スタートライン
意識が戻ってくる。
いったいここはどこなんだ。
真っ暗で何も見えない。
周囲を見渡すと一筋の白い光がさしている。
錬は光のさす方向へ歩き出した。
数十分は歩いただろうかだが何も現れない。
諦めかけていたが歩き続けていた錬は一人の女性と出会う。
今までに見たことの無いような容姿をしておりとても惹かれてしまう。
「う、美しい。」
錬は思っていたことが口からもれる。
「あら、ありがとう竜胆錬君。」
「どうして僕の名前を知っているんですか。」
「フフフ、私はフィーネ。俗にいう女神よ。異世界転移を担当しているの。」
転移・・・?
錬は首を傾げ疑問に思っているとフィーネと名乗る女神に話しかける。
「あなたは死んでしまったの。でもあなたは試練に合格した。」
「試練何ていつしたんですか」
「とても簡単なものよ。暗闇から光に向かって歩き続けるだけ。十キロ歩けば合格よ。」
「もし、失敗していたらどうなっていたんですか。」
「人によっては、地獄もしくは天国に罪の分だけ。」
フィーネは錬に微笑みかける。
「どうして、天国でも罪なんですか。天国は極楽なんじゃ。」
錬は思ったことをなぜかすぐに言えてしまう。
「地獄は肉体的に天国は精神的に罰を受けるのよ。」
「大変ですね。」
「あら、もしかしたらなってしまった未来なのに他人事ね。」
「もう関係なので、」
錬はもう興味なさそうに座り込む。
フィーネはそのことに気づいたのか話題を変える。
「合格したあなたには選ばせてあげるわ。神に支配されて異世界に行くか、今生きた世界に舞い戻るか。」
錬は、何も考えず即答する。
「支配されて異世界で。」
「分かったわ、もう変えれないけどいいのそんなにも即答して。」
「ええ、優柔不断な僕には丁度いい。きちんと支配してくださいよ。」
「じゃぁこの中から好きな能力を一つ選んでいいわよ。」
「適当でいいですよ。」
無作為に引いた錬はフィーネに渡し早くしろと言わんばかりに近くにあった魔法陣の真ん中に座り込む。
「あなた意外に優柔不断じゃ無いかもね。」
フィーネは微笑み錬を眺める。
「早くしてくれ。僕は優柔不断だ。だから、優柔不断なこの性格を支配して即決できるようにしてくれ。」
錬は、不敵に笑い楽しみにしているようだ。
魔法陣が光だし錬を包む。
錬の隠された本性を少し吐き出されつつ。