27.魔女家帰宅。
前回の出来事: レアスライムを6匹ゲットした。
「……とんでもないのを連れて帰ってきたもんだ」
「俺も相談したかったがな」
通話が切れてたからな。
仕方がなかった。
連れ帰ったスライムは6匹。
全部がレア種族らしいが、内2匹がどうもヤバいらしく魔女が頭を抱えている。
「ま、まあ、いいじゃろ。……新入りのスライム達に少し聞き取りしたいから手伝うさよ」
「おう」
グリーンのヤツを間に介して、魔女の聞き取りを手伝う。
ていうか、俺の為、だから手伝うのは当然なんだけどな。
魔女の方がかなりやる気だ。
うん、なんというか。
ずっと最弱怪人だったから、なんとも変な気分である。
何だか妙にソワソワするな。
◆
「ヒアリングは終わったぞ」
「次は?」
「うむ。パッチテストで拒否反応など見るぞ」
魔女が俺の血液と皮膚を取る。
スライム達からも取る。
ほう。
これはなんとも……
6色の小さなスライムが、俺の皮膚と血液を食べてる様に見えるが……
「そうじゃ、これは『食べてる』。その後が問題なのさよ。拒否反応や過敏反応が出ないか、その他相性チェックじゃ」
「面白いな」
「そうか? まあ、時間かかるから、少し待つのじゃ。その間、スライム達と交流してるがよいさよ」
「……」ぷるる
「……」ふるる
「……」ぷるぷる
「……」ぷるぷるる
「……」フルル
ただプルプル震えてるだけだなー。
ん?
黒いのが話しかけてきた。
コイツは1番得体の知れないヤツだ。
グリーンの友だちの友だち、つまり他人だ。
成り行きで連れてきちまったが……
グリーンのやつを通して会話してみるか。
黒いのは、金色の友だちで、本当に偶然で従魔できたんだよな。
向こうが完全に格上と思うから、向こうが着いていきたいと言ったから従魔しただけで、何ら命令をする気はない。
黒いのの気が済んだら、帰ってもらおう。
……
「え、」
グリーンと俺は半分思念で会話している。
そして、スライム族同士はこれまた思念で会話している。
「……!?」
黒い。
黒いのと、一瞬だけ同調した思念は、黒一色。
ドス黒かった。
「……」プルプル
「お前……」
人間への恨み?
いや、何だ……
これは、神への恨み?
「やっぱりお前、結構危ないヤツなのか?」
黒いのからそれ以上の主張はなかった。
◆
「さて、結果が出たぞ」
おお、そうか。
どいつを合成されるんだ?
俺の希望はレッドかな。
ファイアボールとか飛ばせるもんなら飛ばしたい。
場所はやっぱ、左腕か。
「やっぱし、全部乗せしたいよの?」
ん?
――ちょうどその頃。
「仮面男はスライム男の可能性が高い、と……」
ゴブリン男とコボルト男から事情聴取し、ゴブリン男の剣に付着した液体の調査を終えた元・上司の【イルビ様】が、上への報告に向かっているなんて知る由もなかった……