1.思い出しました!私はインフォメーションのお姉さんだった!!
「お嬢様、気が付かれたんですね!良かった!!」
目が覚めたらやたら豪華なベッドで、ふかふかの布団が気持ちよくて。
私は高級取りではない、ただのOLをしてる筈なんだけど?
ぼーっと周りを見回せば、所謂メイドさん達が私の事を見ながら涙を浮かべて喜んでいた。
あれ、なんだろう。起きたはずなのに夢でも見てるの私。
何も声を出さない私を不思議に思ったのか、メイドさん達が怪訝な顔をする。
「お嬢様、具合でも…?」
私も飲み込めていない事態に、メイドさん達と同じ顔をしてたんじゃないかと思う。
ふと自分の髪の毛が目に入って衝撃を受けた。
ピンク!?
柔らかいゆるいカーブを描くようなロングの髪は薄い桃色で、見慣れた黒髪はどこへいったのか!?
インフォメーションのスタッフである私がこの髪色は絶対にまずい、どうしてくれるんだ、明日からの仕事は!!
私はガバッと体を起こすと、いつもと違ってやたら軽い。
そのまま目に入った手足は、大人になったはずの私からすると全然小さい。
「何これ?!」
口に出した声も、いつもよりも相当高い。
そう子供の声だ。
「何これ…」
喉を抑えれば、首も細い。でも私の手も小さいから首を抑えることはできなかった。
「お嬢様、大丈夫ですか??ミィルフィーヌ様!」
私のおかしな様子に、メイドさんの1人が心配そうに声をかけてくれた。
ミィルフィーヌ。
ベッドサイドにある大きな鏡に映った自分は、どうみても日本人じゃない。
大きなエメラルドの瞳、ゆるくウェーブするピンクの長い髪。可愛らしい顔立ちの10歳くらいの女の子。鏡に映るその子は、私と同じ動きをする。
日本人らしい顔つきの、黒髪黒目のあの仕事帰りの私はどこへ行ったのか。
しかし、私は鏡に映るその女の子を知っている。
そう、仕事帰りに何度もやった乙女ゲーム
「マジック☆ルナティック」に出てきた、
悪役令嬢、ミィルフィーヌの小さい頃の立ち絵で見た。
「嘘でしょ?」
私の唇が動くと鏡の中の女の子も同じ動きをする。
私異世界に転生しちゃったってこと!?