同じ境遇
皆と別れ安全地帯で商売を始めて一時間を経った頃店は、
「はい、六百リオです。すいません、ちょっと待ってください。」
昨日の客が来なかった分を取り戻すかの如くアイテムが飛ぶように売れて行く。
屋台に乗っていたアイテムがもう残り半分に差し掛かろうとしている。
「ありがとうございました。・・・・ふぅ~、疲れた。」
かなりの人数をさばききった錬はかなりの疲労感を出している。
(メアリヤさんの店でバイトさせてもらえていたおかげだな。)
錬の中ではもう亡くなっているのではないかと微かに思っているが絶対に口には出さない。
リアとメリアのためを思っているがいつかその時が来てしまうことは分かっている、どうにかして心の準備をさせなくては思っている。
「ひき肉とポーション五つづつ下さい。」
三人組の冒険者がやってきた。
男一人に女が二人と言うパーティーメンバーだった。
だが、そんなことはどうでもよかった。
一番気になったことはこの世界に来てから未だに一度も見たこのない髪色だった。
自分と同じ真っ黒な黒髪。
「七百リオです。すいません、一つうかがってもいいですか。」
「なんですか。」
にこやかに微笑んできた青年はかなりいい顔をしている。
「もしかして、日本人ですか。」
「え、どうしてそのことを。」
「僕も転移してきたんですよ。」
「僕はこの世界に何年もいるんですが同じ境遇の人に会えるなんて。」
二人が盛り上がっているとあったばかりの青年の後ろからキツイ目線を感じる。
二人の女性が睨んできている
まるで、邪魔をしないでくれと言わんばかりにだ。
「すいません、引きとめてしまって。」
「全然いいですよ。僕はこのダンジョン攻略するために何日も潜るつもりですから気長にお付き合いしましょうよ。」
その言葉を残しダンジョンのより深くへと歩いて行った。
「はぁ、僕も戦う系を選んでおけばよかった。どうして、あの時適当に選んだんだろう。」
錬は、楽しそうに歩いて行くパーティーを見ながら悲しそうに悔やむ。
出来れば毎日一時に上げます。