きょせいびょう・かんがんびょう
西暦2500年
地球の人口は110億を超え、
環境汚染や資源枯渇、それに附随する多くの問題が
いっそう深刻になっていた。
ところが、皮肉とも言える現象により、
総人口は急激な減少に見舞われることになる。
現象で減少。
寒いギャグ。
温暖化をぶっ飛ばせ?!
その「現象」、「奇妙な病気」のパンデミックにより、
「名実共に男」が急速に減少していった。
この病気にかかるのは男性だけで、
病名の通称は「去勢病」、もしくは「宦官病」
いわゆる、キンタマとオチンチンの組織が突然壊死。
放置されると、壊死は全身に転移して死亡。
発症から死亡までの期間は、2週間余から1か月。
治療法は1つだけで、患部を切除すること。
「去勢病」「宦官病」と呼称される由来は、
この「治療法」にある。
発症から、遅くとも3日以内に「治療」しないと、
予後は絶望的。
世界の男性の約半数が罹患し、発症のメカニズムは不明。
辛くも生存と診断されるためには、
手術から5年を経過して、壊死の転移が発見されないこと。
「男性自身」を失うと、最大の問題は排尿。
立小便はできなくなり、
しゃがむか腰かけておしっこせざるをえなくなる。
そして、尿道がかなり短くなって、肛門のすぐ前に。
締まりがわるくなるのが通例で、失禁が常態化。
肛門から大腸菌等が入りやすくなるために、
膀胱炎になる「元・男」も多くなった。
生殖機能はすべて失われ、
この病気にかかっていない男性は「種人」(たねびと)として珍重されるようになった。
チンが機能するので珍重。
失禁の治療法はなく、いつもくさいのでなにかと敬遠された。
おむつのメーカーは、売上が激増して株価も高騰。
国連はWHO が中心になって、全力をあげて実効性のある対策の探究につとめた。
しかし、うまく行かず。
健康で生殖機能のある男による「一夫多妻制」の国際的な奨励まで爼上にのせられた。
「元・男」の体力低下や、性格の変化、いわゆる女性化も大きな問題に。
頑強な労働力が激減して、特に、第1次と第2次の両産業は人手不足が深刻に。
この、閉塞した状況は解消されるのか。
専門の研究機関でも、男性が突然発症する例が続々と。
人類は、新しい黙示録から逃れることができるのだろうか。