決闘と侍少女
広場に行くと結構な人だかりが出来ていた。
広場に行く途中でこんなことになってしまったことをクリスに謝っておいた。
するとクリスも高ランクには早くなりたかったようで、むしろ有り難いと言ってくれて、頑張ってくださいと応援をされてしまった。女の子に応援されてしまっては負ける訳には行かないと気合を入れ直した。
そして、広場で喧嘩を売ってきた冒険者と向き合う。
周りは周りで盛り上がっていて、賭けまで始まってるようだ。
「おい坊主、俺の名前はジューダスだ。お前の名前は?」
「俺の名前はシュンだ」
「シュン…その髪といい東方の国の出身か?まあいい、お前武器はいいのか?」
東方の国?日本みたいな国があるのか?でも俺の髪茶色だよな?そんなことより今は武器か、そういえば完全に忘れてたな。
ジューダスの装備を見る感じ、結構デカイ剣持ってるし、素手で戦うのもいいけど避けるのしんどそうだよな。クリス剣持ってたかな?
「クリス、今武器とかって持ってる?」
「ごめんなさい、私基本魔法を使うので武器は短剣くらいしか」
装備を見て分かっていたが短剣しかないのか。短剣だとあの剣の攻撃1回防ぐだけで壊れそうだよな。仕方ないし素手で戦うかな。
そう思っているとクリスの近くにいた袴のようなものを着た少女に話しかけられる。
「武器が無くてお困りのようでござるが拙者のこの小太刀を用立てるでござるか?こちらの刀は拙者の愛刀故、こちらの小太刀で許して欲しいでござる」
「本当に貸してくれるでござるか?」
唐突に喋り掛けられたせいでなんか口調が移ってしまった。
「ふむ、同じ東方の国の出身とお見受ける。同郷のものが困っていたら助けたいと思うのが普通でござるよ」
どうやら同郷と思われているらしい。ふむ、東方の国ってことは日本みたいな国なのだろうか?ていうかなら何故茶髪なのだろう。俺も茶髪なのに東方の国って言われたしこの世界の日本みたいな国の人は茶髪なのだろうか?前世の異世界モノだと黒髪ポニテのはずなのに何故茶髪ポニテなのだろう。
まあ、そんなことよりとりあえず武器は有難く借りさせてもらおう。
「ありがとう、じゃあちょっとの間借りさせてもらうよ」
「じゃあジューダスさん始めようか」
ジューダスの方もいいぜと言い剣を構える。
お互いに武器を構えた状態で相手の様子を見る。
ジューダスはAランクと言っていたがティナに比べるとだいぶ隙があるな。これならこちらから攻撃すれば勝てそうだが、どの程度の強さか知りたいし攻撃してきて欲しいな。
「そっちから攻撃してきていいですよ」
俺が言った瞬間ジューダスが間合いを詰めてきて剣を振り下ろしてくる。とりあえずそれは横に避け追撃に備える。避けられたジューダスはそのまま剣を横に振って攻撃してくる。それを上に跳び避ける。もう一度剣を切り返してきたのでそれを小太刀で上にいなす。そして、とりあえず間合いを取る。
なんか攻撃がすごい遅い。ティナの攻撃に比べるとハエが止まるんじゃないだろうかと思ってしまうほど遅い。これなら小太刀いらなかったのじゃないだろうか?
