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3.勇者パーティー。

前回の出来事: 怪人たちが冒険者(女)の服を破いているところに勇者パーティーが現れた。


 来やがったな、勇者パーティー。

 前回は現れなかったが……



「そこのゴブリン男、レディから汚い手を離しやがれーー!」



 黒髪の勇者。

 相変わらず、その目には女しか写っていないクソ野郎のようだ。

 クソ野郎だが、コイツはめちゃくちゃ強い。

 そして……



「相変わらずこんな村人を、冒険者を……むごい……ひどい……」

「絶対に許せない」

「……」



 村の惨状に、肩を震わせ憤りを見せる聖女。

 とその他2人。

 聖女のヤツ、相変わらずむしゃぶり犯り殺したくなるイイ人間女だぜ。

 だが、コイツもかなりの強さなのだ。


 その他2人は、まあ雑魚(ザコ)だが、勇者と聖女に守られながらの連携プレイはウザい位に仕上がっている。



 そしてこの2人、勇者と聖女と真正面からぶつかってしまったら、人間に無類の強さを誇る俺たちでも無事ではすまない。


 はっきり言ったら、負ける。

 



「ちっ。こうなったらさっさと殺してやるまでっす」

「や、やめてーっ、!?」「いやーっ!? 勇者さまーー!?!?」



 勇者に邪魔される前に女冒険者2人を始末にかかるゴブリン男。


 と見せかけて、俺らは静かに逃げの態勢に移る。



「ゴブリン男、そうはさせないッ」

「ゴブリン男、そうはさせないわッ」



 勇者と聖女が同じセリフを放つが、意味は異なった。



 勇者はゴブリン男から女冒険者を守る位置に。

 聖女とその他はゴブリン男を逃がさない位置を。


 目的の異なる2人の行動は、結果的にゴブリン男を挟み撃ちにしてしまった。



 退路を断たれたゴブリン男の顔がひきつるのが見える――



 しゃーねー。

 嫌いなヤツだが支援してやるか。



 我が身が危うくなる為、勇者と聖女の前に立つ気は一切ない。

 でも雑魚のお供の方は……どうだ?


 よし、軽装のイケメン斥候(せっこう)男ではなく、アイツにするか……。


 俺は雑魚の片割れ【全身鎧男】の背後に、スライムの特性を活かしてヌルリと忍び寄る。



「《粘液窒息(スライム・チョーク)》!」



 全身に一体化しているスライムを右手に集め、頭を覆っているバケツのような兜の穴から流し込む。


 《粘液窒息(スライム・チョーク)》は技名通り、スライムで気道を塞いで窒息させる技だ。

 単純で地味な技だが、生きるのに呼吸が必要なタイプの相手には、かなり威力を発する。



「ごぼっ、ごぼぼっ」



 陸地にいながらにして溺れていくバケツ頭。

 勇者は男を助けないクソ野郎だからな。

 聖女が助けるしかない。



「くっ、小癪(こしゃく)なっ」



 美しい顔を歪ませる聖女。

 うーん、たまらんな。

 しかし、程々にしないと俺の身が危険だ。

 聖女の《聖物理攻撃》を受けたら、俺たち怪人も絶大なダメージを受けてしまう。


 早く逃げてしまえ、ゴブリン男!



「《卑怯な足音(トリッキー・ステップ)》!」



 ゴブリン男の『逃走スキル』が発動される。



「あっ、ク●、ゴブリン男!?」

 


 聖女が聖女にあるまじき汚い単語を口にするが、もう遅い。


 ゴブリン男は聖女たちの包囲網を抜け出していた。




「さあ、目的も達したし、さっさとおさらばするよ!」

「こっちこっち!」


 逃げ道を確保していた蜘蛛(アラクネ)女とハーピー女の誘導で、俺たちはなんとか勇者パーティーの手から逃げることに成功した。



 ◇



 俺たち怪人は目的があって上司である魔族の皆さんに造られた。

 つまり上司は俺たちの創造主なワケだ。


 そしてその目的の1つが「勇者パーティーをおびき寄せる」ことだった。

 俺らが勇者パーティーをおびき寄せ、撹乱することで、魔族部隊の本体が戦う主戦場から勇者パーティーを引き離すことが狙いだ。


 その為に、戦場から遠く離れたこの山間の人間の村を襲っている。


 初めの頃は全然食い付いてこなかったが、やっと釣れたというワケだ。




 ――勇者。

 何でも人間どもが異世界から召還した異世界人らしい。


 どおりで、見たこともない禍々しい黒い髪色だ。

 しかも仲間の男を助けようともしないクズ野郎。

 俺たち怪人なら、普段の仲が悪くても戦いの場では必ず仲間は助ける。



 上司たち魔族はとても強いので、軟弱な人間に負けることはそうそう無い。

 だが、勇者にはかなりの数を殺されているらしい。

 勇者の持つ桁違いの攻撃力。

 それに加えての、戦い方の相性の悪さ。



 もちろん俺ら怪人も勇者には正面からは勝てない。

 だが、戦いの相性は悪くない。

 半分人間、半分魔物(モンスター)――そう造られたからな。




 目的を果たして意気揚々と戻ってきた俺たちに、すぐに次の指令があるようだ。


 上司の元に急ぐ。



「まずは、よくやった」



 お褒めの言葉を頂いた。

 そこはかとなく誇らしい気持ちが湧いてくる。



「戻ってきたばかりでお前たちには申し訳ないが、さっそく次の指令が入っている。―――次の攻撃目標はこの村だ」



 ……ん?

 上司の指し示す地図の場所と周りの地形を見て、何やら得体の知れないモヤモヤとしたものを感じる俺……。



「――あっ」



 お、思い出した。

 この村、人間だったころの俺が生まれ育った村じゃね?





やっと守る村が登場しました><





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― 新着の感想 ―
[良い点] ゴブリン男のしゃべり方は好きです! 生まれ育った村ですか、どうなるのかワクワクです♪
2022/07/24 01:07 退会済み
管理
[一言] そういえば村を守るってタイトルに書いてあった 村遂に出てきましたね〜
[一言] 勇者はナローシュであったか( ˘ω˘ )
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