あれは、death like
ステンドグラスの背景
それですら異様であるのに
上を眺めている人へ
釘付けになった
浮かんで見えるから
背後の事など気にもしない
ただ、その人のことを見た
一目惚れという言葉は
好きな物を発見した瞬間にしか
使えないのかもしれない
この一目惚れは
人間が単純な理由だ
好きな物しか見ないのは
人の標準装備である
誰もが、そうであって
例外は無い
それを良くないと考えたから
色んな物を見ようとした
なんで、良くなかったんだろう
それは、その内
分かるのかもしれない
新しい例題を
僕等が作ることで
好きな物しか見ない
それは世界中にある全ての物が
見られるってことかもしれないし
それは世界中にある全ての物が
消えて無くなるってことかもしれない
嫌いな物の行方を
平等にするなら
全て消えるだろう
全ての物が消えて無くなるのだから
惑星ごと消えるだろう
世界滅亡論を唱える者と
違いが全く無い
近いか、遠いかだけで
意味合いは同じである
下敷きにしている物が
ちゃんと存在しているのだろうか
本なら読むという形の上に
好きな本があるだろうか
それとも
好きな本があるから
本を読むという形にしているのか
後者であれば
好きな本以外は
本では無いと
認識しているのかもしれない
嫌いな物は見ないのであれば
どう言い換えようと
良い意味にはならないのだ
上を眺めている人は
そのまま、ジッと見ている
見ている物が気になった
同じように上を見ると
鳩の巣から雛が落ち
生き絶えてミイラ化していた
不意に目が合う
他人よりも高い視覚で
相手の薄く笑った口元は
何も言わず
好きな物だけが
そこに置かれている
同意も無い
馴れ合いも無い
表層の綺麗な流れだけがある