焦り
錬が三屋を揺さぶる中、魔法陣の中の男の子は魔法陣の周りにある障壁を叩いていた。
「お兄さん、助けてよ。」
泣き叫んでいるが錬は今どうしようにもなく、何も出来なかった。
「ちょっと待ってろ、すぐに助けてやるから。」
錬は落ち着かせようとするが、障壁が徐々に光を増すため少年はさらに焦りだす。
「お兄さん、絶対にヤバいよ。」
ほとんど泣いていると変わらない状態で障壁を叩く少年には耳を傾けることを錬はやめた。
このままでは何も変わることがないことに気づいているため、三屋を正気に戻すために何をするか考え出す。
(どうすればいいんだ。さっきの魔法も簡単に対処されたし・・・)
錬は特に名案も浮かばず、焦りが増す。
(やっぱり、戦うものじゃないものにはきついのか。どうすれば。)
錬は考えている間、多少何かも知れないため三屋は揺らしていた。
特に何もしていなかったのだが、魔法陣の障壁の光がさらに増すと何かを呟きだした。
何を呟いているのか聞こえないが中の少年が危ないことは理解できる。
(しょうがないか、試したことがないけどするしかない。)
錬はまた違う魔法の詠唱を始める。
その間、少年はほとんど意識を失いかけていた。
「うっ・・・・・」
泣くための涙も出ず、意識をもうろうとしていた。
錬はその状態を見て、焦っているのだが表情に出さない。
三屋が何かを言い終えたのか、いきなり黙ってしまった。
それを見た少年は完全に意識を失ってしまった。
それと同時に詠唱を終えた錬は三屋に魔法を放つ。
三屋はそれに気づくが何も出来なかった。
なぜなら、錬が三屋に放ったのは誘夢魔法を放ったからだっら。
三屋は何かを唱えていたのだろうが何もすることが出来ず、眠った。
すると、少年を囲んでいた魔法陣の障壁も消え去ったのだ。