追われる身・・・
錬は前だけを向き走り続けた。
だが足を音はどんどん近づいてくる。
「ハァハァハァハァ・・・・・・・・」
もう体力が底を尽きもう今にも止まりたいが宿屋からかなり遠く未だ光も見えない。
叫ぼうとするが声にならない声しか出ない。
「おい、待てよ。」
青年の声がすぐそこで聞こえる。
何とか走る続けている錬とはあまりにも差がありすぎた。
木を盾にジグザグ走行をしているがそんなことをお構いなしに圧倒的なスピードで距離を詰めてくる。
「ぐぁ」
体力の限界を超えて走り続けたが遂にもう走れなくなる。
こけてしまって茂みに倒れこんで身を隠そうとするが手遅れだった。
「やっとか、いちいちめんどくさいな。なぜ逃げる。」
「えっ」
錬は戸惑いを隠せないが青年にはバレていないようだ。
「お前もなんだろ。」
何を言えばいいのか分からなかったがとにかく乗っておくことにした。
「そうだ。もちろん。」
「じゃあ、もう一度聞く。なぜ逃げた。」
「一人一人の領域があると思って。」
「デリカシーか。まぁいいだろう。」
青年はポケットから漆黒の宝玉を出しこちらに全て差し出して来る。
「明日これを全て冒険者に売り飛ばせば信用してやろう。」
「あぁ、分かった。」
目を見てしまい断れないことを確信する。
受け取り自身のポケットにしまい立ち上がる。
「なぁ、お前名前は。」
「竜胆錬です。」
「そうか、俺は三屋真也だ。お前は使えそうだから一応覚えといてやる。商売をしてるやつもなかなか見ないからな。」
そんな事を呟きながらジロジロ見てくる。
「三屋さんは何してるんですか、これで。」
それを聞こうとした瞬間。
「おい、こっちに踏み込むなよ。領域なんだろ。」
眼を見開き血走っている、
さらには胸蔵をつかみ木に押し付けてくる。
「すいません。すいません。」
錬は必死に謝るが切れているのがおさまりそうにない。
そして、ダンジョン内で見た武器とは違う小刀の様なものを出してきた。
「別にここで処分してもいいんだぞ。」
錬の首元に小刀を当て切ろうとした時。
「錬、どこにいるの。早く宿屋に帰ろう。」
リアが探しに来たのか近くで声がする。
「ッチ。錬、もし次に踏み込んできたら命はないからな。」
三屋は足音も立てずさっと消えてしまった。
だが、鋭い目線を感じながら錬はリアのもとに歩いて行く。
このことは話してはいけないと本能的に悟り心に鍵を掛けるように深呼吸をしながらリアに近づいて行く。
Twitterの投票結果の上で出来るだけ十二時少し過ぎには出せるように頑張ります。
もしかしたら一時近くの投稿の日があるかも知れませんが許してください。




