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女になった魔王さま  作者: 樹(いつき)
第十一話 魔王さまと猫
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一緒に出かけませんか



「ゼオルさん、一緒に出かけませんか?」


突然の誘いに、ゼオルは目をパチパチとさせた。

改まって言うことでもあるまいとは思うが、せっかくの誘いなので新しい服を出してみた。

もう初夏の時期であることを思うと、そろそろ薄着でも差し支えないだろう。

暑さや寒さは感じないが、こういうものは目で見て楽しむものだ。


鏡を見て何度も吟味して、似合う服装を考える。

悩みながらも鼻歌が出ていたのは、知らず知らずのうちに気分が高まっていたのだ。


「準備できましたか?」


部屋の外からアークの声が聞こえる。


「もう少し待ってくれ」

「僕、外で待っていますね」


待たせるのも悪いとは思うが、適当な格好で出て行くのも悪い気がする。

結局、悩み抜いて選んだ服装は普段とあまり変わらないものになった。

もう少し新しい服にも挑戦すべきだったのだが、アークと一緒にいて恥ずかしいような格好になってはいけないと思い、保守に走ってしまった。


「すまん。待たせた」

「あっ、新しい服ですね!」

「ふふっ、わかるか?」


ゼオルは気がついてもらえたことに嬉しくなって頰が緩む。


屋敷の前に止まっていた馬車にアークと共に乗り込むと、ゆっくりと進みだした。


「そういえば、港町ロージアンへ行くと言ったが、何をしに行くんだ?」


行き先は聞いていたものの、目的は聞いていなかった。


「遊びに行くだけですよ」

「遊びに?」

「ええ。最近、忙しかったじゃないですか。それに、屋敷にも人が増えて、ゼオルさんとふたりで出かけることもなくなったので」

「我に気を使ってか?」

「いえ、僕がふたりで出かけたかったんですよ」


馬車は休まずに進み、翌日の朝、山をひとつ越えると潮の香りが漂い始めた。

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