馬車の中で①
八人もの人間を乗せれる大きな馬車は森の中を走っていた。
特に、周りに異変も見えず平和な雰囲気だ。
だが、馬車の中では壮絶な言い争いが続いていた。
「おい、おかしいだろ。」
三屋が雄叫びのように叫ぶ。
「でも、なったんだからしょうがないだろう。」
「弟子を取るなんておかしいだろう。」
「どうしてだよ。」
「俺がリアのオーラ使いの師匠なんだから、俺を超えないと弟子を取るなんておかしいだろう。」
「なんだよ、オーラって。」
「そんな事も知らねぇのかよ。」
喧嘩腰で話し合う三屋とガルディナは今にも殴り合いになりそうだ。
その状況をフィーネは手を叩いて笑っている。
メリアとリアは外を眺め、完全に意識を別の方向に向けている。
その状況の中、錬だけは何も出来ず下を向いている。
その理由は簡単だった。
三屋とガルディナに挟まれて座っているのだ。
双方から大声で叫ばれておりかなり、うるさいと思っているのだが何も言えない。
ガルディナはワンチャンあると思うのだが、三屋は完全に殴って来るだろう。
絶対に痛いと分かっていて殴られに行くやつはいないだろう。
だから、黙りこくっているのだ。
「俺がリアにオーラを使いこなせれるように教えている間は弟子を降りろ。」
「どうしてだよ。別にいいだろう。それに、お前が嬢ちゃんの師匠として認めてもらったわけじゃないだろ。」
「いいや、俺たちは本気で殺しあったんだぞ。それで、俺が勝った。つまり、俺があいつの師匠だろ。」
「「なぁ、こいつの何か言ってくれよ、錬。」」
二人は同時に錬に向かって指をさす。
錬は戸惑い口ごもってしまった。




