売れない店
錬がアイテムなどを並び終わるとキュラが話しかけてきた。
「明日からはどうするんですか。きっとあのスキル使ってくれませんよ。」
「そうでしょうね、だけど、僕は許せなかった。」
「でも、どうしてですか、あのスキルさえあればすぐにこの店も立て直せるのでは。」
「確かにそうかも知れない、今この店が売れない理由は簡単ですからね。」
「何なんですか。」
「それは二つあります。一つは場所、これは仕方がありません。二つ目は品の置き方ですね。何がいいものか分かりずらい、それを直せば前よりは儲かるでしょう。」
錬はそう言うが悲しそうな表情をする。
「それなら、簡単じゃないですか。早速したらどうですか。」
「それもそうなんですが、・・・・しませんよ。」
そう言って錬は何も言わなくなってしまった。
キュラも何も言えず、押し黙ってしまった。
キュラはリアのもとに行き話しかける。
「どう思いますか。」
キュラがそう問うとすぐに答えが返ってきた。
「あの目はきっと何かしてくれるよ。錬ならきっとね。」
リアの目を見たキュラはここに来る時に言っていた言葉が恥ずかしくなってしまった。
(積極的にアタックしろなんて野暮だったんですね。)
キュラは二人から距離を置き、地面をほうきで掃き出した。
数時間たったが、未だに客が数人しか来ていなかった。
錬は焦っていた。
キュラに品物を置き方とは言ったもののこれだけではダメそうだった。
「どうしたものか。」
独り言がこぼれる程悩んでいるがどうしたらいいのか全く出てこなかった。
「錬さん、大変そうですね。」
「そうだね、でも錬ならどうにかしてくれるよ。」
錬の後ろの方で女性陣が話しているが錬の耳には届かない。
二人が接客をしているのだが特に何もすることなく店を閉めることにした。
時間は夕方に差し掛かったくらいだったが長時間いてもしょうがないと、錬が判断し勝手に閉めさせてもらった。
「錬さん、悩んでいるのなら手伝いますよ。」
「いや、大丈夫です。これは僕とおじいさんとデュマリオさんの問題ですので。」
そう言って錬はまた何かを考えだした。
二人は水を差すことなく黙って後ろをついて歩いて帰った。