ジェグからの昔話へ
本日の仕事が一段落し錬は店の奥へと向かう。
先にリアとフィーネはペンションに帰らせていた。
「あの、ジェグさん。」
錬が椅子に座っているジェグに声をかける。
「何だ、笑いに来たのか。」
「そんな事はありませんよ。」
「じゃあ、なんだ。」
「僕はデュマリオさんから話を聞きました。」
「そうか・・・」
ジェグは黙りこくってしまった。
「話を聞かせてもらってもいいですか。」
錬が柔らかい声でジェグに言う。
「デュマリオから聞いたのだろ、話すことはない。」
錬から顔をそらして話そうという気配も話を聞こうという気配もない。
「お願いです。」
錬は深々と頭を下げるがジェグはその行為を見る気配が無い。
「はぁ、早く出て行ってくれ。」
「お願いです、あなたがスキルを得た場所が久渡寺かどうかだけでも教えて下さい。」
錬の言葉にジェグは振り向く。
「何だって。」
「久渡寺の事を・・・」
「どうして知っている。」
「え、それはこの世界に久渡寺を送ったのに原因があって・・・」
「そうだったのか・・・」
二人の間に長いようで短い沈黙が流れた。
沈黙はジェグの一言によって破られた。
「しょうがない、教えてやろう。」
「本当ですか、ありがとうございます。」
錬が礼を言うとジェグが話し出した。