イラついた錬
錬は女が話し出すのを待った。
話すと言ってから五分以上も話そうとしない。
「おい、早く言えよ。」
「・・・あ、すいません~」
錬は呆れてしまい、ガクリとうな垂れてしまった。
「はぁ、急がなくていいから要件を言ってくれ。」
「分かった~」
錬は、はやりこの女が嫌いだった。
何かと、ゆっくりで考えていることが何も伝わってこない所が錬の癪に障るのだ。
同族嫌悪という奴だろう。
錬は足で貧乏ゆすりをしている。
昔と性格が変わってしまったため、苛立ちが抑えることが出来ない。
「まだか。」
「あ、ごめんね~、今から言うから。」
「じゃあ頼む。」
「私ね~あの時ね~殺したくて殺したんじゃないんだよ~。」
「え、」
「久しぶりに見たから~、抱き着きに行ったの~」
「はっ、お前の事が嫌いで振った奴に抱き着きに行くか普通。」
「そうかな~」
女は笑っているのがさらに錬をイラつかせる。
「言いたいことはそれだけか。」
「本題はここからだよ~」
「早くしろよ。」
「ずっと後ろにいて話を聞いていたんだけど~、お寺の事知りたいんでしょう。」
「そうだけど。」
錬がやっと意味のある事を聞けると思い気を引き締めると、
「早く行こよ。」
子供たちが錬の袖を引っ張る。
「ちょっと待て、今から気になることが聞けるんだ。さぁ、教えてくれ。」
「子供たちも可哀想だから、歩きながら行こうか。」
錬は何も言えなかった。
なぜなら、子供たちと幽霊の女が進みだしたからだ。