23.魔女のカウンセリング。
前回の出来事: 再びアサナ村を離れた。
魔女の家に来た。
「さっそくそのカウンセルというヤツだな」
「カウンセリング、じゃ」
「まずは現状把握さよ」
「おう」
「スライム男はどれほどの強さを求めてるんじゃ?」
「んー。ゴブリン男に勝ちたい」
「欲を言えば?」
「ゴブリン男瞬殺、オーク男に勝利、ハーピー女と蜘蛛女に対等勝負できるくらいになりたい」
「ふむ……ハーピー女と蜘蛛女は瞬殺できなくともよいのか?」
「その二人は化け物クラスだからな。対等なら文句ないな」
「勇者と聖女はどうじゃ」
「アイツらはどうやっても無理だろ…………いやまて」
しばし考える。
聖女……か。
聖女に勝てれば、あの目障りな美尻と細腰を犯って殺りまくれるってことで……
「勇者はどうでもいいが、聖女に対抗できる技があれば欲しい」
「ふひひっ。このスケベ怪人め」
くひっ、と楽しげに笑い声を上げる魔女。
怪人としての本性を知っていても全然嫌悪感を見せないし、怖がろうともしない。
俺が人間の英雄を犯り殺してしまってもいいらしい。
ほんと変人だよな。
いや、魔女の事情なんてどうでもいい。
怪人はそんなコト気にしないし、人間時代にも気にした方が負けと誰かが言ってたような気がする。
「ワシの強化プランじゃが、別のスライムと追加で合成しようかと考えている。単純に2倍の強さを見込めるさよ。弱点を埋めながらの」
「弱点?」
◆
「ワシが思うにスライム男には弱点が2つある。1つ目、攻撃の即死性能が強すぎる。これはメリットだがデメリットでもある。2つ目、即死性能に特化しすぎて攻撃力が弱すぎる。心当たりないか?」
「いや。あるな」
確かに。
俺の攻撃ってスライムで呼吸を奪えば即死攻撃。
即死前に途中で止めれば気絶。
即死攻撃自体が通じない場合はほぼダメージ0。
攻撃の結果が極端なんだ。
死か0かで、その間がない。
そのことに今気づいた。
他に拘束系の技があるにはあるが、こっちも攻撃力という意味ではほとんど無いからな。
「というワケで、その辺りを補える新しい相棒をここから探すといいさよ。具体的には直接攻撃力の高い種族がいいじゃろ」
「……なんだコレは?」
「別冊魔物図鑑スライム特集号。レア物じゃよ」
ドサッ、と俺の前に置かれたのは、鈍器のような分厚さの本だった。
「付箋を貼ったページに、スライムの名称と生態、性質や攻撃方法なんかの概要が載ってるから、ソコだけ見たら良いぞ」
「魔女。俺に本が読めると思うのか?」
「! すまんじゃ。少し待ってるさよ」
……
「スライム族はレア種も含めたら万超えるからの。基本的な種と有名なレア種に絞ったぞ」
汗だくの老女が数十枚の紙束を持ってきた。
文字は読めないが、さっきの図鑑と同じ絵が描かれている。
「転写はワシのオリジナル魔法じゃ」
えっへん、と胸を張る魔女。
どれどれ……と。
「オススメはあるか?」
見ても分からん!
「フィーリング、直感で選んでみるのも一興さよ。その方が意外に良かったりするぞ」
「うーん……じゃあ、この赤いヤツ」
「これは、レッドスライムじゃな。攻撃方法は魔力を消費してのファイアボールじゃ。一応レアじゃの」
「コイツはどうだ? 青いの」
「こっちは、ブルースライムじゃ。こいつも魔力を使ってのウォーターボールが得意。グリーンスライムとの相性も悪くないさよ」
魔女の説明を聞きながら、いくつか目星をつけていく。
「2、3種類に絞ったら、あとは探して従魔してココに連れてくるのじゃ」
え? 俺が全部自分でするの?