18.聖女=レイン
聖女視点です。
わたしの名前はレイン。
レイン・コルト・コーディナス。
職種は聖女、所属は勇者パーティー。
現在、地竜の群れと仮面男――スラオを追いかけているトコロ。
「《聖拳》!」
「《聖拳》!!」
「うぅぅう、《聖拳》!!!」
「ふぅっふぅっふぅっ……っはぁ……」
「レイン様、あまりご無理はっ」
「……クリエ、地竜はあと何匹?」
「17-5で12頭です」
「ワシの隠密魔法が効かなかった所為じゃ……」
「絶対エルーダは悪くないです。そうよね、クリエ」
「はい、誰も悪くないですよ。……むしろ悪いのはボク……モゴモゴ……それに地竜たちが止まらないということはスラオさんが無事な証拠ですよ。そう信じて、スラオさんに追いつくことだけを考えましょう。むしろ1頭ずつなら、地竜もレイン様の敵ではないようです」
途中、クリエがモゴモゴして良く聞きとれなかったけど、2人して責任を感じて落ち込んでいるエルーダを慰める。
「聖女どのの強さは前回で知っていたつもりだったのじゃが……本当にすごいの」
「『聖女どの』ではなく、『レイン』。レインと呼んでくださ……いっ!」
「……残り11頭」
それにしてもエルーダはスゴい。
お年を召しているのに、わたしたち2人の全速力に付いてこれている。
それも余力を残していると感じる。
……もしかしたら若い頃はすご腕の冒険者だったのかもね。
「レイン様、ボクが気を引くので一気にヤっちゃってください!」
「了解ッ!」
さっきは「無理するな」的なことを言っていたクリエも必死だ。
クリエの役目をスラオが代わってくれたようなものだしね。
きっと責任を感じているのよね……。
わたし?
わたしはどうなんだろう……。
わたしや勇者ほどの強さは無いのに、自分より強い女の盾になろうとするような人。
珍しい男――きっと彼に死なれたら世界が少しつまらなくなる。
だからできればこんなところで死んで欲しくない……って感じかな。
(前に盾になってもらった借り、まだ返していないしね)
そう。
それだけ……よッ。
「《聖拳》!!」
「《聖拳》!!!」
「レイン様、残り9頭っ!」
「ふぅっ……はぁっ……それだけなんだからーーーーっ!」
「レイン様、顔色がかなり赤いですけど、体力は大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ! これくらい!」
クリエに指摘されるまで自分が赤面してるのに気づかなかったわたし。
ど、どうして顔が熱くなるの?
さらに、追い打ちをかけるようにエルーダのつぶやきが聞こえる。
「この数を『それだけ』とは……さすが聖女じゃ」
(そういう意味じゃないの……ッ)
わたしの顔は更に熱を増した。
ちょっと別視点を書いてみたくなりまして(;A´▽`A
くっ……
ワイのペースよ、あがれーー!