に成る。いみじくも今、仰有られたこの方でさえ、いつの間にか仕事を抱え込んでしまっているのだ!この僕はまだ間に合うという事なんだろうな…』
『…こりゃあ、ますます良い人材を得るように努めなければ成らないだろう。少し時間を作って業務の見直しを図るとするか…』
『…当面は健康診断をサクサク進めて、河川事業のスタートラインに立たねばならん!それもゆくゆくは、なるべく自分から切り離して監督させる方向に持って行くべきなんだろう。やれやれ産みの苦しみとはこの事だな!』
北斗ちゃんの脳細胞はカタカタと小極みに動き、結論を導き出すと、丞相に答えた。
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ確かに仰有る通りなのです♪潘濬にもそう言われています!僕が率先してやると、いつまで経っても配下が育たないそうです…」
「…それは今にして想えば、そう言う事なのですね!僕も身体が二つ欲しいなんて事を考えた事が在りました。肝に銘じておく事にします♪」
北斗ちゃんもそう答えると笑みを浮かべる。
「そうです♪⁽⁽(ღ ˘͈ ᵕ ˘͈ *)✧それで宜しいのですよ!」
諸葛亮はコクリと頷くと、温みのある表情で彼を見つめた。
『⁽⁽❁ღ( ˘͈ ᵕ ˘͈ *)素直でお優しい若君の事だ。今後もなかなか非情には徹し切れまい!しかしながら、吸収力もかなり旺盛な方だからな…』
『…鉄は熱い内に打てだ。だがちと苦言を呈し過ぎたかも知れん!私ももう少し褒めて伸ばす事も学ばねば成らんな…』
諸葛亮もそう想い至っていたのだった。




