あのスキルを求め
二人はデュマリオから寺の魔力の事を聞き唖然とした。
錬自身魔力などほとんど感じないのだが、違和感を感じたことが本当だったことを知った。
「それほどの魔力があったんですね。」
「え、まさか気づいていなかったのかい。」
「はい、僕魔力をほとんど感じなくて。」
「ハハハ、やっぱり君は面白いね。魔力なんて幼い子供でも気づくよ。あれほどの魔力が存在していたらね。」
「ジェグさんは気づきました。」
錬が助け船を隣に座る男に聞くと申し訳なさそうにする。
「すまんな、わしはこの寺に来たことがないんじゃ。」
「どうして、気にならなかったんですか。」
「いや~、なぜかここらの付近に来ると気分が悪くなるから来てなかったんじゃ。」
「そうなんですか。つまり、ある意味魔力を感じていたという事なんですな。」
「おぉ、察しがいいね。魔力の大きさあまりに酔っていた事に気付くとは。」
「どうも。」
錬は馬鹿にされているようにしか聞こえず適当に感謝を述べる。
「で、それでどうしたいんだ。」
「そうだったな。魔力が向上しさらに君ほどの人材んだ。きっと君の中に・・・」
「どういうことですか。」
「そのままの意味さ。君の知らない君があのスキルを握っている。」
そう言って、デュマリオは錬の胸に手を当てる。
「殺しはしないさ。信用してくれていい。俺はあのスキルさえ手に入れれればいいからな。」
「そうですか。それなら無意味ですよ、僕ではね。」
「っふ、黙っていろ。君以外ありえないのだから。あの忌々しく、人間を狂わすスキルを所持しているのは。」
そう言って、デュマリオは錬の胸に当てていた手に力を入れた。
錬は意識を失いそうになるが何とか踏みとどまった。
「ほら、何もないだろ。」
錬が不敵に笑うと目の前の男が目を細め苛立っているのが分かる。
その瞬間、拳が錬目掛けて飛んできているのが見えた。
(あ、終わったな。)
錬は目を瞑り覚悟を決めた。