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詐欺師があらわれた!!

――――白いのか黒いのか、色がそもそも無いのか、よくわからない場所に居た


 おかしい、意識を無くしたと思ったが意識がある、身体の感覚もある。

 寝起きのふわふわした感じというのか、頭がぼやっとする、なるほど先の死は夢で自分は今夢から覚めようとしているのか、そんな風に考えていた時だ


「 夢とは言いえて妙だ、確かに今君は死後の夢を見ているとも言えるわけだが…… 」


 男のような女のような、若いような老けているような、不思議な声が聞こえた。


 声が言うには自分はやはり死んでいるようだが、ならば何故、今こうして思考しているのだろうか?

普通、死んでしまえばものを考えたりはできないと思うのだが


「 今の君は壊れた肉の器から魂が抜けだ解放された状態ということだ 」


 声の言うことを信じるならば、自分は魂だけの存在――

いわゆる、幽霊などの類なのだろうか。

 まあ、それはいいとして、今気になるのは声のことだ、死にたての魂に声をかけるということは死神の類なのだろうか?

 もし、死神なのだとしたらささっと職務を遂行してあの世に送って欲しいものなのだが、そこのところはどうなのだろうか?


「 私がナニかと気になるようだが、あまり気にしないで貰えると嬉しい。

 とは言えだ、気になるだろうから簡単に自己紹介をしようか 」


 声がそう言えば目の前にすぅっと人影らしきものが現れた。

 真っ黒のローブに身を包んだ男なのか女なのか若いのか年寄なのかもわからないそんな奴が現れた。


「 私は影法師、とでも名乗っておこうか、今回はスカウトに来たのだ。 」


 ――――スカウト?

 自分で言うのもなんだが自分は取り立てて目立った人間でもなければ、なにか成し遂げたことのあるような素晴らしい人間でもない。

自分は平凡より下のゲームとガチャが好きな、30そこらになってもフリーターをしている駄目人間なわけだが、そんな人間が死んだからと言ってこんなイベントがあるのは何故なのだろうか?

 生前はこれといった徳を積んだわけでもないし、さりとて死後の世界などを信じているわけでもないのだが、死んだらみんなこんな風に声を掛けられるのだろうか?


「 皆が皆というわけではないが、君たちが死んでしまったときに声をかけるのはよくあることだよ。

 聞いたことは無いかな? いや、最近よくみるだろう? 異世界転生―― 」

 

 異世界転生……確かに最近はよく見る。

 曰く、チートの能力貰って無双したり、生前の知識でもって無双したり、とそんな感じのものが最近の流行だった気がする。

 実際に自分もそのような小説なりを好んで読んでいたし、妄想だって色々したものだ


「 どうだい?剣と魔法の世界は好きだろう? 」


 剣と魔法……、確かに好きだ、憧れもある。

 だが、やはり意味が分からない、こういうのはもっとすごい才能のあるやつだったり、不遇な一生を過ごした奴に起こりえるものであろうに、それがなぜ自分のような平凡で人生は短いとは言えそれなりに満足してすごした奴のところに?


「 確かに、君は普通であるし人生だってそれなりに満足したのだろう―――― 」


 影法師は大仰に頷きながら言葉を切り、こちらをじっと見つめてきた。


「 ――飽いていただろう、日々の繰り返しの生活に。

 ――満たされていないだろう、刺激の無い世界に。

 ――諦めていただろう、己の未来を。

 ――無味乾燥な世界から脱したいとは思わないか? 」


 確かに、食事をして仕事して合間にゲームだのしかしてない生活ではあった。

 だがそれは自分が人生において選択してきた結果だ、飽き飽きの生活だったが納得している。

 変化が乏しく刺激的な毎日ではなかったが、それもしょうがない事だ、人生において刺激やら変化となればそれはとても大変で面倒な事がついてくるのだから、自分の我慢弱さは自覚している。

 未来なんてものは考えないようにしていた、その日その場所その刹那で自分が楽しければ良いと将来など知ったことかと投げていたのだから、自業自得の結果であろう。

 そう、どれもこれも自分の選択の果ての結果なのだ、退屈だろうが何だろうが自分の選択に後悔はないのだ、だから――


「 そう結論を急ぐ必要はないだろう、君が君自身の人生に納得しているならそれでいい。

 難しく考える必要はない、君が想像してきたような世界で魔法を操り、剣術無双になってみたりしたくはないか?なに、心配はいらないそのために必要なものは用意しよう、なんでも好きなことを言いたまえよ、私がすべてを叶えてあげよう 」


 そうは言うが、この影法師が怪しすぎてとてもではないが素直に話に乗れない。

 なによりも、そこまでしてもらう理由がないのだ、確かに影法師の言った退屈な人生を送ったであろう人間ではあるが、それだけで異世界に連れて行ってあげますなどとは意味も目的もわからない。

 上手い事言われて契約したはいいが蓋を開ければ悪魔の契約でした、などというのは勘弁してほしいものだし、それならば自分は普通にこのまま成仏して輪廻の輪に戻りたいと思う。


「 ふむ、確かに慈善事業などということはないがね、安心したたまえ詐欺などではない。

 君をスカウトする理由は特にはないが、目的ならある、まあ、君には教えてあげられないことだがね。

 それで、どうするね、正直このまま輪廻に戻るより私の話に乗っておいたほうが良いとおもうよ?

何せ君が夢にまで見たような世界だ、剣と魔法とドラゴンに勇者、そんながある世界だ―― 」


 退屈はさせないよ、と影法師は言った。

 確かに、自分が夢にまで見た世界だきっと退屈しないんだろうさ、けど――


「 けど? 」


 言葉を切った自分に影法師が首を傾げた……気がする。

 なんでも用意するの中に、俺が考えた最強の美少女にしてくれるっては含まれていますか?


「 ―――― 」


 できるなら異世界でも地獄でも行く所存ではある、人生において悔いも未練もないが一つだけもし次があるならと思うことがあるのだ、それは


 ――――俺は美少女になりたいのだ!

 


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