せまりくる少女
魔法陣の障壁が消え去り、意識を失っていた少年が倒れこむ。
錬は少年に駆け寄りその場から距離をとった。
「おい、大丈夫か。」
体を揺らし、かなりの声を張るが少年は意識を失ったままだった。
だが、そこで問題が起きた。
錬が大声で叫んだため他の子どもたちもやってきてしまったのだ。
「お兄さんどうしたの。」
茂みなどから出てきた子供たちは二つのものに声を上げた。
「どうして、倒れてるの。」
「きっとあの魔法陣だよ。」
そう言いて二手に分かれ騒ぎ出した。
錬は少年をそっとその場に寝かせ、魔法陣へ走る。
「君たち、ここに入っちゃダメだ。」
錬は何とか子供たちが魔法陣に入る前に何とか食い止めることが出来た。
だが何も知らない子供達には反感を買い、抗議し始めた。
「その場所に用があるの。お兄さんどいて。」
一人の少女がプリプリと怒り錬に詰め寄ってきた。
錬があと一歩後ろに下がると、魔法陣の中に入ってしまうので下がることは出来ない。
「ちょっと待って、この中は危ないんだ。」
「そんな事はないもん。その中に入ったら噂が叶うもん。」
そう言って駄々をこねだしたが錬は無視をする。
いつまた危険な状態になるかも分からないこの魔法陣に近づかせるわけにはいかなかったからだ。
「あの子を見ただろ。」
錬は今もぐったりと寝ている少年を指さす。
「そんなの嘘だもん。」
少女は全く聞く耳を持ってくれない。
錬は周りに気を配っているため疲労が出てきそうなのだが、しっかりと集中をし続ける。
「本当だ、あの男の子が本当に倒れてるだろう。」
「じゃあそこの男の人はなんなの。」
錬は核をつかれ黙る。
「なんなの。」
じっとした目で見られ錬は目をそらしてしまった。
「何か隠してるの。」
「特にないんだけどね。」
錬は三屋が起きた時に正常かどうか分からないため、仲間とも言えない状況だった。
「本当に。」
「もちろんだよ。」
そんな会話をしていると少年に駆け寄っていた子供たちが声を上げた。
「よ、良かった。起きてくれて。」
一人の子が少年に抱き着き安堵の表情を浮かべていた。
「一旦あっちに行こう。」
そう言って魔法陣の近くにいた子供たちを少年のもとに行かせることが出来た。