開始
三人は霧が出てから一歩も動いていないため椅子に座ったままだった。
その為話し合いするのには一切の苦痛が感じなかった。
「じゃあ話ましょうか。」
錬がきりだすと二人は頷く。
「デュマリオ錬があの寺を消した時点であのスキルは無くなったんじゃなかったのか。」
ジェグの言葉にスキルを発症させた人物はキョトンとする。
「何を言っているんだ。そんなはずないだろ。」
「でも、あの魔法陣から発症したんじゃなかったのか。」
錬が聞くと男はハハハと笑った。
「確かにここの魔力を使ったが別にここが深く関係しているわけではないぞ。」
「じゃあ、わしのあのスキルはどこにいったんじゃ。」
「教えて欲しいのか。」
真相を知る男はニヤリと笑いながら錬たちを見た。
「早く教えろ。」
錬が急かすように言うと、
「まぁ、待て。」
と言って錬の言葉を制止させた。
「デュマリオが何か不穏なことを考えている顔をしていますぞ。」
「ありがとう、気を付けさせてもらうよ。」
「そんなに体に力を入れなくていい。話は簡単だ。復讐すると言っただろう。」
そう言って、男は錬にじりじりと近づいてくる。
「どうしてこっちに寄って来るんだ。」
錬は椅子から立ち上がり少しづつ後ろに後退する。
「あの魔法陣を君が消したのだろう、錬。」
デュマリオが何か確信に近づけるようなことを言ってきているのだが、命の危険が迫っているので耳に入ってこない。
「確かにあの魔法陣を消したが、僕じゃないですよ。」
そう、あの魔法陣を消そうとしたが消したのは三屋だからだ。
「この状況で嘘をつくのか。う~ん、鬱陶しい。」
デュマリオはポキポキと音を鳴らす。
「本当に僕じゃないからな。それに仮に僕が消していたらどうなっていたんだ。」
「あの量の魔力が含まれた場所の魔法陣を消すと、消した本人に魔力が伝達され、魔力が向上するんだ。」
そう言って、デュマリオはあの寺の魔力の説明を始めた。