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経営始めました異世界で  作者: 隠月
始まり
9/299

メアリヤの覚悟

周りを見渡すと街のいたるところから火の粉が上がっている。


わめきながら走って逃げ回っている子供と女性。


両親が見つからずその場で泣きじゃくっている子供もいる。


リヤ達はどこにいるんだろう。


錬はどこにレシケナトス家の皆がいるのか分からないが、なんとなくだが足が動き出し走り出す。


三人のいる場所なんてきっとバナックシェリーしかないはずだ。


もしいなかったら三人はもう・・・。


でもリアとメアリがいればこんな異常な事が起きていても大丈夫なはず。


錬は、自分にそう言い聞かせ店に向かう。


店に向かう途中なぜか一番火が燃えあがっている場所に、武装した人たちが向かって走っていっている。


〔ウッゴゴゴォォォォォ・・・〕


奇妙な雄たけびを背に浴びながら錬は振り向かず店に向かって走り続ける。




「ハァハァ・・・。っう、や、やっと着いた。」


バナックシェリの扉を開け店内を見渡す。


店内の奥の方から声が聞こえてくる。


良かったこの中に逃げ込んでいたんだ。


「お母さんやめてよ。もし行くなら私も行くから。」


「リア、あんたはメアリを連れてこの街を出るんだ。このままじゃ街が滅んじまう。」


「嫌だ、これ以上家族が居なくなるのは。どうして三人で逃げちゃダメなの。」


「この街にいる冒険者の数や力を知っているうえで言っているんだい。すぐにドラゴンがこの街を滅ぼして外の街などに被害を出してしまう。」


「この街の冒険者が束になっても勝てないのにどうして向かうの。」


リアの瞳から一筋の涙が流れる。


メアリヤは見ないようにしているが悲しそうな表情をしている。


メリアはここに逃げるだけで疲れたのか壁にもたれ座って意識を失っている。


タイミングを見つけれず壁越しで話を聞いている錬は何も出来ずたたずんでいる。


「私はね、元冒険者の大物殺し(ゴールサントキラー)。今まで自分よりでかい大物に負けたことが無いんだよ。私に任しときな。」


それだけを言うともう準備を終えていたのか、メアリヤが振り向きもせず奥の部屋から出てきた。


「リアとメリアを頼んだよ。」


「僕に気づいていたんですね。」


「当たり前だよ。」


メアリヤは悲しくも微笑みながらバナックシェリーと無言の別れを告げた。


「リア行こう。メアリヤさんの頑張りを無駄にしてはいけない。」


「お、お母さんが負けるわけない。絶対に負けない。だから、安全な街に行ってお母さんを待つ。」


「うん、そうだね。メアリヤさんが負けるはずない。三人で待とう。」


こうして、錬がメリアを背負いながらリアと必死に街を抜け出し駆け出した。


後ろでは、少し前に聞いたドラゴンの雄叫びを遠くから聞きながら、振り向くことは失礼だと思いながら前を見つめ悲しさを心の中にグッと閉じ込め走り続けた。




「着いた。」


「そうね。この街で私たちの生計をたてましょう。」


「そうですね。」


錬は、リアと並び大きな門をくぐる。

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