到着、久渡寺
寺に向かう中錬の心情は大きく変化した。
子供たちに行きたい理由を聞き「マセガキが」と思っていたのだが今では真逆の事を考えていた。
(あの寺のどこだが知らないけど、噂が本当ならリアと・・・)
そんな事を考えニヤついていると、後ろから声を掛けられる。
「竜胆君はどうして~、ニヤついているのですか~」
何気なく聞いてきたのだろうが、考えていた事の真逆にいる人間から何かを言われると腹が立ってしまった。
「何もないよ、ほっといてくれ。」
「え~、でも~、竜胆君の初めて見る顔だから~、気になっちゃって~」
さらに、女はニコニコと微笑む。
その事がさらに錬の気持ちをイラつかせる。
「関係ないだろ、それにお前の事は振った気にするな関係ないから、それに」
「どうしてそんなにムキになるの~」
「黙れ、それにこの世界では好きな人がいるんだ。お前は現世の人間だろ、もう興味はない。」
錬がきっぱりと言うが女はキョトンとしている。
「どういう事~、よく分かんないや~」
「分からなくてもいいから、さっさと元の世界に帰れ。」
「酷いよ~、死んだから戻れないんだよ~」
錬はその事を思い出し、落胆する。
このままでは一生錬に取り着いたままとなってしまうからだ。
そんな事をしていると、目の前には久渡寺があった。
「お兄さん、着いたよ。」
そう言って、子供たちが一斉に駆け出した。