フィーネの戦闘事情
ペンションに着いた五人組は一度自室に戻った。
メリアたちが帰ってこなければ夕ご飯にもたどり着けないため、おとなしくしておくしかないのだ。
「なぁ、フィーネ。」
「なに。」
錬の声掛けにフィーネは素っ気ない態度をとる。
「魔物狩り足手まといになってないのか。」
「誰にもの言っているんですか。元女神ですよ。」
自信満々に胸を張るフィーネをじっと錬は見つめる。
「何ですか、その目は。」
「女神イコール強いとは限らないのでは。」
錬がそっと言うとフィーネはアッとした顔をする。
「なかなかいいところを責めてきますね。」
「ある女神様から貰った能力です。」
「ック、そんな事はどうでもいいです。」
フィーネは悔しそうに歯ぎしりを少し立てた。
「で、魔物狩りの調子はどうなんですか。」
「私は魔法で戦っていますよ。」
「どんなものが使えるんですか。」
錬の素っ気ない質問なのだがフィーネは黙りこくってしまった。
「え、そんなに言いづらい事ですか。」
「ちょっと特殊だからね。」
そう言ってフィーネははにかむ。
「そんなに嫌なら聞きませんが、周りの人のバレないように使うのしんどくないですか。」
「そうですね、ちょっとは面倒ですが錬みたいに、時差で魔法が撃てるので。」
「それを聞くと流石元女神って感じですね。」
二人がそんな他愛ない事を話していると扉がノックされる。
「錬兄ちゃん、フィーネ。ごはん出来たよ。」
「分かったよ、すぐ行く。」
そう言って二人は自室からダイニングに向かった。