今度はこっちから仕掛ける。とりあえずトップスピードで間合いを詰め、蹴りを繰り出す。何というか驚いた。間合いを詰めた時に思ったがジューダスのやつ全く反応していなかったのだが。
蹴りを無防備に受けたジューダスは後ろに吹き飛ぶ。そのまま観客の中にまで吹き飛び観客から軽い悲鳴のようなものが上がる。
起き上がったジューダスはなんか怒っていた。そして、ウォォォと声を上げて剣を怒りのままに振り下ろそうとする。
これだけ隙があるとある意味尊敬してしまう。こいつ本当にAランクなのだろうかと疑問に思ってしまう。
ジューダスが剣を振り下ろしてきたので、ティナ相手にも攻撃を入れられた技を繰り出す。
剣を振り下ろして来たジューダスの懐に入り込みそのまま振り下ろして来た腕を掴みその勢いで背負い投げをする。そして、倒れたジューダスの首もとに小太刀を突きつける。
「これで俺の勝ちでいいよな?」
観客は唖然としている。誰もジューダスがこんなに圧倒的に負けるとは思っていなかったのだろう。
俺はそれを尻目にクリスの元に行く。そして、小太刀を借りた少女に礼を言い小太刀を返し、なんか驚いているクリスを連れてギルドに戻る。
後ろからうぉぉぉと聞こえるが気にしないでおこう。もしかしたら目立ちすぎたかも知れない。目立ち過ぎると変な輩に絡まれるっていうのが相場だと思っているのであまり目立ちたくないんだよな。
ギルドに戻るとお姉さんが引きつった顔をしていた。というかさっきからクリスも何も言って来てくれないのだがどうしてだろう。
「クリス、さっきから黙ってるけどどうしたんだ?」
「いえ、あんなに強いとは思っていなかったので、というかあれだけ強いならどうして一角熊から逃げたんですか」
「いや、俺が強いのか?あいつが弱いんじゃなくて?それに一角熊から逃げたのは…まああれだよ」
ティナのやつある程度戦えるとか言ってたけどめっちゃ鍛えられてたんじゃないか?てか、一角熊が怖かったから逃げたなんて恥ずかしくて言えねえわ。
「だいぶ強いと思いますよ。Sランク冒険者ならすぐになれるんじゃないでしょうか?」
「そうですね。シュンさんの実力ならすぐに昇級クエストを紹介できます。すぐに受けますか?」
「そうだな。クリスもいいよな?」
「はい、一緒に受けさせていただけるならお供いたします」
「いたでござる」
クリスと話しているとさっきの少女が話しかけて来た。
「さっきの闘いぶりからシュン殿は相当武術の心得があるとお見受けするでござる。拙者と手合わせして欲しいでござる」
また、戦いを挑まれてしまった。さっきはどの程度の実力なのか知りたかったから戦ったけど、もういいしな。俺別に戦闘狂ってわけじゃないし、ていうかどっちかというとあまり戦いはしたくないんだよなぁ。
「いやー、今からクエストを受けるからまた今度でいいかな?」
とりあえずやんわりと断ってみる。小太刀を借りたし何か出来るならやってあげたいが戦いはやめてほしい。というか女の子と戦うのは心が痛んでしまう。
「そうでござるか。ならそのクエスト拙者も同行させていただくでござる」
そう返してくるとは予想外だった。どうしよう。
「このクエストはBランクに上がるためのクエストだし多分危険だし俺たちだけで行くよ」
とりあえず、断ってみる。
「なんと、拙者もそのクエスト受けたかったのでござるが1人ということで断られたのでござる。やはり、同行させていただくでござる。そして帰ってきたら、手合わせするでござるよ」
何という藪蛇。断った口実が余計同行する理由になるとはやってしまった気がする。
すがる気持ちでクリスの方を見てみる。
「私は戦力がアップすると思うので大歓迎ですよ」
にっこり笑いながらそう返された。
どうやら決闘はやらないといけないようだ。
「わかったよ。じゃあ、3人でクエストを受けよう。俺の名前はシュンだ。そして隣にいるのがクリス」
「よろしくお願いします」
「拙者の名はシオリでござる。ひとまずは仲間としてよろしくでござる」
シオリか、たしかに俺の前世の日本人の名前と系統が似てるわな。
「よろしく。よし、じゃあクエストの内容を聞いてもいいか?」
「はい、では説明します」
もうすこし1日1話投稿するつもりです。
感想等よろしくお願いします。