カナエ・・・
ヒロヤはすることがなくトボトボと歩き回る。
黒フードたちを見つけてお金を渡せばいいのだろうがどこにもいない。
一旦一応全ての部屋を開けたのだが誰もいない。
いた痕跡もなくどうしようにもないのだ。
カナエが来ることも待っているのだが館の玄関が開く音はなっていない。
「どうしたものか。」
何も考えが思いつかずウロウロと歩く。
その後ろをゴーレムがついて歩くのだが特に何も思いない。
ほぼ無心の状態だ。
もっと探索すれば何か見つかるのかもしれないが今は探す気になれない。
その理由はいたって単純だ。
玄関に置いていたもう片方の製造物が消えていたのだ。
まさか、誰かに取られるとは思っていなかった。
「大丈夫なのか。」
頭を悩ませヒロヤはうな垂れる。
そして、することもなく一度館から出る。
すると、外の景色は真っ暗になっており満月が高く昇っている。
そして、することが無くなってしまい玄関前に座り込んだ。
「マスター、ダイジョウブデスカ。」
「気にしないでくれ。すぐに立ち直れるから。」
気が張り詰めすぎていたヒロヤは目がゆっくりと閉じようとしてくる。
「っく。寝ちゃダメだ。」
頭を振り目を覚まさせる。
ヒロヤは立ち上がり伸びをする。
そして、迷宮森の最深部へ向けてある魔法を打ち込む。
すると、少しの光が漏れる。
「あ、ありがとう。」
カナエがボロボロになりながら出てきた。
「どういたしまして。」
ヒロヤが微笑みながら手をさし伸ばす。
「どうして分かったの。」
「分かるに決まっているだろう。その指輪をつけてるんだからな。」
「そうね。そんな効果もあったわね。」
カナエが優しくヒロヤに微笑みかける。
「早速で悪いんだけど。ユキを助けに行くぞ。」
「分かってるわよ。」
二人は館の玄関に手をあて扉を開け入っていく。




