街外れの館へ【錬・ガルディナ・ティオ編③】
二人と一匹は迷宮森の入り口付近に戻って来ていた。
「おい、錬。なんだか雰囲気がおかしくないか。」
「あぁ、そうだな。不穏な空気を感じる。」
錬とガルディナは表情をこわばらせながらティオから降りる。
ティオを後ろに引きつれ二人は歩く。
何かいるような雰囲気を感じるんだが何も見えないので何かが来るか見張っておくしかない。
「錬、どっちの方向にいると思う。」
「そうだな、六時方向の上の方かな。少し嫌な感じがする。」
「そうか。」
ガルディナは腰につけている袋かな何かをつかむ。
そしてその中にあるものを一つ掴み錬の言った方向に投げる。
すると、何か木々以外に当たった音がする。
すぐさま、ガルディナが錬の腕を掴み走り出す。
「さすが錬だ。運はいいよな。」
「どうしてそう思ったんだ。」
「ダンジョンを一人で帰ってきたんだ。あのダンジョンは道が分からなければ普通は帰ってこれないんだよ。その時に運はいいことが分かったんでな。」
ガルディナは走りながら微笑んでくる。
錬もまさかの所で自分の秀でたステータスの片方を知られて驚いたが問題ないだろうと割り切っておくことにした。
二人が話しながら走っている後ろで黒のフードを被った何かが追いかけてきた。
ティオがスキルを使い威嚇をしたのだがひるむことなく突っ込んできた。
つまり、ティオより強いことが一瞬にして証明された。
だが、錬はティオに違うスキルを使う。
ティオは一瞬止まったと思うとまた走り出し後ろに向けて黒い霧を出した。
ティオの口から出される黒霧は視界を奪い身体の機能を低下させる。
さすがに、時間稼ぎは出来るだろう。
ティオの口から霧を出し切ると同時に二人は乗り逃走を図る。
後ろからは気配が消えたが止まることなく走り続け迷宮森から出る。
すると、錬の推測通り館の玄関前にたどり着いた。
「錬、流石だな。」
「それは、どうも。」
ティオを木陰に潜ませ二人は館の中に入る。




