労わり
三人は店を閉じペンションへと帰ることにした。
時刻はまだ夕方だが冒険者たちが買いに来るとは思い難い。
街外れでもあるため仕方がないだろう。
「今日の夕食の当番メリアだったよな。一緒に行こうか。」
「大丈夫だよ、錬兄ちゃん。一人でも買い物くらいできるよ。」
そう言ってニコニコと笑っているのだが、錬にとっては心配だった。
(時刻も夕方のためもしかしたらがあるかもしれない。)
錬がそう思っているとメリアはやれやれといった風に首を振る。
「しょうがないなぁ~、錬兄ちゃんがそんなに心配だったら・・・」
メリアはそう言いながら服の袖をつかんだ。
「ガルディナさんに手伝ってもらうよ。」
そう言って、無理やりガルディナを連れて行き買い物をしに行ってしまった。
錬は呆気に取られ見ていたが、すぐに切り替えペンションに帰りだした。
(でも、まさかメリアに捨てられるとはなぁ~、まさかガルディナに気があるのか。)
そんな当て外れなことを思いながら錬は帰っていると、見覚えのある人達がいた。
「今日は遅かったんですね。」
「そうなんですよ、リアさんがいつも以上にやる気が出てしまって。」
「ヘヘヘ、そんなに褒めないでよ。」
「そんなに褒められていないと思うぞ。」
錬がリアにそう言うと、後ろでありえないほどボロボロになっている男が突っ立っていた。
「早く帰らせろ、死ぬ。」
三屋はそう言って早々と帰ってしまった。
「三屋大丈夫なんですか。」
「大丈夫でしょ。」
キュラは笑いながらそう言っているが本当かどうかは不明だ。
「リア、三屋は何をされていたんだ。」
こっそりとリアに小声で耳打ちをすると、
「討伐勝負をしていたんだよ。」
そう言ってニコニコと笑っているが錬には悪魔の微笑みに見えた。
(やる気にあふれていたリアと勝負か・・・・三屋お疲れ様。)
錬は心の中で手を合わせて三屋を労わっておいた。