店に向かう途中で
夜間という事もあり大人たちが酒場でワイワイ騒ぎながら酒を煽っている。
どこかの店では喧嘩が起こり追い出されていたり、どこぞの冒険者たちが仲良く飲んでいたりした。
だがそんなことにも触れず錬は真っすぐ例の店に行く。
昼間はメリアが怖がり結局中には入れずじまいだったのでかなり気になっている。
そのせいか自然と足が早まりソワソワしながらそくさくと歩く。
しかし、そのせいでしっかりと前を見ていなかった錬は酔っ払いに強く当たってしまった。
「あ、すいません。大丈夫ですか。」
「あぁ、なんだ君は。最近の若いもんはこれだがら。ハハハハハ。」
完全に酔いつぶれており頭がおかしくなっているようだ。
さらに当たった拍子でこけてしまった少し年配のおじいさんは錬に何か発言していたがすぐに静かになり動かなくなる。
「あ、あの~。大丈夫でしょうか。」
動かなくなり心配になった錬は肩を揺さぶりながら話しかける。
だが、返事はない。
その代わりと言っては何だが、
「ガァーガァー、もう飲めんは、ガァーガァー」
と錬の怒りを買うようないびき声と寝言が返ってきた。
無償に苛立ち拳を上に掲げたが、倒してしまった責任がある事を思い出し拳を引っ込める。
そして、錬はおじいさんを担ぎ一度適当な店に入る。
「あの~、水貰えませんか。」
「どうしたんですか。」
一人の女の子が奥から出てきた。
さらに適当に入った店はそこまで繁盛していないのかあまり人がいないようだった。
「先ほど酔っ払ったおじさんを助けたので。かなり酔っているぽいので水が欲しくて。」
「全然いいですよ。」
笑いながら一度奥に戻りコップ一杯の水を持ってきた。
「ありがとう。」
担いでいたおじさんを近くに下ろし口に水を含ませようとした瞬間。
「え、おじいちゃん。あ、すいません。うちのおじいちゃんが。」
「え、君のおじいちゃんだったの。」
錬も目の前の女の子も気まずくなる。
だが、そんなことも考えずおじいさんは起き上がる。
「ファ~、良く寝た。」
手元に置いてあった水を飲むと目をこすり周りを見渡す。
「おぉ、いつの間にか戻っていた。流石わし。」
「おじいちゃん、この人が運んでくれたんだよ。」
「おぉ、そうかすまなかったな。感謝するぞ、若造よ。」
「どうして、いつも上から目線なの。」
女の子とおじさんは愉快に話している。
「それじゃあ、僕行くところがあるので。」
錬はすぐにあの店に行こうとするがすぐに止められる。
「まぁまぁ、お兄さん。おじいちゃんを助けてもらったお礼くらいさせて。」
女の子の目線が錬を先に行きづらくする。
「分かりました。少しだけいさせてもらいます。」
錬の回答に満足したのか女の子は微笑む。




