街外れの館へ【ヒロヤ・カナエ編④】
ヒロヤとカナエは二十分近くも休憩し、体の疲れと精神の疲れをとる。
二人は寝て疲れをとったため体をほぐす。
二人でストレッチを行い少しづつ体の可動域を広げていく。
五分をかけしっかりとストレッチを行うと寝る前とあまり大差なく動かせるようになった。
「そろそろ行こうか。」
「そうね、そろそろ夕日が見えてくるから急ぎましょう。」
「この先は真っすぐ走り続けても三十分かかる、カナエ大丈夫か。」
ヒロヤもいっぱしの夫だ。
しっかりと、妻の心配をしてみせる。
その事が嬉しいのかカナエも嬉しそうにするがすぐに切り替える。
時間も時間だ。
上手くいけば夕日が隠れるまでに出てこれるだろうがミスを一つでも犯してしまうと出てくるのに半日はかかってしまう。
半日かかってしまうと朝の五時になってしまう。
朝日が上がるまで着かなければならないのでミスをしてしまうとほとんどの確率で間に合わないだろう。
館の中で何が起こるか分からない中でミスは許されない。
ヒロヤはそう思いながら手のひらに人と言う字を書いて飲む。
その光景を見たカナエは昔と変わらないなと思いつつ屈伸や自らの得物をいつでも取り出せるように腰につける。
さらに、カナエはユキを救出の為に持ってきた大量の袋と箱を担ぎ準備が整う。
隣で人の字を飲んでいたヒロヤもほとんどカナエに持ってもらっている残りの荷物をゴーレムに付ける。
ゴーレムに乗せれなかったものは仕方がなくヒロヤが担ぐ。
その後にヒロヤはカナエとゴーレム、そして自分のロープで括り付ける。
「よし、行こうか。」
「そうね。ミスは許されないから、そこのところよろしくね。」
カナエは人生を共に添い遂げると決めた男に微笑みかける。
ヒロヤも微笑みに答えるように微笑み返す。
「それじゃあ行こうか。」
二人は一度手をつなぎそして離す。
ロープは五メートルと超える長さがあるので少々は離れてもいいようになっている。
「幸運を祈って」
カナエはヒロヤにそう言い先に走り出す。
そして、すぐにゴーレムと共にヒロヤもカナエを追いかけるように走り出した。




