二人の思い
真実を伝えられたジェグは目を見開く。
「本当か。」
「はい。」
錬は頷く。
その光景にジェグは何も言えなかった。
何も告げられず、自分の意思も関係なく物事を進められたのだ。
何も言えず固まってしまうのが普通の事だろう。
「すいません。」
錬は静まり返った場の雰囲気に謝罪の言葉を言う。
もちろんその声は反響し響く。
ジェグは錬の謝罪に何も答えようとしない。
ただただ沈黙が流れ、気まずい雰囲気が流れる。
「ジェグさん、すいませんでした。」
錬はもう一度謝罪の言葉を言い、頭を下げた。
「・・・・・・」
「ジェグさんに特に作戦の事も言わず、勝手に行ってしまって。」
「・・・・・・」
「ジェグさんの気持ちも考えずに・・・」
錬は拳を固める。
「はぁ、そんなに自分を責めないでください。」
「えっ」
錬はジェグの言葉に目を見開く。
「わしはあのスキルを本当は嫌っていました。だから、取り除いてもらってとても嬉しかった。」
「しかし・・・」
「せめて何をするかを教えて欲しかったですね。」
「はい、すいません。」
「まぁ、そんなにも自分を責めないでください。」
「はい。分かりました。」
「でも、あなたにはしてもらいたいことがあります。」
ジェグは唐突に錬に頼みごとを投げかけてくる。
「何でしょうか。」
「わしの店をしっかり経営して、繁盛させデュマリオの鼻をへし折られてください。」
ジェグはそう言い錬に笑いかける。
「もちろんです。」
そう言って二人は手を重ねた。
その光景を見ていた皆は物事が解決したのだと思い各々寝だした。
疲れていたことが目に見える。
錬もジェグには悪いがもう一度寝させてもらうことにした。