リェル
「すいません、聞きたいことが。」
錬は隣に座らせてもらってから数十分が経とうとした時に言葉を発した。
「どうなさったんですか。」
「今までお二人の名前知らなかったんですけど、何て言いますか。」
「そういえば名乗っていませんでしたね。」
馬車を運転していない方の女性が対応してくれている。
錬も何と名乗るのか待ちどうしく待っている。
だが、そこから何も話さない。
「あ、あの。お名前は。」
「いえ、すいません。長年、偽名を使っておりまして本名が思い出せず。」
「お、お構いなく。偽名でもいいので教えてくれませんか。本性は呼びづらくて、困ってたんです。」
「そうだったんですか。では、私はリェル、お隣はキュラです。」
「ありがとうございます。そう呼ばせていただきますね。」
「どうぞ。」
本名を思い出せて言えたのか、偽名なのか分からないが呼びやすくなったのでいいだろう。
「リェルさんはどうして三屋のおもりをしているんですか。」
「そうですね。私とキュラが所属している組織がそのような事をするために作られた組織ですので。」
「おもりをする組織ですか。」
「違いますよ、困っている人を助ける組織です。」
「ですよね。ちょっとふざけただけですよ。」
「そうだったんですか。気づかずすいません。」
リェルは首を少し傾げている。
錬はリェルに手を振り、「別に大丈夫ですよ」と弁解しておく。
それを片目で見ていたキュラは笑っていた。
「そういえば、キュラさんは補助みたいなことをしていますよね。」
錬は次にキュラに話しかける。




