下層で商売始めました
出発から数時間やっとの思いで錬たちは下層部の安全地帯にたどり着く。
下層部に踏み込んでからかなり長い道のりを歩いた三人は、終盤に連れガルディナについて行くのが困難になる程だった。
一番の原因はメリアが序盤でばてただでさえ体力の少ない錬の屋台に乗り、錬も早々にばててしまったことだ。
「つ、着いた~。」
錬が道からそれ倒れこむ。
メリアはほとんど屋台に乗っていたのでかなり元気になり、着いたことを嬉しそうにはしゃいでいる。
「お疲れさん、お前大丈夫か。」
ガルディナは錬に水が入っていると思われる筒状のものを渡す。
「あ、ありがとう。まさかこんなにもキツイとは。」
受け取った水を飲みながら錬は受け答えする。
「もし俺がいなかったら、疲労でモンスターとも戦えず死んでたかもな。」
「そうかもしれない。感謝するよ。」
「そういう事じゃないんだけどなぁ。」
ガルディナはぼそりと呟く。
「え、何か言ったか。」
水にかぶりついていた錬はガルディナの言葉を聞き逃し聞き直すがガルディナは笑って、
「早く、疲れ取って商売始めろよ。来た意味が無くなるからな。」
「そうさせてもらうよ。」
錬はガルディナの優しさに感謝するが真意に気づかない。
リアは後ろからのモンスターの対応をし続け、かなりの疲労になっており壁を背もたれにし息を切らしているが、メリアがチラリと見ただけで誰にも相手にされず少し悲しい思いをひそかにしていた。
「よし、始めるか。」
錬はひそひそと荷物の整理をし、商品が見やすいように並べる。
かなり準備が終わった頃リアとメリアが近づいてくる。
「あまり遠くに行かずにメリアの練習に行ってくるから。もし、偶々それでアンチ武器見つけたら感謝してよね。」
無視されていたことを恨んでいるのか、注目されたいのか、かなり乗り気なようだ。
「ほどほどに頑張れよ。危険になったらすぐに帰って来るんだぞ。」
「お母さんじゃないんだからやめてよ。」
「ほんと、錬兄ちゃん、おかあちゃまみたい。じゃあ行ってくるね。」
リアとメリアは元気に手を振りながらランダムに道に入っていく。
「さぁ、今日こそ稼ぐために頑張るか。」
本腰を入れ錬は商売に取り掛かる。