起こってしまったもの
祭壇にたどり着いた二人はかなりのホコリの多さに咳き込んでしまう。
祭壇の奥に歩いて行くとそこには大きな円状の石板がそびえ立っていた。
その石板には十二個の窪みがあり、そこに宝玉を当てはめると完全に一致した。
「ここで合ってるみたいだな。」
「やっぱりな。ガルディナに話を聞いてかなりの確率でここだと思ったよ。」
錬は石板を指でなぞり微笑んだ。
「だが、どうするんだ。宝玉が使えないんじゃないのか。どうやって色を戻すんだ。」
「それも考えてるんだ。ちょっと待ってくれ。」
顎に手を添え錬は座り込み考え出した。
言葉をかけることは無粋だと思いモンスターが来ないか周りを見張るのだった。
ガルディナは理解していた。
錬は、戦闘できないからこそ戦闘は自分たちにまかせるだろうと。
数分が経った頃、錬が立ち上がる。
「一旦、屋台の方へ戻ろう。リアとガルディナに頼みたいことがあるんだ。」
「分かったぜ、早く戻ろう。二人の嬢ちゃんが心配して待ってるだろうからな。」
ニヤリと笑うながら錬に話しかける。
錬は無視し歩き出した。
「おい、待てよ。」
ガルディナはにやけながら錬についで歩き出した。
そんな頃、リアの前に二人の見知らぬ女性が現れた。
「お尋ねしますが、この屋台の持ち主の竜胆錬を知っていますか。」
その言葉で瞬時にリアはこの二人が三屋と関係があると察した。
「もちろん、知っていますとも。屋台の店番を任されましたからね。雇われているんですよ。店をあけている間だけですけどね。」
「そうでしたか。私たちも用がありますのでここで待たせてもらいますね。」
屋台の横に座りこみ地面をいじりだした。
「ど、どうぞ。」
自然に、自然にと思いがけていたのにもかかわらず声が震えてしまった。
「そう警戒なさらないでくださいよ。レシケナトス・ケフィナリアさん。」
「え、」
自分の名前を言われ驚いていると、突然腹部に衝撃が伝わる。
「れ、ん、こない・・・」
意識が遠のき気絶してしまう。
「おかしいですね。もう一人いたはずですが。まぁいいでしょう。」
「そうですね。」
「これで、竜胆錬を試せる。」
紙を屋台に添え、二人はリアを抱えダンジョンのどこかに姿を消してしまった。
その光景を唯一見ていたメリアは声にならない声を上げ、錬たちが向かった方向へと駆け出した。




