三屋の意思
数分後、錬はジェグの店の前に立っていた。
かなりの速度で走ったため、錬は肩で息をしていた。
深呼吸を数回して息を整えた錬はゆっくりと扉を開けた。
ジェグの店には光がついていたため、誰かいることは分かっていた。
「誰かいませんか~」
錬は働きだしてそこまでたっていない店の奥へと向かう。
あまり奥へ入ったことが無かったのだが、今は何か嫌な予感がした。
錬はゆっくりと顔をのぞかせ奥の部屋を覗くと、拘束されたジェグがいた。
「どうしたんですか。」
錬はジェグに駆け寄り拘束を解きだす。
かなり強めに縛ってあり解くのに少し時間をとられた。
解き終わりジェグは手首などを回し体に何も起こっていないか確認した。
何も無かったのか数秒で確認を終え、錬と対面する。
「何があったんですか。」
「わしは三屋に拘束されたんじゃ。」
意外な言葉に錬は絶句した。
用事が出来たと言ってどこかに行った男がまさかこんな事をしているなんて思いもしなかったのだ。
「どうしてこうなったんですか。」
錬が問うとジェグは悲しそうな顔をした。
「・・・・・・・」
「何か答えてくださいよ。三屋がどうしたんですか。」
「・・・・・・・」
「口止めされているんですか。」
「あぁ、そうだとも。錬、君には特に言うなと言われたよ。」
「そこを何とかお願いします。それにこれからあなたが中心人物になるんですよ。」
「三屋にも言われたよ。」
その言葉を聞き、三屋も封筒を見たことに気づく。
「分かりました。特に何も聞きません。だから、僕と一緒に来てください。」
「はぁ、分かったよ。三屋には絶対に来るなと言われたけど、君について行くよ。」
「ありがとうございます。」
錬はジェグに頭を下げ、礼を告げる。
そして、二人で寺のあった場所へ向かいだした。