初日(中編)
錬は真っ白だが不思議な模様が描かれた天井を眺めながら目覚める。
「ここはいったい。」
つぶやいてみたはいいものの誰もいない。
かなりフワリとした感触のベットだと思いながら錬が触っていると、
「おはようございます。今朝はすみません水をかけてしまって。」
「大丈夫ですよ。意識を失ったのはお腹が減っただけですので。」
錬は女性に微笑みかけベットから立ち上がろうとするがそういえば布以外何も着ていなかった事に気づく。
そっと確認するが見事な服が着せられていた。
かなり豪華だなぁ、この家はまさか、お金持ちなのか。
錬がそんなことを考えていると女性が話しかけてくる。
「私はレシケナトス・ケフィナリアよ、リアって呼んでね、よろしく。あなたは。」
かなり長い名前だと思いつつ錬も名乗る。
「僕は竜胆錬。よろしくお願いします。」
「あなた変わった名前ね。おとぎ話に出てくる人たちに似ているわ。」
おとぎ話に出てくるような名前に一番驚いた。
なぜなら、お前がそれを言ってしまうのかと思っていたからだ。
それにしても日本人の名前がおとぎ話に使われているとは。
錬は、不思議なことに直面し固まっていると部屋の扉が開き小さな女の子が出てくる。
「お姉ちゃん、朝ごはん出来たって。下でおかあちゃまが待ってる。そこの男の人も連れてきてだって。」
「分かったは。行きましょう、錬。」
リアが手を差し伸べてきたことに少しためらったが錬は手を取りベットから立ち上がる。
「わたちは、レシケナトス・メリア。よろちくね。」
「よろしく、僕は錬だよ。」
他愛ない事を話しているとリビングらしき場所へすぐにたどり着いた。
(さほど距離もないので当たり前なのだが。)
と頭の中で考える錬。
それを丁度フィーネが見ており鼻で笑っていたが錬は気づいていなかった。
「今朝はすまなかったねぇ。私は、この冒険者様にアイテムを売ったり買ったりして生計を立てているんだ。あんた何か出来るかい。」
リアとメアリの母と思われる女性に問いを投げられるが何も答える事ができない。
「だんまりかい。何か言ったらどうだい、出来るだの出来ないのだの。」
二人の母がせかしているがそんなに暇ではない。
なぜなら。
(おい、フィーネ早く能力教えてくれよ。そうしないと、絶対にあんなにガタイの良いおばさんに怒られる。)
『そこまで何度も何度も頼み込むならいいでしょう。あなたの能力は・・・・です。』
(マジですか。)
『本当ですよ。頑張ってくださいね。』
優柔不断な僕がこの能力で生きるとか災厄過ぎる。
錬が肩を落としていると二人の母にポカリと頭を叩かれる。
「イテテテテ。どうしていきなり叩くんですか。」
「あんたが何も答えないからだよ。何も言わないなら飯を食わさないよ。汗水流してリオを稼いでいるんだから。」
錬を置いて三人は席に着く。
「僕は、売買ならできます。」
そう僕の能力は圧倒的な程の話術と運だ。
能力の紙には神をも論破する話術と何事にも運が大切だと思うので運をっと書いてたらしい。
この答えに満足したのかレシケナトス・アリメヤと言う二人の母に認められ空腹だったお腹に食料が入ってくる。
リオとはこの世界のお金の単位です。