なんで!?
町の再建は、それほど難しいことではなかった。
この町はもともと魔法で作られた町であり、家も魔力をかけ直すだけで難しい手順を踏まずに元通りに戻すことができる。
避難した住人の誘導は護衛部隊が、町の修復はゼオルの手下たちが役割分担をして行ったところ、三日で完全に元へ戻った。
町のひとたちは誰が攻めてきたのか知らない。
ゼオルが隠した方がいいと提案し、アークもそれに同意した。
ブレインの部下であるハルワタートは、リンの護衛部隊へ参加することになった。
社会的な立場を持つということが必要だ、とブレインに言われたため、素直に従ったのだ。
リンもまんざらではなさそうで、痩身の彼を鍛え直してやると意気込んでいた。
一方ブレインは、アークの屋敷の一室を借りて、この世界の文化に触れるのだと、連日連夜、たくさんの本を読んでいる。
「よく飽きもせずに読めるもんだ」
「ふふん、飽きるような人はそもそも向いていないんですよ」
「というか、字は読めるのか?」
「ボクのカンッペキな頭脳と容姿があれば、言語を覚えることなど容易いことなのです」
ブレインのドヤ顔に苛ついたのか、ゼオルはそっと彼女の頭部にげんこつを押し当ててぐりぐりと擦る。
「ぎゃあああああ! なんで!?」
ふたりの仲は悪くもないが、良くもないと言った具合であるが、天空の剣に体を変化させられた被害者の会のようなものを作っているらしい。
アークは苦笑いをして、ふたりの様子を見ていた。