不穏な空気
錬たちは皆をゆっくりと待った。
そこまで広いペンションでもないのでどんなに待っても五分くらいだろう。
「錬兄ちゃん皆遅いね。」
「そうだね。まぁ~もう少し待てば皆来るよ。」
「そうだね。」
二人はすることが無くまた黙りこくってしまった。
元々いた二人はすることなくただただ眠っていた。
起きる気配もなく気持ちよさそうに寝ている。
その光景を横目に見ながら錬はため息をつく。
なぜなら、明らかにさぼっていた事が明確だからだ。
そんな事を思っていると、部屋に焦った様子でリアとリェルが入って来る。
「錬」
「錬さん」
二人は焦った声色で錬の名前を呼ぶ。
呼ばれた男は考え事をしていたのか下を向いていた。
そして、ゆっくりと顔を上げる。
「何か不穏な空気を感じる。」
錬がボソリと呟くのと同時に何か音が鳴った。
音が鳴った方向を見ると、何者かの影が見えた。
その影は三人分に見えた。
そのうち二人がガルディナとキュラだと確認できた。
「おい、待て。」
そう言って錬は部屋を飛び出し、二人を抱える影の主を追った。
その後ろからリアとキュラが続いて追っているのを感じる。
数分間追い続けたが錬は早々にリタイアし追うのを止めていた。
「はぁ・・・、はぁ・・・」
息が切れ両手両膝をついていた。
後ろの二人は錬の事も触れず、追うのを続行してくれた。
「クソっ」
地面を思いっきり叩き自分の無能さに悔やむ。
「もっと鍛えていれば。」
薄っすらと瞼に涙を浮かべながら立ち上がる。
そして、フラフラと歩きながらペンションへと歩き出した。
数十分かけペンションに着くと暗い表情をした二人がたたずんでいた。
「錬、ゴメン。」
「すいません。」
「僕こそ・・・」
三人はその後何も言えずペンション内に重い足取りで入った。