いざ、職場へ
錬たちはまず仕事場に行くことにした。
宿も大事なのだが、職場でもし泊まる所を提供してもらえるのなら、して欲しいので確かめに行くのだ。
少しの希望に賭けてみるのだ。
日本なら提供してくれるところもあったはずなので、ワンチャン賭けてみるのだ。
周りは何を言っているのか分からないと言って頭のおかしいやつ認定されてしまった。
この世界にこういった文化が無いのかもしれないが一度確かめてみるのもいいだろう。
「リェルさん、あとどのくらいですか。」
「そうですね、三十分くらいですかね。」
「錬、もう一時間も歩いているんですけど。休ませてくれません。」
フィーネはかなり疲れているようだ。
一方、メリアは元気に歩いている。
姉が起きてからずっと元気なのでリアのおかげだろう。
数か月前は疲れて屋台に乗っていたのに。
フィーネの言葉を無視していたら重さがいきなり増えた。
錬が振り向くとフィーネが乗り込んでいた。
錬は特に何も言わずに前を見て歩く。
徐々に徐々に錬の歩くスピードが歩く速度が遅くなってくるが周りが察してゆっくり歩いてくれる。
だが、二人は違った。
「おい、錬。遅くなってるぞ、早く歩け。」
「そうよ、錬。さっきより格段に遅くなっているわ。早く歩きなさい。」
前を歩く三屋、屋台に乗り寝そべっているフィーネ、その二人が錬を責める。
無視をしているが数分間愚痴を言われ続けた。
周りも二人を落ち着かせてくれているのだがかなりうるさい。
リアに至っては屋台を押すのを手伝ってくれた。
「ありがとう、リア。」
「気にしなくてもいいよ。」
笑って手伝ってくれる事に感謝以外の気持ちが無い。
そんな状況が続いたまま職場にたどり着いた。




